あの姿を見ても皆は『かっこいいじゃん!』とか
『ギャップがあっていい!』とか言ってくれた。
嬉しいけど…条件が揃わないと使えないから何とも言えない。
そんな中、相澤先生がとんでもないことを言った。
「雄英体育祭が迫っている。」
全国のトップヒーローもスカウト目的で見る、と百姉さんが説明する。
二週間後に迫る体育祭…何をしようか?百姉さんと一緒に訓練するのがいいかな?
「百姉さん、一緒にトレーニングしませんか?」
「お誘いはありがたいですが…ご遠慮させていただきます。」
涙が出た。やばい。百姉さんに嫌われたんだ僕。
ああどうしよう。これから何を目標に生きて
「ち、違いますわ!?創さんが嫌いになったわけではありません!
今回は…創さんに全力で挑んでみたいんです!」
僕に…挑む…?百姉さんが…?僕よりも色々できる凄い百姉さんが…?
「…創さんは少し自分を過小評価しすぎです。
私よりも早く物を作れますし、発想の組み合わせでは私を上回っています。
切り札はまだ不安定ですが…あれを使えば私だって苦戦を強いられるでしょう。
創さんには創さんの強みがあります。だから…私は創さんに全力で挑みたいんです。
創さんも全力で私に挑んでください。私からのお願い…いえ、我儘です。」
百姉さんは僕を『かわいい弟』ではなく『本気で戦う相手』と認識しているみたいだ。
百姉さんがそんな覚悟を見せているのに…泣いている場合じゃないな。
「分かったよ百姉さん…僕は百姉さんに勝ってみせる!
そして…体育祭でもワンツーフィニッシュを決めるんだ!」
「その意気ですわ、創さん!さあ、お互い頑張りましょう!」
こうして僕の激動の二週間が幕を開けた…
「…だから、一緒にトレーニングしてほしいなって…どうかな鋭児郎君…?」
「もちろんいいに決まってるぜ!創のトレーニングも教わりてえしな!」
ひたすら鋭児郎君と一緒に筋トレと"個性"の訓練をすることにした。
「鋭児郎君はシンプルな"個性"だから複雑なことはしない方がいいと思うよ。」
「そうだよなあ…"硬化"だけで何でもできるとは思えねえしな…
よし!絶対砕けないようになってやるぜ!」
「それじゃあまずは日本刀から試してみようか!」
「いきなりやべーもんだな!?でも、やってやるぜ!」
「おい、見ろよ創。『亡霊による事故死事件』だぜ…」
「インターバルに物騒なもの見せないでよ…」
「意外とこういうの怖がるんだな創って…」
「僕がビビりなのは知ってるよね?怖いもの全般駄目なんだよ…」
夢を見る。
赤い髪の女性が僕に話しかけてくる。
「少しは思い出したか?」
「…昔、僕の"個性"で家族を傷つけた。それは覚えている。」
「なるほど…で、誰を傷つけたんだ?」
「…それは覚えていない。」
「…『想像』するんだな。」
目が覚める。
そして体育祭当日…選手代表の先生に僕が指名される。
「せ、宣誓!ぼ、僕たち私たち一同は、す、スポーツマンシップに乗っ取り!
せ、正々堂々と戦い、互いを高め合い…えーっと…い、いろいろ誓いましゅ!」
ああ。やってしまった。なんで僕って肝心なところで決めきれないんだろう。
第一種目の障害競走が始まる。轟さんの氷による先制攻撃を躱す。
間髪を入れずに第一関門の巨大なロボットが迫ってくる。
「パワードスーツだけじゃ芸がないから…!
イメージしろ!色は銀色、素材は鋼、一刀両断の日本刀だ!」
迫ってくるロボットの腕を切り落とす。
「是非もなし…なんちゃって。」
百姉さんも大砲でロボットを倒している。流石百姉さんだ。
綱渡りをしろと言わんばかりの第二関門だが僕には関係ない。
「バネ+グライダー=シーケンスブレイク!」
体力テストで見せた滑空を披露する。
「ギミック無視かよ!何でもありにもほどがあるぜ!」
「ルールさえ守れば何でもあり…まさに"想像"次第ってところか。」
これで僕はトップに躍り出た。最終関門は地雷原のようだ。
僕は立ち止まって考え事をする。
「おーっと!トップの相心が立ち止まったあ!流石に地雷原は厳しいか!」
「飛んで越すのもリスクがあるからな…どうする?」
後ろからは轟君と爆豪君が来ている。その後ろには百姉さんもいる…
三人の個性なら跳ぶ僕を落とすのは簡単だろう。
そもそも…1位でゴールしたいかと言われたらそうでもない。
第二種目や最終種目があることを考えると他者の情報が欲しい。
1位のメリットは不明ということを考えれば…
「あーっと!?相心が立ち往生している間に轟と爆轟が追い越したぁ!」
「…なるほど…それもまた選択の一つだ。」
ここは皆の戦法を見よう。
「創さん…何を考えているかはわかりませんがお先に失礼しますわ!」
百姉さんは盾を作りながら駆け抜けている。
「悪いな相心…オイラはこうさせてもらうぜ…」
峰田さんは百姉さんに"もぎもぎ"でくっついている。
「対人地雷なんてすぐ掘り出せる!!」
緑谷さんは地雷を掘り出してその爆風で一気に飛び越す。
他の皆の"個性"もざっと目を通していく。
「…よし、観察は十分だ!僕も一気に行くぞ!」
パワードスーツを身に纏い全速力で地雷原を駆け抜ける。
「動き出した相心はまさかのパワープレイだあ!」
「耐えれるなら地雷は踏み抜いてもいい…合理的だな。」
スーツがちょっと重いけどその分頑丈だ。爆発も余裕で耐えられる。
「だが、1位でゴールしたのは緑谷出久だあ!」
元より1位なんて考えていない。ある程度の順位であればそれでいいい。
「続いて轟がゴール!爆轟もゴールしたぞ!」
でも、一つだけ我儘を言うなら…
「八百万がゴール!…あっ!?峰田が引っ付いているぞ!?
それに続いて相心がゴール!立ち止まった時間が差になったか!」
百姉さんに勝ちたかったな。
第二種目は騎馬戦になった。42位から5Pずつ増えていくけど…
1位が1000万Pなのはやりすぎだと思う。1万Pぐらいでいいと思う。
この15分間で騎馬を組む必要がある。…誰と組もうかな?
相心君の"想像"の条件は両手が開いていることです。
両手が空いていれば体のどこからでも"想像"できます。
なのになぜ上下長袖のジャージなのかと言いますと…
『最悪脱げばいい。』とのことです。