"創造"と"想像"   作:神剣狩刃

49 / 57
第49話 この事態もあの人の思い通りだと言うのだろうか

エンデヴァーさんとホークスさんと終姉さんが、脳無を退け、

終姉さんが敵連合の荼毘の正体を高らかに宣言した。

衝撃の中継を共有スペースで見ていた僕たちは、何も考えられなかった。

 

「燈矢兄さんが…生きていた…」

 

焦凍さんの衝撃は僕が体験したもの以上だろう。

死んだはずの肉親が生きていて、敵になっていたなど、受け止めれる気がしない。

「焦凍さん…無理に受け入れない方がいいよ。…心が持たないから。」

これぐらいの事しか言えない僕自身が情けない。

 

「…そうですわ。それに真実とも限りませんわ。

終さんは…とんでもないことをする人ですから。」

確かに、終さんはとんでもないことをよく言うし、よくする。

でも…嘘をついていたことは一度もなかった。

 

翌日、僕の下にとんでもない電話が届いた。

「もしもし創?あたし謹慎処分喰らったのよ。」

それはそうだろうと思ったが、それでも驚くものは驚く。

 

「何でも『言って良いことと悪いことぐらい区別しろ』だってさ。

会長からクソ長い説教されるわ、火伊那さんともしばらく会えないわで最悪よ…」

僕は正直に思ったことを口にした。

「よくクビにされませんでしたね。殺されても文句ないですよ?」

「あたしの目標を言ったら何とか許されたわ。あんたには教えないけど。」

全く教えてもらいたくない。巻き込まないでほしい。

 

「ということで、インターンは火伊那さんとホークスが担当するわ。」

それはそうだろう。謹慎処分されてる人ができるとは思えない。

「百ちゃんにも伝えておくから、じゃあね。…あのクソ会長が!死ねば」

死ねばいいは終姉さんと関わった人の大半が思っていると思います。

 

とりあえず、百姉さんと相談をする。

「どうしましょうか…公安へのインターン止めます?」

「…まだ学べるものが多くあるのは事実です。

それに…問題児がいなくなったのでまともな活動ができると思います。」

 

考えてみたら現場を二回見て、取調室で話すぐらいしかしていない。

前向きにとらえるべきだ。公安でのインターンは続けよう。

 

私は今、終がやらかした大事件の会見に追われている。

「どういうことですか!?あなたのパートナーじゃないですか!?」

「あの発言は真実なんですか!?意図は何ですか!?」

こういう時、終ならなんというだろうか。

 

「今は明かせぬ。だが、何時か明らかになる時が来るだろう。」

いや、そんな何にもならない発言をして何になると

「そもそもお主たちは質問する相手を間違えている。

ナガンには今回のことは何も伝えていない。質問するなら妾にしろ。」

 

謹慎中のはずの終が私の横にいた。

「なんでいるんだ!?謹慎中だろ!?」

「妾はヒーローだ。謹慎中でも人助けはする。」

ヒーローなら謹慎になるようなことをするな、とは言えなかった。

 

「妾には妾なりの案があるのだ。それを明かせと言うのか?」

「明かしてくださいよ!だから色々問題に」

「敵連合二名の無力化に成功した。すべて説明してやろう。」

終はとんでもないことを口走った。

 

「敵連合に取り入った妾は奴らの動機を探った。

トガち…渡身被身子は『自身の承認』、

荼毘こと轟燈矢は『エンデヴァーへの復讐』…

動機を無くした敵など大した障害にならん。」

 

「これを明かしたら連合は警戒するだろう。

お主たちのせいで平和への道が一つ閉ざされた。

その責任はどうするつもりだ?謝罪の一つや二つでは済まんぞ?」

終は先を見すぎているし、独りで考え過ぎている。

でも、間違いなく、その通りではある。

 

「二度と来るな、痴れ者共が。貴様らでは真の正義など一生理解できぬ。

黙って偽善活動をしていろ。エンデヴァーの所にでも行け。

妾より面白い話が聞けるだろう。…二度も言わねばわからぬか?」

終の圧に記者たちが帰って行く。

 

「終…今の話詳しく聞かせてもらえるか?」

「謹慎中でも火伊那さんとのおしゃべりは大歓迎よ。」

その笑顔の裏ではいったい何を考えているんだ?

 

終の部屋に到着して、早速話を

「話の前に一緒にお花摘みしましょ。火伊那さんに膝枕してもらって長話するわ。」

その気遣いをもっと別の所にしてほしいもの

待て、一緒にお花摘みって一緒の個室でするって意味ではないだろう!?

 

…終の言うとおりの『一緒にお花摘み』を終え、部屋に戻る。

ベッドに座った私の膝に、終が遠慮なく頭を乗せ話を始める。

「まず…敵連合に入ったのは公安の指示であるのは違いないわ。」

「『もしかしたら火伊那さんに協力してもらうかも』と言っていたからな。」

その結果、敵連合の構成員と、裏に潜む巨悪AFOの情報を手に入れた。

 

「その時に目が付いたのがトガちゃんと荼毘くんよ。

理由はイケメンとカワイ子ちゃんだったからよ。」

終の判断基準は終の好みによる…ひどいものだ。

「で、トガちゃんは連合で知り合ったけど…

荼毘くんの方は前から知っていたのよ。」

意外な情報が出てきた。

 

「私の学生のころの夢『全世界チャートNo.1になる』って夢があったじゃない?

だからNo.1は当然、No.2のデヴァーのことも調べていたのよ。

そこで家族構成を知って気になって、公安に入ってさらに詳しく調べたのよ。」

公安の情報網を私利私欲のために使ったのか…

 

「そしたら長男である轟燈矢が死亡した事件を知ったのよ。

青い炎の火災とは言え、死体が見つからない…私の死亡事件と似てたのよ。」

終が死んだとされていた事件でも、死体は見つからなかった。

現在こうして生きているから当然なのだが、そこが引っかかったのだろう。

 

「そして連合で出会ったのよ。青い炎と火傷の痕を見てピンと来たわ。

顔もしっかりと面影があったからなおさらよ。

そしたら敵になった動機は簡単よ。『自分を見捨てた父への復讐』ね。

だから奴の父であるエンデヴァーの地位を揺らがせたかったのよ。」

No.1になったタイミングで、敵になった息子の暴露…たちが悪すぎる。

 

「トガちゃんに関しては、血への欲求と

『かわいい』と言った時の笑顔で分かったわ。

血を吸う"個性"のせいでだれからも受け入れてもらえなかったのよ。

だから、あたしがいっぱい、トラウマになるぐらい可愛がったのよ。」

自分の欲求を上回る愛は時に恐怖を覚える…本当にたちが悪い。

 

「これがあたしの敵連合弱体化プランよ。

他のメンバーは…ホークスがやるでしょ。」

ホークスが早すぎる男なら、終は勝手すぎる女だろう。

成果を出した場合、ホークスの方が評価されるのは言うまでもない。

だが、成果だけで言えば終がやったことも素晴らしいものだ。

 

「天才って誰にも理解されないのよ…ああ、あたしって本当に罪だわ。」

このプランを説明したって誰も理解できないだろうから、誰にも言わない。

だから、説明不足で罪になる。天才なのも罪なのも事実だ。

 

「でも…あたしには火伊那さんがいるから問題ないわ。」

終を支えられるのは私しかいない。終が心の底から信頼しているからだ。

「私にも…終がいるから問題ない。」

私を支えられるのは終しかいない。私が心の底から信頼しているからだ。

 

「大好きよ。火伊那さん。」

「大好きだ。終。」

自然と唇が重なる。こうやってキスをすることも終の思い通りなのだろう。

本当にたちが悪い奴だ。迷惑なのにいないと困る。




自分がどうなろうと大切な人が認めてくれるから何でもいいという
壊滅的な人間性で動くのが終姉さんです。
信頼というにはあまりにも歪んだ、依存みたいなものでしょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。