"創造"と"想像"   作:神剣狩刃

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第30話 あたし達の正義に踏み込もうって言うならそれなりの覚悟はしてほしい

入院生活は最高だったわ。

「終、ご飯を食べさせてやる。ほら、口を開け。」

「終、ドーナツを食べた後は歯磨きだ。」

「終、体拭いてやる。脱がせるぞ。」

火伊那さんが色々お世話してくれた。

 

そんな最高の生活も長くは続かず、3日で退院となった。

「あー…また公安の仕事漬けの生活かあ…憂鬱だわ…」

搬送中の車の中、あたしは火伊那さんの肩に寄り掛かる。

「そんなことを言うな終。お前にしかできない仕事があるだろう。」

火伊那さんがあたしの頭を撫でてくれる。相変わらず綺麗な手だ。

 

公安の建物に入るや否や、公安委員会会長から説教が飛ぶ。

「終!何が『死者らしく目立たずやるわ』だ!死者があんな真似をするか!?

おかげで連日取材陣が殺到して」

「分かったわ…緊急会見開くから会場セッティングしてちょうだい。

それより火伊那さん、一緒にお風呂入りましょ。ゆっくり湯船に浸かりたいわ。」

 

会長の小言を無視し、火伊那さんを連れてお風呂に直行する。

「会見って何を喋ればいいのかしら?あたしと火伊那さんの日常?」

あたしは服を脱ぎながらぼやく。あたしの傷だらけのセクシーボディーが露になる。

 

「必要なことを最低限喋ればいいだろう。

少なくとも…今回の事件に関してだけにしておけ。」

火伊那さんの綺麗なセクシーボディーが露になる。

火伊那さんはあたしの次に美女であるのだから、

あたしが釘付けになっても仕方がないわね。

 

「…お前は分かりやすいな終…入院生活で娯楽が少なかったのは分かるが…」

「あたしは火伊那さんが好きなのよ。好きなものはじっくり見たいでしょ?」

火伊那さんはやれやれと言った顔をしている。

「…風邪をひいたら困る。湯船の中で好きなだけ見ろ。」

あたしはのぼせるまで火伊那さんの体を見て、ついでに触って楽しんだわ。

 

バスローブ姿でいただくアイスミルクは格別だ。

まして、火伊那さんから哺乳瓶で飲ませてもらっているのだからなおさらだ。

「おいちいでちゅ。かいなママ。」

「お前何歳だ?」

「まだ30でちゅ。かいなママよりわかいでちゅ。」

「はあ…なんで私はこんな奴に…」

かいなママが頭を抱える。だから、正直に答える。

 

「もう、後悔したくないの。好きな人に甘えられるだけ甘えたいの。」

朧の件から決めた事だ。好きな人ができたらとことん頼って甘える。

あたしは一人じゃそこまで強くない。頼れる誰かといて真価を発揮する。

だから、あたしを曝け出す。我儘になる。それがあたしなりの表現だ。

 

「…そうだったな。ほら、ママに一杯甘えていいぞ?」

かいなママが優しく微笑む。

「かいなママのおっぱいがのみたいでちゅ。」

「…待ってくれ…ちょっと考えさせてくれ…」

かいなママのおっぱいはおいしかったでちゅ。

 

翌日、早速会見が開かれた。

赤いジャージ姿で現れたあたしに、うるさいマスコミがわらわらと質問をする。

「なぜ今まで生存を隠していたのでしょうか!?」

「今まで何をしていたのですか!?」

「敵連合に所属していたとのことですが!?」

どいつもこいつも碌な質問をしない。

 

あたしは長い髪を靡かせながら答えていく。

「すべては妾の夢のためだ。以上。」

「妾の夢を叶えるための活動をしていた。以上。」

「所属していたぞ?以上。」

 

「いやいや!もっとしっかり答えて」

「つまらぬ腹の探り合いなどこの程度でいいだろう。妾は忙しい。

今この時にも…妾が手を下さねばならぬ案件があるのだ。」

この一言を皮切りに記者たちの本性が露になった。

 

「亡霊による事故死事件の犯人は…貴方ではないのですか?」

「何人殺したんだ!?それでもヒーローか!?」

あたしの殺しをネタに叩きあげたいのだろう。見え透いた魂胆で

 

「公安で殺しを楽しんでいるんだろ?羨ましいよ全く…」

流石にこの言葉は看過できない。あたしの問題だけじゃない。

公安の人間が、何より火伊那さんが誤解を受ける。

「おい貴様…今なんと言った?殺しを楽しんでいる?誰がだ?」

あたしは厚顔無恥な記者に詰め寄る。

 

「公安の人間がだよ。合法的に人が殺せるなんて羨まし」

「ならば貴様が公安をやればよいではないか。亡霊殺しの功績を土産にしてな。」

あたしはポケットからナイフを取り出し、記者の手に握らせる。

そして、あたしの首元まで持っていく。

 

「やって見せよ。望み通り人を殺して問題解決できるぞ?

なに、公安の力があれば会見の一つや二つ揉み消せるぞ?」

「え、いや…じょ、冗談で」

「言って良い冗談と悪い冗談ぐらい弁えろ痴れ者が。」

あたしは手に力を入れる。サクッとナイフがあたしの喉に刺さり、痛みが走る。

「ひいいい!?何やってんだあんた!?」

記者は怯えて後ずさる。

 

「よく聞け。妾が人を殺していることは認めよう。すでに何百人と殺している。

だがな…殺して楽しかったことなど一度もない。むしろ殺すごとに責任を背負う。

その重圧を考えたことがあるか?失言をするのとは比較にならんほど重いのだぞ?

それを何十、何百と背負うのだぞ?妾達がやらねば誰がやるというのだ?

お主たちがやるか?できぬだろう?だから妾達公安がやるのだ。」

 

「殺しという手段が良いか悪いかは人によるだろう。

だが、殺さなければ解決しない問題など裏の世界にはいくらでもある。

それを表立って活躍するヒーローが解決することは出来ない。

殺さなければならないからだ。だから、妾達公安が必要なのだ。

妾達には妾達の正義があり、それに基づいて任務を行っているのだ。」

 

記者たちは何も言えなくなっていた。

「何か言いたいことがあるなら妾に直接言え。

もし公安の人間や妾の家族に何か言ってみよ…

『機械仕掛けの神』による『終末』を与えよう。」

あたしは会場を去っていく。

 

「いろいろ言いすぎだ馬鹿者!事件の事だけにしろと言っただろう!」

あたしの部屋に帰るや否や、火伊那さんにバチコリ怒られたわ。

「だって…あんな言い方する奴が悪いんだもん…」

「記者の常套手段だ!煽りに乗って余計なことを言いすぎだ!」

首に消毒液を塗られる。めっちゃ沁みて痛い。

 

「…でも、格好良かったよ。私を救ってくれた時みたいだった。」

火伊那さんが優しくあたしを抱きしめる。

おそろいのシャンプーの匂いがふわっと広がる。

「私の為にあんなことを言ったのだろう?…終は無茶しすぎだ。」

「好きな人の為に無茶をするのは最高でしょ、火伊那さん。」

あたしは火伊那さんを抱き返す。温かい。

 

この温かさが公安でのあたしを支えてくれたのだ。




こっちのカップルは爛れています。
終姉さんが我儘すぎて、ナガンさんが断り切れないのがよくないですね。
「女同士だから我慢できなくても余計な心配がなくていいわね?」
「終!お前はいつも強引すぎるぞ!もっと…こう…優しくしろ!」
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