殲滅戦争 作:Libro
魔神城。その会議室。
ラウンドテーブルが置かれただけのただっ広い部屋には普段いないはずの者が居た。
高校の勉強から再開しそろそろ大学受験の勉強を始めようか悩み始めているディロンとする事無くて暇なアニエス。
他は何時も会議室を利用するケントニス・ヴィッセンとウード。幾人かの魔族。
魔族が齎した情報にディロンが目を広げて驚いた。
「──ドアイラクが倒された?」
魔神城。会議場。普段は参加しないディロンが参加したのは議題でもあるとある
ドアイラク。かつてネボとの戦いで消滅したはずの
ケントニスと契約で繋がったディロンは一部のケントニスの権能が使える。ならば過去記録からドアイラクの情報と取り出し再構築するのは難しいことではない。
無論ドアイラクだけでなく他の
その中。ドアイラク討伐の知らせは正に落雷でも受けたような衝撃であった。この中の全員落雷程度では何も感じないのは置いておいて。
何しろドアイラクの能力は広範囲攻撃。下手な都市ならばジャブで放つ一発で消し飛ばす。
それが壊されたという事は可能性は三つ。
一つはドアイラクが認識・攻撃するのが遅れる程の超スピードで接近し
もう一つはドアイラクを超える攻撃範囲を持つ者が相殺不可能な超威力を放って壊した。
最後の可能性。これが一番最悪のパターン。単純にあらゆる能力がドアイラクを上回っていたという絶望的な相手だということ。
最低でもディロンという邪神に次ぐ存在に匹敵。ないしは上回る速度か攻撃力の持ち主が現れたという訳だ。しかも人間側に。
『既にドアイラクを倒した相手はわかっている。本題はそこではない』
「……なら問題ないんじゃないか?」
相手がわかっているならばもう一度ドアイラクを作ればいいだけだろう。とディロンは考える。
『問題あるとも。それこそが今回の議題だ──ドアイラク討伐の相手は勇者パーティだ』
「……あ?」
ディロンが怒気と共に魔力を放出する。
儀式の核となり弱体化していても尚。この場の全員を威圧出来るだけの圧はある。
『落ち着け。今回の勇者は前の様な地球の者ではない。この世界の勇者だ』
「…………そうか」
はぁ。とため息と共に魔力の放出を辞める。
肉体的能力が下がってはいるが他の能力──無限の魔力と全意思疎通は健在。その気になれば人類が死滅する程の魔力を無尽蔵に放てる。今はまだ。
「で、それに対して俺はどうしたらいいんだ?」
『一応は当事者なのだから、伝えておかなければならないと思ってな』
現段階でディロンが勇者の発見を知ったところで出来ることは無い。精々が倒された
戦略も戦術も知らず何なら今ケントニス達が何をどうしているのかも把握していないディロンが出来ることなど何もない。
儀式の核となった弊害で能力が落ちているうえそもそも城から出るのを許されない状態では本当に何も出来ないのだから。
『さて。勇者出現は置いておいて。全体進捗を共有しようか。今儀式事態は凡そ五割弱程進んでいる。順調に私が近づいている訳だが──』
ケントニスの進捗方向をBGMにディロンは故郷への思いをはせる。
(後三年。後三年で帰れる。長かった。実に長かった)
六年というのは長いようで短い。微妙な時間だ。
これが六年間汗水流して動き回る必要があるのならば兎も角ディロンに出来ることは無い。特定地点に居続ける事だけが仕事。
無論それだけで世界全体に悪影響を与え続けている。
魔物の増加に
それこそ今ではディロンが直接暴れた事で死んだ人間よりも城に居座った結果死んだ人間の方が多い。数にすれば万は余裕で越える。
ケントニスがホログラム上に展開した地図を眺めながら地球へ帰ったらどうするか考える。
最初に何をすべきか。帰ったときの時間軸が同じならばあの時の予定通りにすべきだろうがそんな昔の事など忘れてしまった。
大学はほぼ休みなしで行ってた為単位は問題ないはず。レポート類は提出期限が何時かもう忘れた。
こうして考えると忘れたことが多いな──と思いながらディロンはそのまま考え事をつづけた。
■
世界の何処かで。誰かが喋り出す。
それは絶対的な正義の象徴。魔を打ち払う勇気ある者の声。
聖杖を持つ女の願いが。他所から来た祖たるエルフの末裔が。