学級委員長を決めることになった。
百姉さんが委員長で僕が副委員長らしい。
「ふ、不安だよ百姉さん…百姉さんを支えられるかなあ…」
「大丈夫ですわ。創さんがいればどんな事態も想定できますわ。」
想像力豊かってことでいいんだよね?そしたら百姉さんが何とかしてくれるよね?
だったら僕も頑張るよ。いつかは百姉さんのサイドキックになって
今日のヒーロー基礎学は救助訓練だ。コスチュームを着てバスに乗る。
救援物資を即座に作れる百姉さんと僕はきっと大活躍に違いない。
「で、でも…うまく助けられれるかなあ…ふ、不安だよ百姉さん…」
バスの中、僕は百姉さんの膝の上でガタガタ震える。
「大丈夫ですわ。創さんと私がいればどんな人も助けられますわ。」
百姉さんが僕の頭を優しく撫でてくれる。その優しさはママを想起させる。
百姉さんは僕のママだったかもしれない。
去年の誕生日は百姉さんママの手作りビーフシチ
「一かたまりになって動くな!」
相澤先生の叫び声で現実に引き戻される。何かが起きたらしい。
敵がやってきて、オールマイトを殺したいらしい。何言ってるんだ?
というかこれ僕達殺されるんじゃないか?
「うわあああ!百姉さん!怖いよおおお!」
命の危機に百姉さんに抱き着く。恐怖で何も考えられなくなる。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
死にたくない死にたくない死にたくな
「創さん…私から離れないでください…!」
百姉さんがギュっと抱き寄せてくれる。
温かい。安心する。
そうだ。百姉さんと一緒なんだ。だったら…何でもできるはずだ。
黒い霧に包まれたかと思えば高いところにいた。
「この数をどうにかしないと!」
耳の長い耳郎さんが叫ぶ。
「電気を纏うだけだ俺は!」
チャラ男の上鳴さんも叫ぶ。
耳郎さんは音で攻撃をして、上鳴さんは電気で攻撃している。
百姉さんは武器を作って応戦している。僕は…僕は…
敵に囲まれている。ああ、どうしよう。百姉さん…
『百姉さんがいる』…なら…
「…百姉さん。『手を握ってください』。」
「…!創さん…!わかりました!」
僕は百姉さんの手をぎゅっと握る。そして深呼吸する。
「こんな時に何してんだよ!?」
「死を覚悟するのは早いって!」
「お二人とも…創さんが『変わったら』すぐに私の後ろに隠れてください。」
思い浮かんだ。明確な"想像"が。それを口にする。
「色は黒、姿は鎧、性格は高慢にして不遜…
全てを意のままにする狂戦士!
"被想像(アーマード・イマジネーション)"!」
…ああ、久しぶりだ。いつぶりだ?中学2年の時以来か?
つーか、何だこのゴーグル?鎧の下にゴーグルはないだろ…
「な、なんだこのガキ…姿が変わったぞ…!?」
「デカくなって…全身を鎧で固めていやがる…!」
「構わねえ!やっちま」
「うるせえよ、雑魚ども。」
大剣を一振りし、烏合の衆を蹴散らす。
「…地面にいるな?『想像』通りだ。」
足踏みをし、地面から敵を叩き出す。
「特別に拳で相手をしてやろう。」
敵の腹部に拳を入れる。一撃で意識を失った。
何やら中央に面白そうな化け物がいる。行くしかないな。
久々に娑婆に出れたんだ。大暴れさせてもらうか。
軽く一跳びで現場に到着する。
「…誰だお前?」
体中に手を着けた気色の悪い男が質問する。
「相心創。…お前は後回しでいい。」
俺は黒い化け物に向けて大剣を振るう。
黒い化け物は受け止めようとしたが、無駄に終わり真っ二つになる。
「なんだよ…見た目だけか?」
しかし、化け物の体がすぐに引っ付く。
「『再生』か。なら…『治らなくなるまで切ればいい』。」
黒い化け物をめった切りにする。細切れになった化け物はピクリとも動かなくなった。
「…何だよこいつ…こんなの聞いてねえぞ…!」
手の男の右手が俺の兜に触れる。兜が砕ける。
逆立った赤い髪、ゴーグルの下で爛々と輝く紫の瞳…なかなかイケメンだろ?
「なるほど…『壊す類』の"個性"か。俺の敵ではない」
「弔!一旦引きますよ!」
黒い霧が手の男を連れてどこかに行った。
「なんだよ…こっからがお楽しみだってのによ…」
「追いつきましたわ!」
懐かしい声が聞こえる。振り返るとそこには彼女がいた。
「…ああ、久しぶりだな『百姉さん』。」
その姿を見て笑みがこぼれる。だから呼び出したのか。
「…相変わらずですわね。『創さん』。」
簡単に言うと俺は二重人格者だ。普段のビビりと今の俺の二人だ。
"想像"でこの姿を具現化した時だけ俺は出てこれる。
やばい時のとっておきってやつだ。
「…そろそろ『時間』だ。『抑えられなくなる』前に頼む。」
「…相澤先生。創さんに"抹消"をかけてください。」
アイザワ?マッショウ?そこのぼさぼさした男のこと
「…んえ…あ…??」
あたまがぼうっとする。ここはどこだろう?
「大丈夫ですか、創さん?」
「もも…ねえさん…」
ももねえさんだ。ももねえさん…百姉さん?
そうだ思い出した。敵に囲まれていて…
「『アレ』使ったんでしたっけ…すみません…迷惑かけなかったですか?」
「迷惑だなんてとんでもありません…創さんのおかげで助かりました。」
敵がいなくなってるから間違いなく活躍はしたのだろう。
でも…皆が明らかに事情を説明してほしそうな顔をしている。
「…黙っていてごめんなさい、…僕の"個性"って人を具現化することもできて…」
「ほ、ホントにいつもの創なんだよな…?」
「『騙して悪いが』とかやめてよ!?」
「大丈夫だよ。あの状態から戻るには『意識を揺らがせる』必要があるんだ。
今回は相澤先生が"抹消"してくれたから戻れたけど…」
戻る条件は意外と簡単だ。寝落ち寸前のあれぐらいで十分戻る。
百姉さんが近くにいれば麻酔薬を嗅がせてくれて元に戻してくれる。
でも、その手段がないと暴走しかける。その際、家族を傷つけたことがある。
これが僕のトラウマだ。…でも、誰を傷つけたんだ?パパやママではないけど
「とりあえず…今後は使わないようにしますので…怖がらないでくださいね?」
「私が来た…アレ?もう終わってるの?」
オールマイトがやってきて、残りの敵達を捕縛してくれた。
こうして事態は収まったが…僕は厳重注意を受けた。
相澤先生曰く
『…いくらなんでも危険すぎる。止める手段があるとき以外は使うな。』とのことだ。
明日は臨時休校になるらしい。少しでも体と心を休めないと。
ついに来ました創君の強化形態。
この状態になると身長が190台になります。
バキバキの筋肉の190台…どこぞのコマンドーでしょうか?