圧縮訓練の日々はあっという間に過ぎ、仮免許取得試験の日になった。
士傑高校のすごい勢いの人に気圧されそうになったけど、頑張るぞ。
「そうだ百姉さん…これをどうぞ。」
僕はあるものを"想像"して百姉さんに渡す。
「まあ…創さんの人形でしょうか?」
黒い鎧から僕の顔が出ている人形だ。
「僕の雄英の入試試験で百姉さんがくれた人形のお返しです。」
あの時貰った人形を見せながら百姉さんに説明する。
「…ありがとうございます。今回はお互い協力していきましょう。」
百姉さんと手を繋ぐ。自信が湧いてくる。絶対受かってやる。
試験は二段階で行われる。一次試験は様々な要素のフィールドで
体につけた3つターゲットマークを守りながら2人脱落させればいい。
3つのターゲットにボールが当たると脱落で、先着100名が通過できる。
開始早々1-Aの皆が狙われたけど、
「「ファランクス!」」
僕と百姉さんが作った大きな盾で守る。
「油断すんなよ、創!」
「足元気を付けて、ヤオモモ!」
地面からの奇襲は鋭児郎君と芦戸さんが防いでくれた。
士傑の人の"振動"によって皆がバラバラにされた。
一旦身を隠すことになったけど、僕は百姉さんと一緒にいるから問題ない。
「百姉さん。ボールを射出する装置をお願いします。」
「任せてください、創さん。」
百姉さんが機械を作り終える。僕はボールを"想像"する。
「このボールは見た目と素材は本物ですがターゲットに当てても反応はしません。」
「それを知っているのは私と創さんだけ…間違いありませんね?」
僕がいうまでもなく百姉さんは分かってくれた。
「1-Aの皆を巻き込むわけにはいかないからね。」
「私と創さんだけで完結させましょう。」
物陰から身を乗り出した僕がボールを乱射する。
「うおおお!!!おららら!!!」
周りの人たちは"個性"で逃げたり防御したり様々な対処をする。
「…ここにいる人たちの"個性"は把握しましたわ!
創さん!目と耳を塞いでください!」
百姉さんの指示に従って目と耳を塞ぐ。
その直後、凄まじい爆音と光が当たりを包む。
「私お手製の『パイナップル』ですわ…」
目と耳を塞いでなおダメージがあるのだから、
防げなかった人間はまともに動けなくなっていた。
「僕と百姉さんが突破するのに必要なのは4人…それ以外は捕縛しておこうか。」
「1-Aの皆様が気付いてくれるといいですね。とりあえず…私たちは通過ですわ。」
僕と百姉さんは次の試験に備えて、控室のお菓子をお腹いっぱい頂いた。
何とか1-Aの皆で一次試験を突破できた。
最終試験は被災現場を再現したフィールドでの救助演習だった。
「僕と百姉さんの独壇場ですね…気を引き締めましょう。」
「USJの時はできませんでしたが…今回は全力で行きましょう。」
二次試験が始まる。
「ベッドに応急処置道具だよ!」
「瓦礫の支えに、壁の補強ですわ!」
僕と百姉さんは支援に徹底した。
僕の"想像"と百姉さんの"創造"の最大の利点は柔軟な対応力だ。
火力は他の"個性"に劣っても、対応力は他の追随を許さない。
災害現場においては重宝どころか必須の"個性"と言って良いだろう。
「添木が必要なんだね!どうぞ!」
「鉄骨ですわね!持って行ってください!」
「ベッドが足りない!?なら"想像"すればいい!」
「まだまだ"創造"できますわ!遠慮なく言って下さい!」
僕と百姉さんは力の限り支援を
「敵が姿を現し追撃を開始!
現場のヒーロー候補生は敵を制圧しつつ、救助を続行してください!」
敵が現れたらしい。ここで僕がとるべき判断は…
「色は黒!姿は鎧!守りたいものを守る僕自身だ!"被再想像"!」
黒い鎧をまとい、宣言する。
「ここは僕が守ります!だから皆さんは救助活動をお願いします!」
僕と百姉さんのおかげで物資はある程度そろった。
必要以上の物資があっても余計な争いになりかねない。
僕よりも遠距離攻撃に長けている百姉さんが物資を作りながら支援、
戦闘能力が勝っている僕が防衛に入れば十分だ。
ギャングオルカの足止めはうまくいっているけど、
手下の人がこちらに向かってきている。
「行くよ!『黒よ、捕らえろ』!」
黒いワイヤーで捕らえようとするけど、たやすく千切られた。
「…もしかして、精神が追い付いていないのか…!」
狂戦士の僕は高慢だった。"想像"のイメージもすごいものだったのだろう。
対し、普段の僕はそこまで過剰なイメージを持って"想像"していない。
だから、狂戦士の技をマネてもうまくいかない可能性がある。
「どうした小僧!そんなんじゃ守れねえぞ!」
「だったら僕らしくやるまで!百姉さんの戦法、お借りします!」
僕はさっき百姉さんが使った『パイナップル』、いわゆる手榴弾を"想像"した。
「市街地でそんな危ないもん使ったら減点もの」
「手段を選んでいられるかあああ!!!」
僕は手下の人たちにワイヤーを使い、遠心力によって全力で投げた。
「全員伏せて目と耳を塞げ!」
手下の人たちが対策をしてきた。想像通りだ。
「『黒よ、広がれ(シュバルツ・フェアブライテン)』!」
爆発した手榴弾からワイヤーが大量に飛び出す。
「っ!こんなの簡単にちぎって」
「『黒よ、与えろ(シュバルツ・ギーブン)』!」
投げるのに使ったワイヤーは、手榴弾から放たれたワイヤーにまだ繋がっている。
つまり…"加想像"の対象だ。
「うおお!?体が…重く…!」
「動けなくなるほどの重い武装…防御力は保証しますよ。」
手下の人たちは金ぴかの鎧をまとって動けなくなった。
「さあ、こい!僕がいる限り手出しは」
「配置されたHUCが危険区域より救助されました!
これにて仮免試験全行程終了となります!!!」
「…する必要なくなりましたね…はい…」
「こんな時でも創さんらしいですわね。」
百姉さん…でも、百姉さんが笑ってくれるならいいか。
僕と百姉さんは90点以上の好成績を出して合格した。
でも、晴れて皆で仮免取得、とはいかなかった。
轟さんと爆轟さんが落ちてしまった。
でも、特別講習と個別テスト次第では仮免許が発行されるらしい。
それじゃあ、皆で合格したってことでいいよね。
帰り道、百姉さんと喜びを分かち合う。
「やったね百姉さん!これでヒーローに一歩近づいたよ!」
「一緒にヒーローになれる日も近いかもしれませんわね。」
百姉さんと一緒にヒーローになる。
最初は遠い夢だったけど、今は確実に近づいている。
一緒にヒーローになった暁には改めてプロポーズして
百姉さんのスマホが鳴った。
「あら…少し失礼しますわ…はい、百」
「相心終よ。久しぶりね百ちゃん。仮免受かった?
創近くにいるでしょ?代わってくれるかしら?」
終姉さんだ。なんで百姉さんの番号をしっているんだろう?
百姉さんからスマホを受け取り、終姉さんと話をする。
「…何のようですか、終姉」
「そろそろインターンの時期でしょ?公安に来ない?」
あまりにも唐突過ぎる。インターン?公安?
百姉さんも何が何なのかという顔をしている。
数日後、僕は思い知った。終姉さんはとんでもない人だと。
創君もかなり強化されてきましたね。
ゲロヤバインターン編に向けて色々書いていきます。