"創造"と"想像"   作:神剣狩刃

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第41話 反社会科見学…あたしながらうまいことを言ったと思うわ

あたしの作戦通り下っ端が出てきた。

「公安!?社会科見学ぅ!?適当なこと言ってんじゃ」

「お主、名前を何という?松葉でよいか。

『想像せよ。』『松葉は承諾する。』」

「勝手に見てけや!…はっ!?」

許可は得たを得たから進む。

 

「待てや!行かせねえぞ!」

庭の松の葉があたし達に向かって飛んでくる。

「「ファランクス!!」」

創と百ちゃんが盾を出して防いでくれた。

 

「なっ!?行かせるわけ」

「後ろががら空きだぞ?」

火伊那さんが松葉を後ろから組み伏せる。

「一度吐いた唾をこうも飲むとは…昨今の極道は情けないな。」

「てめえが吐かせたんだろうが…!」

それもそうね。なんにせよ許可は得たから進むわ。

 

松葉を縛り上げ、盾にしながら事務所に入る。

「公安の『機械仕掛けの神』だ!インターン生に社会科見学をさせに来た!

この男から許可は得た!話ができるものはおるか!」

公安直伝、要点の押し付けよ。これで相手は出て来ざるを得ないわ。

 

「公安の方が来るとは…うちでいい見学ができるとは思えませんが…」

ペストマスクをした若い男が出てきた。

死穢八斎會で一番話ができる男、若頭の治崎廻よ。

「見返りは『公安は死穢八斎會に関わらない』でどうだ?」

あたしは早速切り札を使っていく。

 

「…非現実的な要求ですね。もっと現実的なものを」

「ならば妾をこの事務所で自由に扱うがよい。

家事全般は当然…房中術もなかなかだぞ?」

そして本命を提示する。男ばかりの事務所だ。女は欲しいはず。

 

「…公安が手を出さないという保証は?」

食いついた。ここからが勝負どころだ。

「妾は公安の厄介者でな。死んでほしいと言う奴が多い。

勝手に捜査して死んだことにするだろう。」

自分の悪評すら武器とできれば人間は最強よ。

 

「盗聴器や通信機の類」

「妾の穴という穴を調べてもよいぞ?」

あたしは一気に服を脱ぐ。抜群の裸体を露にする。

「…調べて問題がなかったら見学していいですよ。」

あたしは事務所の地下に連れていかれた。

 

「さて…どうやって調べる」

「お前を一旦破壊して調べればいい。」

治崎があたしに触れる。あたしの体が崩れていく。

「っ!ぐあああ!!!」

あたしはわざとらしく悲鳴を上げる。痛いけれど、公安の日々に比べたらましよ。

 

「…本当に何もないな。想定外だ。」

治崎はあたしの体を修復した。想定通りね。

「次は尋問だ。音本。」

「公安からの指示か?」

「いいえ?あたしの独断よ。」

なるほど。こいつは本心を語らせるのか。

 

「お前は死穢八斎會を解体するつもりか?」

「いいえ?私の目標はそれじゃないわ。」

こういうやつがいてもいいようにあたしは独断で動く。

「…何が目的だ?」

「内通者に関係がある人物と会うためよ。」

この単語だけでは何も分からないはずだ。

 

「…問題なしだ。入中。こいつを適当な部屋に閉じ込めておけ。」

「分かりました。…来い。」

そうでしょうね。自由にさせるわけにはいかないから閉じ込めておくわよね。

ここからが本番よ。なにせ、『何もしない』ことが重要だから。

 

終姉さんが連れて行かれてからしばらくして、

治崎さんがニコニコしながらやってきた。

「お待たせしました。どうぞ見ていってください。」

それは嬉しいけれど、終姉さんはどうなったんだ。

「あの、お…ま、マキナさんはどうなりましたか!?」

 

「…彼女の覚悟を無駄にしない方がいいですよ。」

その言葉に僕と百姉さんは恐怖を覚えた。

「…行くぞ。あいつが選んだことだ。私たちが気に病む必要はない。」

ナガンさんは僕たちの手を引く。その手は少し震えていた。

 

「先ほどはうちの者が失礼しました…後で叱っておきますので…」

「あれはマキナの言い方も悪かった。私からも非礼を詫びよう。」

ナガンさんが気を引いているうちに僕と百姉さんは屋敷の構造を記憶する。

「…随分と物珍しそうに見ていますね?」

流石に治崎さんに気が付かれた。ここは、正直に言おう。

 

「あっ、その…敵の本拠地なんて見ることないので…」

「もし攫われた時、どう脱出すればいいか勉強になりますわ。」

流石百姉さんだ。堂々としている。

 

「勉強熱心ですね。…でも、うちの情報は他言無用でお願いしますよ。」

「公安で学んだことは関係者以外には言えず、

レポートもかけないそうだ。安心してほしい。」

ナガンさんのフォローが光る。

 

見せれるところは一通り見せた、と治崎さんが終わりを促している。

「何か質問があれば答えられる範囲で答えますよ。」

「…もし、マキナさんに会うことがあったら、これを渡してください。」

僕はビニール袋に入ったドーナツを"想像"し、治崎さんに渡す。

「中にクリームがいっぱい入っているので…潰さないようにしてください。」

 

終姉さんは悪人だと思う。自己中心的で他者に迷惑をかけるし

自分の都合で常識や道徳を平気で超えてくる。

でも、間違いなくヒーローでもある。

誰かを助けるために、あんな振る舞いを平然ととれるのだから。

 

「…分かりました。後で渡しておきますよ。」

どうか渡されますように。そして、終姉さんの支えになりますように。

 

「…暇ね。裸でいることが何の刺激にもならないわ。」

閉じ込められてると言っても、空気はあるし手足は自由だ。

こういう時は妄想するのよ。例えばあたしが看守になって

女囚である火伊那さんにあんなことやこんなことを

 

「差し入れだ…食え。」

壁を壊して入ってきた治崎が、ビニール袋に入ったドーナツを渡してくれた。

「つまみ食いはしておらぬようだな…感心だ。」

「公安の差し入れなど何が入っているか分からない。

中身を確認する気にもならない。」

おそらく…創か百ちゃんの差し入れね。

 

「中に凶器が入っていたらどうする?」

「凶器一つで出られるなら出てみろ。」

なるほど。構成員の"個性"でいくらでも閉じ込めれるか。

「それでは頂こう。…アイスミルクはある」

あたしの言葉を遮るように治崎が壁を修復した。

 

早速ドーナツにかぶりつく。

じゃりっというほど砂糖がまぶされた生地からホイップクリームが飛び出す。

クリーム自体は甘さ控えめで、意外とスムーズに

口の中でガチっと固いものを噛んだ。手に吐き出す。

「…発信機ね…武器の方がよかったけど…ありがたいわ。」

さて、後は待つだけ…妄想の続きでもしようかしら。

 

治崎は1日に朝と夜、二食の食事を出してくれた。

「死なれたら困る。何があるか分からないからな。」

ある日の治崎から、懐かしい匂いがした。

「…トガちゃん?」

「…今なんと言った?」

血の混じった女の子の匂いがする。間違いない。トガちゃんだ。

 

「トガちゃんと言ったのだ。妾の愛人だ。」

「…公安の愛人が敵とはな…世も末だ…」

死穢八斎會は敵連合と接触したということね。

 

「治崎、妾に入浴の許可を出してくれたら敵連合の情報をやろう。」

「何の情報だ。俺たちはある程度」

「本名と犯罪歴…奴らを操るなら必要だろう?」

思わぬものがジョーカーになる。だから人生は面白い。

 

「…いいだろう。ついてこ」

「ついでにトガちゃんも呼べ。一緒にお風呂に入る。」

「…分かった。」

よし。妄想でたぎった欲はトガちゃんにぶつけるわ。




実は創君を潜入させようと思ったのですが、流石にやばすぎるので止めました。
次回、終姉さんの欲が大爆発です。
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