夜が明け、僕は朝一で百姉さんに挨拶する。
「おはようございます!百姉さん!」
僕に気付いた百姉さんは…
「おはようございます!創さん!」
笑顔で挨拶を返してくれた。すごく嬉しかった。
その笑顔に答えるように僕は宣言をした。
「百姉さん!この合宿で僕は…『百姉さんと並べれらる』ように頑張ります!」
いつまでも頼ってばかりじゃダメだ。百姉さんからも頼られるようにならないと。
「その宣言…信じておりますわ。」
百姉さんは嬉しそうに微笑んでくれた。よし、頑張るぞ!
二日目の訓練では百姉さんとひたすらに食べながら物を作った。
「僕の方が早く、多く作れますよ!」
「早さや多さも大切ですが…質も大事ですわ!」
正直、百姉さんの方が質が高いのは事実だ。百姉さんの方が頭が良いからだろう。
時は量を、時には質を求められるだろう。二人ならどちらにも答えられる。
夕食は百姉さんと僕で皆(先生たちも)ドン引きするぐらい食べた。
三日目も頑張って百姉さんと
「今日の晩はねぇ…クラス対抗肝試しを決行するよ!」
背筋が凍る。補修の皆は参加しないそうだ。羨ましい。いや、それどころじゃ
「いやだあああ!怖いの嫌いいい!」
情けなく悲鳴を上げながら百姉さんにしがみつく。
「あらあら…創さん。大丈夫ですわよ?」
百姉さんは笑いながら僕の頭を撫でる。
無理無理無理絶対無理死んじゃう死んじゃう死んじゃ
目の前に血を流したガスマスクの人間が逆さづりになって現れる。
「あぎゃあああ!!!ももねえさあああん!!!」
「まあ、随分と凝った演出…?…っ!?創さん、お気を付けください!」
百姉さんは盾と警棒を"創造"し、警戒を始めた。
「な、なに、百姉さん…?」
「これは…本物の人間です…!間違いなく…事件です!」
事件。その一言で僕もスイッチが入った。"想像"で盾と警棒を装備する。
「でも…何で!?この合宿は秘密」
「秘密なんて大体筒抜けになるものよ?」
赤い髪とゴーグルが特徴的な女性がいた。
見覚えがある。つい先日に会ったばかりだ。
「ショッピングセンターの時の…!?何で貴女がここに!?」
女性は僕達に近づいてきた。
「止めろ!百姉さんに手を出したら」
「『創』…あなたに用事があるのよ。」
なんでこの人は僕の名前を知っているんだ…?
宿舎
『敵二名襲来!!』
俺はマンダレイのテレパスを受け宿舎を出た。森に火がついて
「心配が先に立ったかイレイザ」
「ごめんね荼毘くん、ここから先は聞かせられないわ。」
横を見ると、赤い髪で紫の瞳をした女性が、ツギハギの人物の首の骨を折っていた。
ツギハギの人物はドロリと消えた。
「お前は…終…!」
「感動の再会どころじゃないわ…相澤、やっぱり内通者がこの合宿にいるわ。」
終から想定外の言葉が出てきた。
「手短に言うわ。あたしを含め11人の敵がこの合宿を襲っている。
爆豪って子を攫うためよ。そしてあたしは…『創に真実を伝える』わ。」
相変わらず重要なことしか言わないのに、こちらに考える時間を与えない。
「ちなみにあたしは分身で、本物は別にいるわ。
分身は一定のダメージが蓄積されると溶けるみたい。それじゃ。」
「まて!何をするつもりだ!?」
終は澄んだ瞳でこちらを見つめる。
「…『亡霊はレディとランデブーしたがっている』。」
そう言って終は自分で自分の骨を折って溶けた。
森
「嘘だ…そんなの嘘だ!僕の姉さんは百姉さんだけだ!」
創さんは終さんが言った言葉を否定するように叫びました。
『実の姉がいて、その姉を殺しかけた。』
唐突に告げられて信じる人間はいないでしょう。
ですが、私は狂戦士の創さんから聞いていました。
「まあ、無理もないわね…なら、思い出させてあげるわ。」
終さんはゴーグルを外し、創さんとそっくりの紫色の瞳を露にしました。
「僕と…同じ色の瞳…」
そして終さんは創さんの顔を両手で押さえ、瞳を覗き込みながら宣言しました。
「『想像せよ』。『相心創は妾を思い出す』。」
創さんは呆然と立ち尽くしていました。
「あとは創と…あなた次第よ、百ちゃん。
あ、そうだ、忘れてたわ。あたし達の目的は爆豪って子を攫うのが目的よ。」
終さんはゴーグルをかけ直しながらとんでもないことを言いました。
「待ってください!貴女は何を」
「ネホヒャンッ!」
脳無が百ちゃんを襲った。…やらかしたわ。あたしじゃ脳無はどうにもできないから…
「『想像せよ』。『相心創は百ちゃんを見る』。」
創が百ちゃんを見る。この状態で動くかは分からないけど…
「モモねえサンにてヲダすなアアああ!!!」
創が黒い鎧を纏い、脳無に向かって飛び掛かる。とりあえず…助太刀ぐらいしないと。
「…ず!!八百万!!生きてるか!?」
頭が…痛い…意識と視界がぼうっとして…
「ネホヒャン!!!」
「あるルルああアアがあアア!!!」
化物のような咆哮で意識がはっきりしました。
確か、終さんと話している時に何かに吹き飛ばされて
「アレって相心だよな!?体育祭の時よりもやばいんじゃねえか!?」
1-Bの泡瀬さんが指さした先では、脳がむき出しの怪物と黒い狂戦士が戦っていました。
「創…さん…私たちを…庇っている…?」
理性はなさそうですが、怪物と戦い、私たちを守っているように見えました。
「ばるルルぐるルルううウウ!!!」
「ネホヒャン!!!」
しかし、怪物の猛攻をしのぎ切れずに、創さんの鎧が砕け散りました。
「も…モ…ネ…え…さ…ん…」
露になった創さんの体はボロボロで全身血だらけでした。
「ネホヒャン!」
怪物のチェーンソーが創さんに迫り
そこで止まりました。そして怪物はどこかに向かおうとしていました。
それはつまり…爆豪さんが攫われた…!?"最悪"を想定し、今出来る"最善"を!
「泡瀬さん…"個性"でこれを!…奴に!!!」
私が"創造"したものを泡瀬さんが"溶接"してくれました。
これで…後で爆豪さんを
「あたしもそれもらって…いいかしら?」
木の陰から終さんが出てきました。結構な怪我をしていました。
「なんだお前!?敵!?」
「待ってください…終さん…どうぞ…」
私はもう一つ"創造"し、終さんに渡しました。
「ありがとう百ちゃん。創の事、よろしく頼んだわよ。」
終さんは嬉しそうに去っていこうとしました。
「待てよ!お前が何者かぐらい」
それを泡瀬さんが止めようとして
「『亡霊による事故死事件』の亡霊よ。
これぐらいの傷でひよっこに負けるほど弱くないわ?」
終さんは泡瀬さん一瞬で組み伏せました。
「…安心しなさい。少なくともあなた達の敵ではないわ。」
この時の創君は狂戦士の人格を"想像"しているわけではないためそこまで強くありません。
次回、作者がどうしても書きたかった展開の回です。