"創造"と"想像"   作:神剣狩刃

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第27話 機械仕掛けの神は再起動する

朧を失って我を失ったあたし…便宜上『妾』とするわ。

妾は朧が死んだ事件直後、オールマイトのカウンセリングを受けたのよ。

「わーたーしーがー…カウンセリングに来た!

やあ、相心少女!本物のオールマイトだよ!」

「見ればわかる。偽物のオールマイトなどこの世におらぬだろう?」

「Oh…意外と冷静な子だね…」

 

オールマイトにカウンセリングをしてもらった理由は単純で

『オールマイトの師匠のことを聞き出すため』よ。

「オールマイト…妾は先の事件で自信がなくなったのだ…」

「大切な人を失った喪失感…私にもわかるよ。」

「だからオールマイトの師匠を教えてほしいのだ。」

「急に話が飛んだね!?理由を聞いてもいいかな!?」

 

全世界チャートNo.1を目指すなら、オールマイトの師匠がいいって考えたのよ。

「オールマイトの師匠の下で鍛えれば自信を取り戻せると思ってな。」

「真っ当な理由だね…でもなあ…うーん…」

流石のオールマイトも困っていたわね。

 

でも、妾も妾で引くわけにはいかなかったから畳みかけたわ。

「インターンの推薦状でも書いてくれればそれでよい。

オールマイトも忙しいだろう?妾一人に時間をかけすぎるものよくないだろう?」

「君本当に困っているんだよね…?冷静過ぎる気が…」

「こうでも振舞わんと心が持たぬのだ。虚勢というやつだ。」

 

とりあえず、オールマイトを説き伏せてグラントリノの所に行ったわ。

「オールマイトを超えるヒーローになりてえだ?できると思ってんのか?」

「妾ならできる。手始めに…『想像せよ』。『グラントリノは判子を押す』。」

グラントリノに"個性"を使って判子を押させたわ。

 

「っ…!?てめえ、今何をした…!?」

「妾の"個性"だ。あとは身体能力が伴えば超えるのも夢ではあるまい?」

グラントリノは嫌そうに妾に訪ねてきたわ。

「…何が目的だ?」

「なに、良き世界を作る。それだけだ。悪が潰えていく、平和な世界をな。」

あたしながら、素晴らしい夢ね。

 

そこでグラントリノから地獄のようなシゴキを受けたわ。

インターン生だからって容赦なし、血反吐を吐くような特訓だったわ。

「くっくっく…これだ…!これこそ妾にふさわしい…!」

「そのにやけ面をやめろ!不気味なんだよ!」

グラントリノが訴えられそうだから詳しくは伏せるわ。

 

とんでもない訓練を超えて、インターンが終わったわ。

「これでインターンも終わりか…良い経験になったぞ、グラントリノ。」

「最後までそのにやけ面は治らなかったか…せめてヒーローらしく笑え。」

最後までグラントリノには認めてもらえなかったけど、間違いなく成長したわ。

 

雄英に戻ったら…誰も関わろうとしてくれなかったわね。

「相心…頑張れよ…俺も応援してるからな…」

「終ちゃん…もう…いえ、頑張ってね。私も応援してるわ。」

山田も香山先輩も…変わって、いえ、壊れてしまったあたしを、妾を見て。

 

「相心…お前は何を目指しているんだ…!?」

相澤だけは別だったわ。サイドキックに誘った恩でも感じたのかしら?

「妾が目指すのは…『世界』だ。世界を統べる。妾の手によってな。」

だから妾でも本心を語れたのよ。もっとも…どこまで伝わったかは不明だけど。

 

卒業後、妾は世界を統べるべく、相方を探したわ。

『どこでも道具を出せて』『私を信頼してくれる人物』…

そう、弟に目を付けたわ。

 

「僕が姉さんの相方に…?なれるかなあ…」

「なれるとも。妾の役に立てるとも。」

うまくおだてて弟の"個性"を扱おうとしたのはいいけど…

失敗して殺されかけたわ。今でも体中傷跡だらけなのよ。

 

何とか助かったけど、いろいろ問題があったわ。

まず、妾からあたしに戻った事。死にかけて目が覚めたのでしょうけど…

とりあえず病院の人や家族から色々聞いて、状況は把握できたわ。

 

次に、弟があたしのことを忘れた事。

殺したことを受け入れられなくて、別人格に押し付けたからよ。

姉弟で似ているわね。もっとも、弟が死んだと思っているほうは生きているけど。

 

最後に、あたしのこれからの事。

弟に負けた手前、全世界チャートNo.1の夢は諦めることにしたわ。

だから…『世界を意のままにする』ことにしたわ。

 

思い立ったが吉日、退院後、即公安に売り込みに行ったわ。

「『必然的に起こせる事故死』…処理には完璧じゃない?」

雄英卒ということもあって、採用は簡単にもらえたわ。

ただし、それなりの条件を背負うことになったわ。

 

まず、表向きには死人になること。

これに関しては適当な事件をでっちあげて死んだことになったわ。

でも、問題なのはもう一つの方…

 

行動の制限よ。

公安が指定した設備しか利用できなくなったわ。

衣食住あるから問題ないって?"事象"の為に散々な目にあわされたのよ?

一通りの事故には合わされたし…何よりあたしは美男美女が好きなのよ。

あたしの美貌に見合った人間と付き合わないと気が済まないのよ。

 

雄英では朧がいて、敵では荼毘くんとトガちゃんがいたから何とかなったわ。

それじゃあ、公安ではだれがいたかって?それはもちろん麗しの

「そう言うことだったんですね、終さん。」

トガちゃんがナイフであたしを刺そうとしてきた。

 

トガちゃんの腕を軽く捻り、ナイフを奪う。

「素敵なプレゼントをありがとう。出会いが間違っていなければ…

あたしのマイフェアレディになっていたかもしれないわね?」

トガちゃんの顎に掌底を叩き込む。トガちゃんがカクリと崩れる。

 

トガちゃんがくれたナイフで爆豪くんの拘束を解く。

「これで信じてくれるかしら?」

「信じるしかねぇよ、ここまでしたんならなぁ!」

騒ぎを聞きつけ、敵達がやってくる。

 

「終さん…まさか貴女が裏切るとは…」

黒切りさんが悲しそうな声であたしに話しかける。

「黒霧さん…ドーナツのツケは刑務所で払うわ。」

あたしはナイフを構えて、臨戦態勢を取る。

 

「この人数に勝てると思ってんのか?」

相変わらず趣味の悪い死柄木が調子に乗っている。

「言葉を返すようで悪いけど…あたし達に勝てると思っているのかしら?」

その時、バーの壁を破って大量のヒーローが押し寄せてきた。

そして、敵達をあっという間に捕らえた。

 

「相澤が謝罪会見を開いたときにピンと来たわ。

意識を会見に向けるためってね。あたしと同じ手を使うなんて…アイツらしいわ。」

バーで色々なものを拾っていく。マッチに度数の高いお酒、アイスピック…

香辛料、調理器具…ドーナツとアイスミルクも必要ね。

 

色々武装しテーブルに腰掛け、ドーナツとアイスミルクを流し込み宣言する。

「すべてがそろった時、事象を意のままに操ることができる…

あたしは『機械仕掛けの神』よ。」




終姉さんは雄英卒の公安育ちなので身体能力がバグっています。
10歳以上離れているトガちゃんでは叶うはずがありません。
場合によってはトガちゃんの貞節が危なかったですね。

「むかつくなあ…」
「別世界の私が危ないからって出てきちゃだめです。」
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