僕は雄英高校の筆記試験を受けている最中だ。そこまで難しくない。
試験時間の半分ぐらいで解けたし、裏面の問題も解いたし、見直しも3回した。
解答欄がずれてるとかもない。8割はもらっただろう。
でも、問題はここからだ。
実技試験が待っている。筆記も大切だが、
ヒーローとしての素質を見られるはこっちだろう。
もちこんだ百姉さんの人形をぎゅっと抱きしめる。
「なんだよあのチビ…人形なんかに祈ってるぜ?」
「可愛らしい奴だなあ…助けられる側じゃねえのかあれ?」
「あれで一枠空いたな。ラッキーだぜ。」
色んな人から目を向けられる…怖いよ、百姉さん…
こんな時、百姉さんなら何て励ましてくれるかな…
(創さんさんならできますわ!頑張ってください!)
いや、百姉さんはこんな僕みたいなゴミクズ語彙力じゃない…
「あんな奴ら気にすんな。お前には心に決めた女がいるんだろ?
それを頼るのはいいことだと思うぜ。俺にもそんな奴がいるからよ。」
僕より二頭身ぐらい大きい、黒い髪の男子が僕の背中をポンと叩いてくれた。
百姉さん以外とまともな人間関係を築けなかった僕には驚きしかなかった。
でも、ものすごく嬉しかった。
「あ、ありがとう…ぼ、僕、相心創…創って呼んでくれると嬉しい…」
「俺は切島鋭児郎(キリシマエイジロウ)。
気軽に鋭児郎って呼んでくれ。お互い頑張ろうな、創。」
ありがとう鋭児郎君…もしも一緒に合格したら友達になろうね。
そしたら百姉さんにも紹介しよう。きっと気が合う
「スタート!」
その声と同時に"想像"を宣言する。
「色は白色、素材はチタン合金、全身を覆うパワードスーツだ!」
瞬間、僕の全身が金属に覆われる。視界良好、オールグリーン…
索敵機能も付いている。早速前方に反応がある。ジェットを吹かし撃破する。
敵ロボットを片っ端から倒していく。カウンターには50という数値が出ている。
0Pロボットは倒していないから最低でも50点は確約されている。
その時、大きな音と共に巨大なロボットが現れる。
僕に向かって走り出してくるが、途中で動きが止まる。
「気を付けろ創!お前が狙われてるぞ!
俺の"硬質化"で止めてやったからその隙に逃げろ!」
鋭児郎君が止めてくれたようだ。ありがたい。これでチャンスができた。
「あ、ありがとう鋭児郎君!お礼に…見せてあげるよ、僕のお気に入りを!」
再び"想像"を宣言する。
「素材は銅!出力全開!『電磁砲(レールガン)』!」
パワードスーツの両腕を電磁砲の機構に変える。
スクラップになったロボットを装填し、勢いよく射出する。
0Pロボを見事打ち抜く。0Pロボットが倒れていく。
「鋭児郎君!そこにいると危ないよ!」
「え、あ、お、おう…」
呆然としている鋭児郎君の手を引き、その場から離れる。
「お前…とんでもねえ"個性"持ってたんだな…」
「実践では鋭児郎くんの方が活用できると思うよ?
なにせ僕の"個性"は経験がないと物が作れないし」
「終了!」
僕の試験は友だちを助けながらの終了となった。
家に帰る途中、百姉さんと会った。会うや否や抱きしめられた。
「創さん!どうでしたか!?私、創さんのことが不安で不安で…」
「だ、大丈夫です、百姉さん…あと…苦しいです…」
百姉さんのハグは危険だ。力が増したのもあるが…アレが当たる。
僕としては百姉さんをなるべくそういう目で見たくない。
(そういう目で見たことがないわけではない)
「ああ、ごめんなさい…今日は私の家で『創さんの試験お疲れ様』パーティーですわ!」
「ええ!?ほ、本気ですか!?いや、僕なんかのためにパーティーを開かなくても…」
「創さんと私の仲ではございませんか!創さんのご両親も賛成していましたわ!」
中学1年の時からこんな仲だ。嬉しいけど…正直、恐怖の方が勝るときがある。
「わ、分かりました…ご馳走に預かり仕ります…」
「そんなに固くならなくて大丈夫ですわ。さあ、お父様とお母様が待っていますわ!」
百姉さんに手を引かれて車に乗せられる。車種はわからないけど高級車なんだろう。
「こここ、今晩はお日柄もよく、えーっと…月が綺麗ですね…?」
「はっはっは。創君は相変わらずだね。その言葉は百に言ってやりなさい。」
「お、お父様…創さんにその手の冗談はちょっと度が過ぎていますわ。」
実際の所、『月が綺麗ですね』は『アイラブユーの意訳』ではないが…
とにかく僕のために開かれたパーティーは楽しかった。
豪華なディナーは少なくとも『おいしい…』と10回は言ったし
演奏会も『やばい…泣ける…』とひたすら言ったし
お風呂は銭湯のそれと変わらない広さだし…
「…合格したらまたパーティー開くんですか?」
「もちろんですわ!創さんは私のかわいい弟ですから!」
そう思ってくれるのは嬉しいけど…風呂上がりの百姉さんの破壊力がヤバい。
抱きしめないでほしい。いい匂いする。目のやり場に困る。
「…いつか、百姉さんを助けられるヒーローになりたいです。」
「…私もその日をお待ちしていますわ。でも…先に私が創さんを助けますわ!」
「百姉さんには毎日助けられていますよ。ありがとうございます。」
もし受かっていたら…一緒に頑張りましょうね、百姉さん。
今作の友達枠は切島君です。最初は峰田君の予定でしたが
『アイツとヤオモモを組ませるわけにはいかない』と急遽変更しました。