"創造"と"想像"   作:神剣狩刃

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第44話 ようこそ公安カフェへ。当店のおすすめは出来立てバレットよ。

雄英の文化祭当日、あたしと火伊那さんは朝早くからとある喫茶店にいた。

髭と羽の生えた店主が紅茶を二人前運んでくる。

「いいかしら火伊那さん…

ティーカップは取っ手に指を通さず、つまんで持ち上げる…

淑女として当然のたしなみね。」

あたしは優雅に紅茶を口にする。

 

「…あんまりおいしくないわね。砂糖入れよ。」

スプーン三杯の砂糖を入れ、かき混ぜる。

「それが淑女の飲み方か?そのまま味わうのが」

「マナーとおいしさを天秤にかけたらおいしさを取るわ。」

火伊那さんはやれやれとした表情で紅茶を飲んでいる。

 

紅茶を飲みながら今回のミッションを確認する。

「標的は迷惑系配信者『ジェントル・クリミナル』と『ラブラバ』よ。

目標は標的の妨害をして、雄英の文化祭を完遂させること。」

「雄英の警戒範囲まで近づかれたら、失敗だな?…弟思いだな。」

 

昨今の敵の事情から、ごく一部の関係者を除いて学内だけの文化祭になる。

そして、警報が鳴ったら即中止で避難が開催条件になる。

と、香山先輩が教えてくれたわ。機密漏洩?あたしはごく一部の関係者の一人よ。

…多分。香山先輩にはお礼として、火伊那さんとの惚気話を聞かせてあげないと。

 

で、先日上がったジェンナル(何だその略称は。)の動画で

『社会全体に警鐘を鳴らすことになる』なんて犯行予告があった。

しかも、律儀に『仕事の大きさによってブランドを選ぶ』などと抜かした。

 

ここからあたしの天才的頭脳が超新星爆発的閃きを起こした。

『雄英文化祭への侵入』の可能性が高いと。

そしてすぐに雄英近くの喫茶店を調べた。

そしたら『朝早くから』『最高級のゴールドティップスインペリアルを提供する』

この店を発見した。間違いなくここに来る。

 

「まあ、創と百ちゃんのデュエットは後日、公安でやらせるからいいわ。

出来る事なら愛のデュエットの見せ合いっこをしたいし。」

「客が少ないとはいえ、淑女の会話をしろ。…愛のデュエットに反対はしないが。」

そう言うところが好きなのよ、火伊那さん。

 

そして、喫茶店に帽子とサングラスをした、怪しい二人組が入ってきた。

「…あれじゃあ、変装してますって言ってるようなものじゃない…」

「だな。…早速行くか?」

席を立とうとした火伊那さんを抑える。

 

「まあ、この世での最後の一杯になるから…一口は楽しませましょ。」

「殺すなよ?」

流石に冗談よ火伊那さん。今のところは。

 

「おや…いつもの店主ではないな?」

「ああ、ちょっと親父の体調が悪くて…代理っす。

でも、紅茶の腕は確かっすよ。」

「それじゃあ…ゴールドティップスインペリアル二つ!」

 

そして男の方が運ばれてきた紅茶を口にする。

「『想像せよ。』『ジェンナルは紅茶でむせる。』」

あたしは"事象"で紅茶を楽しませた。

 

「ごっふぉ!?」

ジェンナルは盛大に紅茶を吹き出した。

「ジェントル!?」

「す、すまないラブラバ…気にしないでくれ…」

声を聞いて確信した。標的だ。

 

あたしと火伊那さんは席を立ち、二人に詰め寄る。

「もしかして、ジェントルとラブラバか?」

「私達はファンなんだ。…動画を見て追いかけるほどのな。」

二人は嬉しそうな顔をしている。

「あ、ああ!そうとも!今日の仕事の前に一杯ね!」

「あなた達はジェントルのどこが好き!?」

 

あたしと火伊那さんはにやりと笑って答える。

「そうだな…自己顕示欲が高くて、証拠を残す所か?」

「変装のセンスだな。分かりやすくてありがたい。」

「「公安だ。話を聞かせてもらおう。」」

二人の顔が青ざめた。

 

「この場の代金は妾達が持つ。好きなもの頼め。」

「娑婆か現世での最後の一時になる…慎重に選べよ。」

火伊那さんも乗り気で付き合ってくれた。

「…こ、殺すつもりか…?」

ジェンナルが震えた声で訪ねてきたから、あたしは笑ってしまったわ。

 

「そうしてほしいか?ナガン、準備しろ。」

「任せろマキナ。楽に殺してやろう。」

火伊那さんが銃を構える。

「待って!ここは喫茶店よ!?店主が見ている」

「公安の身内に決まっているだろう?なあ、『ホークス』?」

髭と羽の生えた店主に呼び掛ける。

 

「『公安御用達の看板が付けれます』って店主さんが乗り気でよかったですね…」

今、この喫茶店には公安が三人いる。並の犯罪者なら失禁ものだろう。

「…あんた達、発言には気を付けた方がいいっすよ。

この二人、公安の『殺しのレディコンビ』っすから。」

失敬ね。ただのレディコンビよ。

 

あたしはガクガク震える二人に半笑いで話しかける。

「お、お主たちに要求することは『雄英の文化祭を邪魔しない』…これだけだ。」

「守らなかったら…当店自慢のバレットをご馳走しよう。」

「パンのブレッドじゃないっすよ。弾丸のバレットっすよ。」

ホークスが二人に羽を何枚も付ける。

 

「わ、私たちの夢はこんなところで」

「くだらん夢に意地を張るな。命を懸けるべきことは他にある。」

「私達の愛の前にはどんな壁も」

「私達だって愛している。お前達ごとき、道端の小石にもならん。」

二人は完全に黙ってしまった。

 

「…お出口はあちらっす。またのご来店、お待ちしてるっす。」

ホークスに促され、二人はトボトボと喫茶店を出て行った。

「…とりあえず、文化祭が終わるまでは監視してて。」

「終と連絡は欠かさず行え。座標を言えばすぐに撃ち込んでやる。」

あたしと火伊那さんに言われてホークスはやれやれと両手をあげる。

 

「分かりましたよ…お土産待っていますからね。」

ホークスも二人の後を追うように店を出て行った。

「…さて、飲み直しましょ。お腹も空いたわ。」

「そうだな。…お騒がせしたな店主。代金は割増しで出そう。」

「ほっほっほ…良いもの見せてもらいましたから結構です。」

 

朝ごはんと紅茶をお腹いっぱい食べたあたし達は

きっちり店主に謝礼を渡し、喫茶店を後にする。

「このあたりから離れる訳にも行かないし…散歩しましょ、火伊那さん。」

「そうだな。…お前は手を繋いでいないとすぐどこかに行ってしまうからな。」

お互いに手をぎゅっと握って散歩をする。

 

静かな住宅街は格好の散歩スポットだ。出来れば近くに

「あれ?終さんと…レディ・ナガン!?うわあ、本物だ!」

両手に袋を持った緑谷くんと出会う。

「あれ…左手の薬指…もしかして!?」

あたしと火伊那さんは顔を見合わせ、ニコッと笑う。

 

「そうよ、あたし達結婚してるのよ。」

「うえええ!?そうなんですか!?流石に知らなかったなあ…

でも、公安のレディコンビなんて言われるぐらいの仲だから」

「早くいかないと文化祭に間に合わないんじゃないか?」

緑谷くんの喋りを火伊那さんがカットする。助かった。

 

「そうでした!お幸せに!」

緑谷くんが駆けていく。文化祭が無事に行われるといいわね。

「…お前が守った笑顔だ、終。…終?」

今度はあたしが乙女の尊厳を無事に守る番よ。

「…火伊那さん近くにお手洗いってあったかしら?」

 

「ホークス!?私達の近くに公衆トイレとかあるか!?終がヤバいんだ!」

「またですか…牛乳だの紅茶だの飲みすぎっすよ…」

「早く探せ!終が漏らしたら貴様の脳天に弾丸をぶち込むぞ!」

「あんまり大声出さないで…今回はちょっと本気でやばいから…」

 

…どんな軽犯罪をしても目撃者がゼロなら無罪よ。

目撃者がいたとしても、黙ってもらえるなら目撃者はゼロよ。

「…俺に丸聞こえなのはいいんですか?」

「ホークスウウウ!座標を教えろおおお!

火伊那さんに撃ち込んでもらってやるううう!」




そう言えばしていなかったので終さんの紹介をしておきます。

終ヘアー 赤い絹ようなロングストレート
終アイ 紫のタレ目。エロイ。
終マウス ドーナツが好きでよくしゃべる
終ボディ ボンキュッボンで筋肉バキバキ
終ハート 強いのか弱いのかよく分からない

こんな人が住宅地で野シ
「ターゲット排除…終の秘密は私が守る。」
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