"創造"と"想像"   作:神剣狩刃

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第17話 理不尽こそこの世の理で、あたしはその理を掌る者よ

闇のブローカー義爛の紹介の下、あたしはとあるバーにやってきた。

あたしの紫の瞳がバーにいる人間を捕らえる。

そこには可愛らしい女子高校生と、ツギハギイケメン、

出て顔を隠した趣味の悪い男、頭が霧の人といろんな人がいた。

 

手の人は『死柄木弔』…趣味が悪すぎるからどうでもいいわ。

JKちゃんは『我渡被身子』で連続失血死事件の犯人。可愛いから無罪ね。

ツギハギイケメンは『荼毘』なんて言ってる。本名は『轟燈矢』よ。

森林火災に巻き込まれて死んだって言うけど…あたしと同じく生きているわね。

頭が霧の人は『黒霧』。素顔を見てみたいわ。意外とバカ面してたりして。

 

トガちゃんと轟くん…今は荼毘くんか。荼毘くんはステインの意志が動機らしい。

「…どいつもこいつもステイン、ステインと…」

死柄木がぼりぼりと喉をかく。

「あたしは違うわよ。動画に『あたしが映っていた』でしょ?」

あたしは赤く、長い髪を手で靡かせる。あの人のシャンプーの匂いがふわっと漂う。

 

「…自己紹介をしろ。お前までできないわけじゃないだろうな?」

死柄木があからさまにイラつきながらあたしに迫る。ほんと好みじゃないわ。

「まさか。こう見えても雄英卒の30歳よ?」

あたしは一つ深呼吸をして自己紹介をする。

「あたしは『終』…『相心終』よ。ヒーロー『機械仕掛けの神』本人よ。」

 

「…誰だ?俺は知らないぞ?」

「私も!どんなヒーローなんですか!?」

「…何でもいいだろ?目的はなんだ?」

「ステイン関連ではないと思いますが…」

 

あたしを知らないとは…まあ、当然よね。活躍は全部あの人に譲ってるもの。

悔しいけど、あたしは一同にここに来た理由を宣言する。

「弟よ。弟に直接会って…この手で地獄に導いてやるのよ。」

 

「…家族関連か…その弟ってのは誰なんだ?」

荼毘くんは興味深そうに聞いてくる。

「相心創…雄英高校1-Aにいるわ。ちなみに、こういう因縁よ。」

私は着ていた鬱陶しい服を脱ぎ捨てる。

 

「うわわ、大胆です。セクシーすぎるです。」

トガちゃんが思わず顔を隠す。可愛いわね。あとで頂こうかしら。

「なるほど…その『傷』を弟さんに負わされたと…」

黒霧さんはあたしの体を見て納得がいったようだ。

 

あたしの体には無数の傷跡がある。

切傷、刺傷、長い髪で見えてないけど頭には銃創…

完膚なきまでとは正にこのことと言わんばかりよ。

おかげで抜群のプロポーションの魅力が半減しているのよ。

 

「動機は十分でしょ?あとは"個性"なんだけど…説明するのが面倒なのよ…」

あたしの"個性"はものすごく強い。でも、言葉にするのが難しい。

「この中でナイフ持ってる人いる?いたら貸してほしいけど…」

「あ、私持っています。どうぞ。」

トガちゃんがナイフを貸してくれた。後で絶対にトガちゃんを頂くわ。

 

「ありがとう、トガちゃん。…この中でナイフを絶対に回避できる人はいるかしら?」

「私がやりましょう。回避には自信があるので…」

黒霧さんが申し出てくれた。

「では始めるわ…『想像せよ』。『黒霧さんにナイフが刺さる』。」

私はそう宣言し、手の男に向けてナイフを全力で投げる。

 

ナイフは『理不尽』な動きをし、黒霧さんに向かって進む。

黒霧さんはワープホールを作り出し、ナイフの軌道を変える。

ナイフはバーの机に刺さる。

 

「簡単に言うと…『人を対象に事象を誘発させる』"個性"よ。

名付けて…『事象(フェノメノン)』よ。」

紫色の瞳を輝かせながらばっちり決める。

 

「…いや待て、黒霧に刺さってねーじゃん。」

死柄木がツッコミを入れる。ツッコミのセンスはあるらしいわ。

「そこまで便利な"個性"じゃないのよ…いろいろ条件を説明するわ。」

 

対象は一人で、自分は対象にできない。

対象を視認し、その名前と誘発させる事象を言う。

(この際の名前は正確でなくていいわ。あくまで対象の認識のためよ。)

誘発できる事象は自分が体験したものに限る。

事象に必要なものがないと事象は発生しない。

宣言時から状況が変わると事象は確立しない。

 

「すべてがそろった時、事象を意のままに操ることができる…

だから『機械仕掛けの神』なのよ。ピッタリでしょ?」

 

雄英生時代からの決まり文句だ。

『四人』ではしゃいでいた時代が懐かしい。

奴らはどうしているだろうか。…もう揃うことはないが。

 

「分かった。間違いなく戦力になる。お前は合格だ。

だが…残りの二人は駄目だ。」

死柄木とトガちゃんと荼毘くんが手を出す。

黒霧さんがそれを止める。交渉決裂だろうか?

 

死柄木がイラつきながらバーから出て行った。

とりあえず、トガちゃんと荼毘くんはまた後日ということになった。

しまった、トガちゃんを頂くのを忘れたわ…それもまた後日ね。

 

私はバーに残り黒霧さんと会話する。

「とりあえず…アイスミルク頂けるかしら?」

「お酒は飲まれないのですか?」

「酔いたいときは自分に酔うのよ。」

かっこよく言ったけれど、ただお酒に弱すぎるだけよ。

酔うと自我がなくなって…あの人に凄い迷惑をかけたから。

 

「あと、グラブジャムンあるかしら?」

世界一甘い食べ物と言われているものよ。

簡単に言うとメチャクチャ甘いシロップに漬かったドーナツよ。

「甘いものがお好きなのですね。…ドーナツならあります。」

分かったうえでドーナツを出してくれるなんて…黒霧さんとは気が合いそうね。

 

「…ちょっと思い出話に付き合ってくれるかしら。黒霧さん?」

バーという空気のせいか、あたしは自分語りをしたくなった。

「もちろんです。歓迎会も兼ねてお付き合いしますよ。」

アイスミルクとドーナツで乾杯をする。

 

それは、あたしの青春の思い出とよく似ていた。




本物の終姉さん登場です。言うまでもない超重要人物です。
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