緑谷くんが買い出しから戻ってきた。
「お帰り緑谷さん!お目当てのものはあった?」
「うん!あ、それと途中で終さんとナガンにさんに会ったんだ!
二人って結婚していたんだね…初めて知ったよ…」
何で二人が来てたのか不思議だけど、今は文化祭を楽しまなくちゃ。
僕達のライブは"個性"を使って大盛り上がりになっている。
そして、ついに僕と百姉さんのデュエットになる。
舞台袖で、僕と百姉さんは準備をする。
「行きますよ、百姉さん…"被想像"。」
狂戦士の体格になり、赤と黒のタキシードを纏う。
「では…この手を取ってください、創さん。」
対になるように青と白のドレスを着た百姉さんの手を引く。
舞台に立つと客席から大きな歓声が上がった。
「なにあの子!モデルさんみたい!」
「うへっ、俺の女よりは劣るなあ…」
「あんなカッコイイ奴1-Aに居たっけ!?」
「睦まじいなあ…羨ましい。」
「奇遇ね、アタシもそう思っていたわ。」
そして僕と百姉さんの愛の舞台が始まる。
か細い火が 心の端に灯る
いつの間にか燃え広がる熱情
私の蝶 不規則に飛び回り
あなたの手に鱗粉を付けた
絡み合う指ほどいて
唇から舌へと
許されない事ならば 尚更燃え上がるの
抱き寄せて欲しい 確かめて欲しい
間違いなど無いんだと 思わせて
キスをして 塗り替えて欲しい
魅惑の時に酔いしれ溺れていたいの
束縛して もっと必要として
愛しいなら執着を見せつけて
「おかしい」のが たまらなく好きになる
行けるトコまで行けばいいよ
迷い込んだ心なら
簡単に融とけけてゆく
優しさなんて感じる暇など 無い位に
繰り返したのは あの夢じゃなくて
紛れも無い現実の私達
触れてから 戻れないと知る それでいいの…
誰よりも大切なあなた
夜明けが来ると不安で 泣いてしまう私に
「大丈夫」と囁いたあなたも 泣いていたの?
抱き寄せて欲しい 確かめて欲しい
間違いなど無いんだと 思わせて
キスをして 塗り替えて欲しい 魅惑の時に
酔いしれ溺れたい
引き寄せて マグネットのように
例えいつか離れても巡り会う
触れていて 戻れなくていい それでいいの
誰よりも大切なあなた
歌詞に合わせ蝶の模型をはばたかせ、赤と青の光を灯す。
時に百姉さんを拘束し、時に百姉さんに絡みつかれ、
そして最後には観客に見せつけるようにキスをする。
張り裂けんばかりの大きな歓声と拍手が僕たちを彩る。
「やりやがった!!マジかよあの野郎ッやりやがったッ!!」
「流石1-A!」
「俺たちにできないことを平然とやってのけるッ!
そこにシビれる!あこがれるゥ!」
その中から一際目立つ声が聞こえた。
「最高じゃない!アンコールよ!アンコール!アンコー」
「教員が囃し立てるな。…まあ、今回は見逃してやるか。」
ミッドナイト先生の凄まじいアンコールを相澤先生が止め、
僕たちの舞台は幕を下ろした。
舞台の後片付けをし、僕と緑谷さんはリンゴアメを作った。
「…よし!できた!ドーナツに比べれば簡単だよ!」
「ありがとう創くん!今度お礼するね!それじゃあ!」
緑谷さんはリンゴアメをもって走って行った。
用事が済んだ僕は、百姉さんの元へ駆け出した。
「お待たせ百姉さん。後は一緒に見て回りましょう。」
「残り時間、楽しみましょう!色々食べたいですわ!」
プリプリしている百姉さんを連れて、いろんな屋台を回った。
「焼きそば、たこ焼き、クレープに…ドーナツはいいや。」
「トルネードポテトなるものがありますわ!?」
「いいですね、行きましょう。そしうたら…」
こうして僕たちの文化祭は大成功に終わった。
数日後、終姉さんから電話が来た。
ナイトアイさんとの話が付いたから、
緑谷君と一緒に公安に来てほしいとのことだった。
「…ということなんだ。ひどいことはしないと思うから…多分。」
「ドーナツとアイスミルクを食べながら話をするだけですわ…多分。」
「何で2人して多分でしめるの!?不安だよ!?」
緑谷さんには申し訳ないけど…確信が持てないんだ。
百姉さんもそこに関しては仕方がないという顔をしている。
「というか連れてこれないと…僕と百姉さんの将来が危ないんだ…!」
「お願いします緑谷さん…!人助けだと思って…!」
「そ、そう言われたら断れないよ…」
終姉さん直伝の押し付けで、緑谷さんとの約束を勝ち取った。
翌日、緑谷さんを連れて公安にやってきた。
「はぁい、緑谷くん。『機械仕掛けの神』こと相心終よ。」
「『レディ・ナガン』こと筒美火伊那だ。マキナとナガンでいい。」
「す、すごい…また公安のレディコンビが揃っている…
しかも住宅地で見た時よりも雰囲気がある…お互いを想っているから」
「と、とりあえず早く話しましょう。僕も詳しく聞きたいです。」
「そうですわ。時間は有効に使うべきですわ。」
五人で取り調べ室に入る。
終姉さんが話の火蓋を切る。
「ドーナツとアイスミルク忘れたわ。創、籠とカート作って。
で、あたしの部屋から持ってきて。断ったら…分かってるでしょうね?」
僕は籠いっぱいのドーナツとアイスミルクを持ってきた。
「それじゃあ…乾杯。」
「「「乾杯。」」」
「いやいや!?何でそんなに自然にできるの!?」
これに慣れないと終姉さんとまともに話せないからです…
終姉さんが、アイスミルクとドーナツをもしゃもしゃしながら話を始める。
「とりあえず…緑谷くん。あなた、オールマイトから"個性"を貰ったでしょ?」
緑谷さんがビクッとする。
「大丈夫よ。嘘を付いた方が大変になるから真実を言いなさい。」
終姉さんに気圧され緑谷さんは色々話してくれた。
もともとは無個性だった事、オールマイトから"個性"を貰った事、
OFAという"個性"だからできた事、OFAとAFOの関係の事…
ドーナツがなくなると同時に話が終わった。
「いい情報が手に入ったわね。さて今度はこちらが話す番だけど…
創、ドーナツとアイスミルクのおかわり。早く持ってき」
「終?」
「…ごめんなさい。あたしが行きます…」
流石ナガンさんだ。一言で終姉さんを屈させた。
終姉さんがいっぱいのドーナツとアイスミルク持ってきて、話が再開する。
「雄英にいる内通者を探しているのよ。何か気になる人物はいない?」
「な、内通者!?どういうことですか!?」
終姉さんが内通者の説明をする。
(面倒だから過去の話を見なさい。)
(横暴だぞ終。…だが、同じ話になるのは事実だ。省略させてもらう。)
「…ということよ。妙な動きをした人間はいないかしら?」
終姉さんの質問に緑谷さんは頭を抱える。
「うーん…あっ、いや、でも…」
緑谷さんには思い当たる節があるようだ。
「何でもいいわ。小さな気がかりでも話しなさい。」
「マキナはとんでもない頭脳も持っているんだ。」
「実力は確かだよ。信じて話してほしい。」
「実力は確かですわ。信じて話してください。」
僕達に気圧されて、緑谷さんは白状した。
「青山くんが妙なことをしていたんだよね…」
創君と百姉さんが歌っているのは『magnet』という曲です。
木村カエラさんの『Butterfly』と悩みましたが結婚はまだ早いのでこちらにしました。