"創造"と"想像"   作:神剣狩刃

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第46話 仲間を問い詰めるのは気が引けるけど、目を逸らす訳にはいかない

緑谷さんは青山さんの奇行について話してくれた。

妙に距離を詰めてきた事、『知っているよ☆』というメッセージがあった事、

青山さんも"個性"と体が合ってない事、それで仲良くなった事…

 

「超怪しいじゃない。創、百ちゃん、青山くんから聞き出しなさい。」

終姉さんが無茶ぶりを言う。

「いや、どうやって聞き出せば…」

「いきなり『内通者ですか?』と聞く訳にはいきませんからね…」

 

終姉さんがチッチと舌と指を鳴らす。

「まずは青山くんの言動を見るのよ。

仕草、目線、声音、発言、態度…ありとあらゆるものを見なさい。

もし彼が内通者だったら、相当追い詰められてるはずよ。」

 

確かに、大切な仲間を敵に売るなんて簡単にできないだろう。

そうしざるを得ない状況に追い込まれていると考えるべきだ。

それでも、許されざる行為をしているのだから、心へのダメージは相当なはずだ。

心のダメージが大きい人間は、必ずいつもと違う様子が出てくる。

人が変わったり、無理に強がったり…それを見極める必要がある。

 

「もし、ぼろを出さないようだったら…

『AFOが意識不明である』ということをちらつかせるといいわ。」

僕達にとっても衝撃の事実だったけど、

「えっ!?AFOって意識不明なんですか!?」

緑谷さんが一番驚いていた。

 

「オールマイトから聞いてないの?あたしのおかげで意識不明なのよ。」

「私も奴の頭に弾丸を撃ち込んだ。…私のせいでもある。」

「本当は殺したかったけど…流石に意識を奪うのが限界だったわね。」

「殺していたら騒ぎになっていただろうからな…

それが良いか悪いかは今でも不明だが。」

 

裏切った先の相手が自分に手出しをできないなら、打ち明けるのは簡単だ。

青山さんからしてみたらまだ投獄されただけで、手出し不可能とは思えない。

だったら、内通者がバレないようにふるまっている可能性はまだ高い。

 

学校に戻った僕と百姉さんは青山さんに話しかけた。

「あのー、青山さん。最近何か困っていることはないかな?」

青山さんはフレンチを食べながら考えている。

「んー…ネビルレーザーの腹痛かな☆

体に合ってないからしょうがないけど…困っているのは事実さ☆」

 

青山さんの顔は特に何も動いてない。

「腹痛に困っているのでしたら腸内環境を整える事が大切です。

食物繊維を多くとり、発酵食品も積極的に摂るようにするといいですわ。」

「ありがとう、マダム☆食物繊維に気を付けてみるよ☆」

発酵食品はチーズで間に合っているか…いや、そうじゃなくて。

 

「あー、いや、それは大変だよね…でも、"個性"の悩みじゃなくて、

人間関係的なところでの悩みとかないかなーって…」

青山さんのナイフがピタッと止まる。

 

「…一緒にフレンチを楽しめる仲間が欲しいかな☆」

青山さんの顔が真顔になった。

「フレンチでしたら私とご一緒しませんか?今度、私の家にご招待しますわ。」

「僕も百姉さんにマナーは教えてもらったから楽しめるよ。どうかな?」

青山さんは笑いながら答えた。

「大丈夫だよ☆僕はマナーが完璧じゃないからね☆」

 

『無理に笑いながら』『大丈夫』、これがSOSだ。

僕は百姉さんと顔を見合わせ、意を決する。

 

「…青山さん。僕と百姉さんは公安でインターンをやっている。」

「知ってるよ☆いろいろ知りたいけど…教えてもらうのは無理だろうね☆」

「その中で、何を話しても外に伝わらない取調室がありましたわ。」

「…何に使うのかは想像しないことにするよ☆怖いからね☆」

流石にこれぐらいじゃ本音を明かさないか。もう少し踏み込もう。

 

「僕の想像なんだけど…青山さんは人には言えない何かで困っていると思う。」

「誰しもそういう悩みはあるさ☆君たちだってあるだろう?☆」

「だからこそ、誰かに…信頼できる誰かに言う必要がりますわ。」

「んん…もしかして惚気話かい?☆僕でよければ付き合うよ☆」

はぐらかし方が不自然だ。遠ざけようとしている。疑惑が確信に変わった。

 

僕は青山さんに向けて手を差し伸べる。

「青山さんが何かに困っているのは僕にはわかる。

困っている人がいるのに目を背けることはできない。

だから、この手を差し伸べるよ。必要なかったら払ってほしい。」

 

「創さんはとても頼りになる方です。

ともに泣き、ともに笑い、支え合ってくれる方です。

私も…共にヒーローを目指す仲間として、青山さんの力になりたいです。

ですから、まずは公安で話すだけでもお願いします。」

百姉さんの支援が入る。

 

「…やっぱり惚気話じゃないか☆フレンチのチェイサーには重」

「AFOは意識不明でとても動ける状況じゃないそうです。」

切り札を使う。

「…この話ができる人間が公安にいます。性格はあれですけど、

とんでもない実力を持った人間がいます。…AFOを殺害できるほど。」

終姉さんだったら間違いなくできるだろう。

 

青山さんが僕の手を握った。

「…公安でもフレンチは食べれるかい?」

「…ドーナツとアイスミルクになるかもしれません。」

「一応相談してみますわ。」

終姉さんのことだからフレンチクルーラーを用意すると思う。

 

終姉さんに手配をしてもらって三人で公安にやってきた。

「はぁい、ムッシュ青山…早く中に入って。」

異様にガクガクしているバスローブ姿の終姉さんが出迎えた。

「あの…ナガンさんは?」

「それも含めて中で話すわ…」

 

中に入ると明らかに怒っていますと言う感じのナガンさんがいた。

「よくできたなマキナ…次は分かっているな?」

終姉さんはすっかり怯え切って縮こまっている。

「はい…取調室へ案内します…」

 

道中の公安の人が明らかに気まずそうにしている。

流石に気になりすぎる。僕はナガンさんに聞くことにした。

「あの…終姉さんは何をやらかしたんですか?」

「浮気だ。私がいながら若い女に手を出したんだ。」

それはナガンさんもここまで怒るだろう。

 

「人の趣味嗜好は色々ありますが、いくら何でも節操がなさすぎますわ…」

百姉さんの言うとおりだ。結婚したら他の人を見る必要はないだろう。

「しかも…敵連合の一員に手を出した。

相手が警察に言えないことを良いことに、かなり激しいことをやっていた。

どうしようもないだろう?」

 

僕と百姉さんは全く同じ言葉が出てきた。

「最低だ…」「最低ですわ…」

それしか言えない。人としてどうかと思う。

 

「そのことを寝言でほざきやがったんだ…!

『トガちゃん若くてモチモチぴちぴちだ』と…!

だから公安全員の前でお仕置きしてやったんだ…!」

 

『寝言でやるのは理不尽じゃないか?』と思ったが

一緒の部屋で寝ているのに、そんな寝言がでたら怒り心頭だろう。

「絶対に許せませんわ…!そうですよね、創さん…!?」

その通りですけど、目が怖いです、百姉さん…僕はそんなことしませんから。

 

「ところでどんなお仕置きを」

「銃を口から突っ込んでやった。かなり奥までな。」

そんな事されたら…僕だったら上から下から色々出るだろう。

だから終姉さんはバスローブ姿でガクガクしているし、

周りの人は気まずそうにしているのか。

ナガンさんが終姉さんの手綱を握れる理由が分かった気がする。

 

五人で取り調べ室に入り、今回はナガンさんが幕を切り落とす。

「ふざけた取り調べをしたら…またやるからな、マキナ?」

「二度としません…ドーナツとアイスミルクも自分で持ってきます…」

「ならよろしい。早く準備しろ。」

ドーナツとアイスミルクはいいんだ…ラインがよく分からない。




終姉さんがヤバい人なのは当然ですが、
終姉さんに対してのナガンさんもなかなかヤバいですね。
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