"創造"と"想像"   作:神剣狩刃

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第29話 僕と百姉さんのこれからがどうなるかなんて神様だって知らないだろう

神野の悪夢は僕の想像をはるかに超える事件だった。

終姉さんが活躍して爆豪さんを助け、AFOを倒して、

終姉さんは病院に運ばれて、オールマイトは引退をして…

何がどうなっているのかよく分からない。

でも、言えることはただ一つ…僕の問題は解決していない。

 

相澤先生が僕の家に家庭訪問に来た。

「全寮制は問題ないですけど…」

「ふっ…終のことも話しておくべきでしょう…

どうやら相澤先生も終のことを知っているようですし…」

僕はパパやママ、相澤先生から終姉さんのことを聞かされた。

 

終姉さんのことを何とか受け入れて理解しようとしている時だった。

「…創、終のことで…だいぶ前から八百万は悩んでいた。」

そう言われて全てが繋がった。だから、百姉さんの様子がおかしかったんだ。

本当に誰にも相談できない悩みだったんだ。

 

「…僕のせいで百姉さんは…」

「…お前のせいじゃない。終の奴が悪い…そういうことにしておけ。

あいつのはた迷惑な夢に巻き込まれただけだ。責任はあいつに」

「いや、僕のせいです。

僕がしっかりしてなかったから百姉さんに迷惑をかけたんです。」

ここは譲れない。僕と百姉さんのこれからのためにも。

 

「…やっとわかったんです。僕は百姉さんとどう居たいのか。…百姉さんに伝えます。」

「…そうか。俺は教師としてそれを見届けるよ。」

「創…成長したわね…」

「ふっ…」

僕は覚悟を決めた。そして、とあるところへ出かけた。

 

8月中旬になり、新しくなった僕は寮へ向かう。

そこにはもうみんなが揃っていた。

「おはよう!皆!」

皆が僕を見てぎょっとしている。

 

それもそのはずで、赤いマッシュヘアーはどこかに行き、坊主頭になったからだ。

「ず、随分な、イメージチェンジ、だな…」

「お、お坊ちゃんみたい…」

「は、創くん…何かあったの…?」

驚く皆をよそに、相澤先生が寮の説明をする。

 

寮の名前はハイツアライアンス。

1棟一クラス、右が女子棟で左が男子棟。

5階建で、1階に食堂やお風呂や洗濯スペースがある。

1フロア4部屋の1人1部屋の贅沢空間だ。

僕の部屋は5階。棟が違うとはいえ、百姉さんと同じ階なのは嬉しい。

 

荷ほどきをして、あっという間に夜になる。

女子の皆からの提案でお部屋披露大会になる。

「「「本多っ!?」」」

僕の部屋は本が多い。"個性"で生み出すもののイメージを掴むためだ。

 

「…ん?ベッドの下になんかあるな?」

峰田さんがなぜか気付いた。

「あっ、いや、待って!」

峰田さんはそれを引っ張って取り出す。

 

「…パジャマ姿の八百万のぬいぐるみ…」

…僕が"想像"で作った等身大の百姉さん抱き枕だ。

他にもいろんなサイズの百姉さんのぬいぐるみが発掘される。

「…その…怖い夢を見た時用に作って…」

皆が優しい笑みを浮かべて僕を見つめる。百姉さんに至っては満面の笑みだった。

 

皆の部屋のお披露目が終わって結果発表になる。

1位は僕だった。知性と可愛さのギャップが良かったらしい。

「待って…皆に話したいことがあるんだ。」

解散する前に、皆を入り口前に集める。

 

「まず…百姉さん。僕が不甲斐ないせいで…

百姉さんにたくさん迷惑をかけてしまいました。ごめんなさい。」

深々と頭を下げる。

 

「そ、そんな…創さんにも事情が」

「どんな事情であれ自分のやったことから目を逸らして、逃げていたんです。

…パパやママ、相澤先生から終姉さんの事を聞きました。

そして、百姉さんが終姉さんのことで苦しんでいたことも。」

百姉さんが目を伏せる。苦しんでいたから、僕に頼りたかったんだ。

 

「僕は百姉さんとずっと一緒にいたいと思っています。

でも、終姉さんのことでずっと迷惑をかけていくわけにもいきません。

だから…僕と終姉さんの皆に伝えます。」

身内を殺しかけたんだ。何を言われてもおかしくない。

 

でも、だからって隠し続けるのは違うと思う。

「皆、これから話すことは信じられないことかもしれないけど

本当の事なんだ。聞いた後、僕のことをどう思ってもかまわない。

でも…百姉さんのことは悪く言わないで。僕のことを思って隠してきたから。」

そして僕は終姉さんとそれに関しての百姉さんの話をした。

 

子供の頃に終姉さんを殺しかけた事。狂戦士の人格を作り出して忘れた事。

僕の"個性"に制限をかけた事。

狂戦士の僕がそれらを中学生の時に百姉さんに打ち明けた事。

百姉さんは終姉さんのことを秘密にしていてくれた事。

秘密にしていたから苦しんでいた事。

思いつく限りのことを全部打ち明けた。

 

「…僕が言えることは全部言ったよ。僕のことをどう罵ってもかまわない」

「そんなことをする奴はここにはいねえぜ。」

鋭児郎君が僕の話を遮ってきた。

 

「…お前と八百万はとんでもねえ物を背負っていたんだな…

話してくれてありがとう。そして…気付いてやれなくてすまねえ。」

鋭児郎君が頭を下げる。

 

「ヤオモモ。…そんなもの抱えてたら誰だって不安になるよね。

気付けなくてごめん。だから、これからは私たちも背負うよ。」

芦戸さんも頭を下げる。

それに続くように皆がいろんな言葉をかけてくれた。

 

「創くんは僕に気付けたというのに…!申し訳ない…!」

「ヤオモモ。ウチらがいるからさ、何でも頼りなよ。」

「百ちゃん。貴女も言うべきことがあるんじゃないかしら?」

「相心、お前に何かあっても…俺達がまた止めてやるからよ。」

「ヤオモモ!何か困ったことがあったらいつでも相談してね!」

 

あれだけの話をして、いやな顔をする人は一人もいなかった。

つまり…皆が僕と百姉さんを受け入れてくれたってことだと思う。

 

「創さん。私からも言いたいことがあります。」

百姉さんが何かを決意したような顔で僕に話しかける。

「…今まで、私は頼れる『百姉さん』として振舞ってきました。

もちろん、頼ってほしいと思っているのは事実です。

しかし…私自身も誰かを頼りにしたいのもまた事実です。」

百姉さんだって人間だ。それぐらいおかしなことじゃ

 

「だから、創さんを頼りにしたいのです。心の底から信頼出来て、

何より、想い慕っている創さんを頼りにしたいのです。」

 

…そうか。百姉さんも同じだったんだ。

 

「頼りにしてください。百姉さん。

百姉さんから頼りにされたら…なんだってできます。」

百姉さんの手を取り、手の甲に口づけをする。

 

百姉さんを抱きよせる。

「だって僕…百姉さんのことが大」

…はずが緊張からうまく力が入らず

僕が百姉さんに抱き着く形になってしまった。

「…あー…その…すみません…百姉さん…」

何でこう、肝心なところで決めきれないんだろう。

 

ふふ、と百姉さんが笑った気がする。

「もう一度、私の顔を見ていってください、創さん。」

百姉さんが一旦僕を離す。そして、僕に目線の高さを合わせてくれる。

 

「…大好きです。百姉さん。」

「私もです。創さん。」

 

百姉さんと抱き合う。皆が黄色い歓声を上げる。

新しい関係になった僕と百姉さんに、どんなことが待ち受けているのだろうか。

でも、どんなことがあっても越えて行ける気がする。

だって、"創造"と"想像"が組み合わさったら…不可能なことなんてないから。




カップル成立です。身長差のすごいカップルです。
どんなお付き合いをしていくかは考え中です。
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