バーカウンターで余裕をかましていたら、
敵と爆豪くんと一緒にどこかに転送されたわ。
「…一難去ってまた一難ね。飲みかけだけど飲む?」
「こんな状況で何言ってんだ赤ロン毛。」
飲みかけのアイスミルクのグラスを渡したら爆豪くんは断った。
仕方がないからアタシが飲み干す。あんまり味がしない。
開けた、というよりは無理矢理開かれた場所には一人の仮面の人物が立っていた。
「アレが黒幕ね…爆豪くん、逃げなさい。
貴方が逃げれられればあたしも本気を出せるわ。」
「7対2でどうやって逃げれるんだよ…!?」
「いえ、4対3よ。まだ可能性があるわ。」
バーの中で、トガちゃんと荼毘くんと黒霧さんがダウン。
敵側はトゥワイスとコンプレスとマグネとスピナーに黒幕の男ことAFOが加わって5人。
あたしと爆豪くんと今来たオールマイト、そしてマイフェアレディで4人。
今はオールマイトとAFOが戦っているから4対3ね。
AFOが黒霧さんのワープを発動させて敵達を逃げさせようとしている。
敵の最優先は爆豪くん、最悪の事態は爆豪くんが攫われること…
「爆豪くん、空に向かって爆発を放って。
そして、灰色のマスクの男に向かって走って。」
爆豪の爆発と共にショータイムが始まる。
「『想像せよ』。『コンプレスに火炎瓶が当たる』。」
マッチと酒瓶で即席の火炎瓶を作り、コンプレスに向けて投げる。
「そのカクテルは受け取れないね!」
コンプレスが炎を圧縮する。
その隙にあたしはコンプレス目掛けてアイスピックを投げる。
「させないわよ!"磁」
「『想像せよ』。『マグネは頭を銃弾で撃たれる』。」
あたしの"事象"によってマグネの頭に銃弾が撃ち込まれる。
そしてアイスピックがコンプレスの喉元に刺さる。
「何!?どこから撃たれた!?あのあたりだな!」
トゥワイスが動揺して、あたしを見る。想像通りだ。
「『想像せよ』。『トゥワイスは爆発で吹き飛ばされる』。」
「死にさらせや!」
爆豪くんの爆発によって、トゥワイスはワープホールに叩き込まれた。
「これで2対3よ。見逃してあげるから早く行きなさい。
出来ないなら…『想像せよ』。『スピナーに包丁が刺さる』。」
スピナーに向けて包丁を投げる。
「くっ…!ここは逃げるしかないか…!」
スピナーが敵達を抱えてワープホールに入る。
「…これぐらいにお膳立てすれば逃げられるわね?
お土産にこれ持っていきなさい。あたしセレクションの香辛料よ。」
バーでひそかにそろえた香辛料たちを爆豪くんに押し付ける。
「意外と使わなかったわ…何とか使い切ってね。」
「あんた、本当にアイツの姉なのか?」
姉弟といえど、育った環境が違えば何もかもが違くなるのよ。
あたしは爆豪くんを送り出し、オールマイトの助太刀に入る。
「情けないの、オールマイトよ…それでも妾の憧れたNo.1ヒーローか?」
「…君も何も変わっていないようだね、相心少女…!」
あたしはAFOに向かって啖呵を切る。
「貴様が何者であろうと…『機械仕掛けの神』には勝てぬ。
頭を垂れ、地に伏し、許しを請え。そうすれば楽に殺してやろう。」
「君は面白いことを言うね…僕を殺す?できるならやってみてほしいね。」
AFOが左腕を膨らませる。
「『想像せよ』。『AFOは」
「遅いね。」
あたしの宣言を遮るようにAFOが拳を振るう。
何とか回避ができたが、宣言をする暇がない。
「相心少女…!これでは君の"個性"が…!」
「案ずるなオールマイト。まずはお主の心配をしろ。
大掃除後の雑巾の方がまだ見ていられるぞ?」
しかし、オールマイトの言う通りであたしの"個性"を使う暇もない。
「…オールマイトよ。妾が隙を作る。その隙に奴を仕留めるのだ。」
死ぬつもりはないが、死ぬ気で挑まないと勝てない。
「相心少女!?バカなことは」
「バカなことをやるのは昔からだ。
妾の夢のためだけにお主にカウンセリングを依頼したのだからな。」
オールマイトの制止を振り切ってAFOに向かって飛びかかる。
AFOの真上でナイフを真上になげる。そして両手両足で体を守る。
「『想像せよ』」
「何度やっても無駄だよ。」
AFOの巨大な拳があたしを捕らえ、殴り抜ける。全身が砕けたかのように痛い。
「相心少女!AFO!貴様!」
オールマイトがAFOに向かって殴りかかる。AFOが再び腕を巨大化させる。
「君もここで負け」
「…『AFOは頭を銃で撃たれる』…」
あたしの"事象"によってAFOの頭に銃弾が打ち込まれる。
間髪いれず、オールマイトがAFOの顔を殴り抜ける。
AFOは物も言えずに倒れた。
落ちてきたあたしをオールマイトが受け止める。
「大丈夫か!?相心少女!?」
「『想像せよ』…『AFOは喉にナイフが刺さる』…」
あたしは動かないAFOを視界に入れながら意識を手放した。
夢を見る。
あたしの目の前に妾がいる。
「あたし生きてるよね!?」
「うるさい…早く目を覚ませ。」
「よかった…ありがと、妾。」
「抜かせ。すべてお主の力だろう?」
「妾がいなかったらここまで来れなかったから。」
「ふん…自分ほどどうにもならぬものはないな…」
目が覚める。
どこかの病室…両手両足にギプス…そしてギリギリの感覚…
「やばい…」
あたしの小声に過剰反応する人がいた。
「終!?目が覚めたのか!?お前は何度そうやって無茶をするんだ!?」
ダークブルーとピンクの混じった髪が特徴的な美女…
麗しのレディ・ナガンこと、筒美火伊那さんよ。
「あっ、火伊那さん…あの」
「お前がいなくなったら困る人が大勢いるだろう!?」
火伊那さんが泣きながらあたしに説教をする。
「なにより…お前に救ってもらった私が…一番困るんだ…!」
「…ごめんなさい。でも、火伊那さんを想っているから生き延びたのよ。」
あたしと火伊那さんは公安で一緒に働いていた。
秘密裏に悪人を処理する中、特別な関係になった。
お互いに思うところがあって、お互い打ち明けてスッキリして…
そうだ、スッキリしたい。
「か、火伊那さん…ちょっと頼みたいことがあって…」
「…なんだ、終…?」
火伊那さんは今にも消えそうな声だった。
「お、お花摘み…正直に言うと…火伊那さんの大声でちょっと…ね?」
火伊那さんは大慌てでナースコールを押す。
「もしもし!?終が大変なんだ!早く来てくれ!終に何かあったら私は」
「お花摘みしたいだけです!猶予がないのは事実ですけど、
道具は持ってきてくださいね!?」
火伊那さんは間違いなく優秀なんだけど…あたしの前ではこうなる。
まあ、好きな人の前で緩むのは分からなくも
ヤバい。ちょっと緩んだ。
「すみません!早く来てください!思ったより限界でした!」
「大丈夫か終!?最悪このタッパーに」
「タッパーの前に脱がしてください火伊那さん!」
とりあえず…最悪の事態は免れたとだけ言っておくわ。
ついに登場今作のメインヒロイン2
レディ・ナガンこと筒美火伊那さんです。
終との関係をどんどん掘り下げていきますよ。