"創造"と"想像"   作:神剣狩刃

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第32話 必殺技に恋バナ…えっ、恋バナですか?恋バナですわ。

夏休みも残り十日程になった。

そんな中、先生たちの指導の下必殺技を考えることになった。

百姉さんと一緒に仮免許取得するためにも頑張るぞ。

 

色々妄想しがちな僕だから、ある程度は思いついている。

「"創造想像改(クリエイティ・イマジネーション・アドバンス)"!」

百姉さんの具現化ができたのなら、他の人だって具現化できるはずだ。

「オオ…マサカイレイザーヘッドニナレルトハナ…」

エクトプラズム先生から見ても驚くほどの再現だ。

 

「もっとも…"個性"までは再現できないがな。」

「声マデ再現出来レバ十分ダロウ。」

声に関しては変声機を口の中に作っている。

戦いよりも不意打ちや攪乱に使う技だろう。

 

一度僕の姿に戻して、別の必殺技を考える。

色々な武器を組み合わせ攻撃してみる。しっくりこない。

高高度からのヒットアンドアウェイ。これも違う。

とりあえず、今日の所は"個性"伸ばしに専念しよう。

 

数日色々試して思ったことがある。

「…僕に必要なのは火力じゃない気がする…」

僕の"個性"で火力を求めたところで、他の"個性"の劣化版になりかねない。

かといって銃火器を"想像"したら過剰な火力だ。

火力ではなく、もっと別の方向から考えて

 

突如、首元に冷たい何かが触れる。

「うひゃあ!?」

振り返ってみると、百姉さんがいたずらっぽく笑っていた。

「頭を冷やして考えるのも大切ですよ、創さん。」

その手には、瞬間冷却材を持っていた。

 

「私と創さんの"個性"の利点はその柔軟性です。

戦いだけでなく、人に施しを与えるのもヒーローの務めです。」

なるほど。与えるという考え方はなかった。流石百姉さんだ。

 

与える…"想像"を与える…『扱えないようなものを与える』。

 

「…百姉さん。ちょっと左手を出してもらえますか?」

百姉さんが不思議そうな顔をしながら左手を出す。

「…ちょっと失礼しますね。」

僕は百姉さんの左手を両手で包み込む。

 

「想像しろ…素材はプラスチック、色は赤…

『"加想像(イマジネーション・ギフト)"!』」

 

僕が両手を開くと、百姉さんの左手の薬指に赤い指輪ができていた。

「百姉さんだからこれにしましたけど…もっと重いものも着けれるはずです。」

相手に触れる必要があるけど、近接戦でかなりの武器になるはずだ。

「相手に枷を付ける…瞬時に"想像"できる創さんならではですね。」

百姉さんもうれしそうに笑っている。

 

「ところで…この指輪は」

「僕の決心です。百姉さんとずっと一緒にいたいですから。」

僕が知る限り、左手の薬指にする指輪なんて一つしかない。

年齢的にまだできないけど…ちょっと早めのプロポーズだ。

 

「まあ…先日告白したばかりですよ?少し気が早いのではないですか?」

百姉さんは困ったように笑っている。でも、嬉しそうだ。

「百姉さんへの想いは我慢しないことにしたんです。

頼りになる人で、頼ってくれる人で、大切な人で、大好きな人で」

 

「そういうのは訓練中にやるな。非合理的だ。」

突如、捕縛布に捕らえられる。相澤先生に見つかったらしい。

「…すみません。」

「…思いを伝えろと言ったのは俺だ。TPOを弁えるのであれば何も言わん。」

捕縛布が解かれる。僕と百姉さんはいそいそと訓練に戻った。

 

ハイツアライアンス女子棟

 

今日の訓練が終わり、私は女子の皆さんと意見交換をしています。

「ヤオモモは必殺技はどう?」

「『文字通りの必殺技になってしまうから加減しろ』と言われてしまいましたわ…」

「めっちゃ物騒じゃん!?何思いついたの!?」

実際に行ったものの中から特に止められたものを言いました。

 

「一部ですが…毒を塗布したまきびしや吹き矢、

閃光弾と音爆弾とECMを組み合わせた手榴弾など…」

「そこまで行くとやりすぎよ百ちゃん…」

創さんに教えた手前、私も柔軟に考える必要がありますわね。

 

傍らで上の空のお茶子さんを芦戸さんが問い詰めたところ…

「恋だ。」

「ギョ。」

恋ではないかという話になりました。

 

私としては人の恋路に口出しをするのは憚られますが…

恋をする身として、そういう話がしたいというのも事実です。

「お茶子さん。誰かを想うというのはとても素晴らしいことです。」

「も、百ちゃん…」

浮いていたお茶子さんが下りてきました。

 

「誰かを想い、その人の為に行動をする…その時に生まれる力はとても大きいです。

時には、不可能を可能にしてしまうほどです。ですから、受け入れていいと思います。」

私は左手の薬指を飾る赤い指輪を見せました。

「創さんは私を想い、新たに成長しました。私も創さんを想い成長したいです。

ですから…お茶子さんも想い慕うことを我慢する必要はありません。」

久々に、委員長らしいことが言えたと思います。

 

「待って待って待って!?いつの間に!?」

「左手の薬指って、婚約指輪じゃん!?」

「受け取ったってことはそういうことなのヤオモモ!?」

「驚くもの無理はないけど…夜だから抑えるべきよ。」

皆様からの質問に私は胸を張って答えました。

 

「時が来たら、創さんと結婚するつもりです。」

「「「「ええー!?マジ!?」」」」

「ケロケロ…百ちゃんも大胆になったわね…」

今夜は夜が明けるまで恋バナで盛り上がってしまいました…

 

翌日の圧縮訓練は眠気との戦いになってしまいました。

「だ、大丈夫ですか百姉さん…?」

「だ、大丈夫ですわ…自己管理の欠陥で戦えないなどあって」

足元の石に躓き、転びかけました。

創さんが咄嗟に左手を取ってくれたおかげで無事でした。

 

「大丈夫そうに見えないですよ…」

「申し訳ありません…ああ、一口で目が覚める缶コーヒーが飲みたいですわ…」

右手がぐっと重くなりました。ああ、睡眠不足とはこんなにも辛い

「…ん?百姉さん、右手のそれなんですか?」

 

創さんに指摘されて右手を見ると

何かの飲料の缶が握られていました。

ぼうっとしていた私はなにもためらうことなく缶を開け、中身を口にしました。

 

「っ!?げほっ!?」

凄まじい苦みと酸味が舌に走りました。

その後に、唐辛子を煮詰めたような辛さが襲ってきました。

とても飲めたものではなく、思わず吐き出し、うずくまってしまいました。

 

「百姉さん!?」

創さんが駆け寄って私を心配してくれました。

「み、水を…」

すぐに創さんが水を"想像"して飲ませてくれました。

「…っはあ…落ち着きましたわ…ありがとうございます、創さん…」

一連の騒動で眠気はどこかへ飛んで行ってしまいました。




この回でいろいろ詰め込みすぎですね。
とりあえずハッピーエンドの方向が決まりました。
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