殲滅戦争   作:Libro

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第8話

 闇の中にいる。

 母に抱かれている時のように。無償の愛を注がれている安心感を感じている。

 

(何処だここ)

 

 はて、何があったと目を開ける。

 眼前に異形が居た。

 試験管から這い上がってきた人型の粘土。暗闇よりも暗い何か。

 

 驚愕に眼を見開く暇も無く、抱き着かれた。

 異形が触れ、取り込まんとスライムのように蠢き不破泰二を取り込まんと動く。

 

 

 

 

 ──恐怖。絶望。憎悪。

 

 

 憎い。人間が。

 どうして我らを滅ぼす。どうして生まれて殺すのか。

 私が何をした。何もしていない。

 

 

 自身に絶望した。

 何故自分には何もできない。

 偉大なる主と違い何故自分には力がない。

 圧倒的な力を誇る膂力も、あらゆる攻撃を防ぐ防御も無い。

 

 

 全てに恐怖した。

 人も、エルフも、世界も。

 何もかもが怖い。

 誰も自分を認めない、受け入れない。

 誰も自分を観ずに"拒絶"する。何故だ。私たちは何もしていないだろう。

 

 

 

 負の感情が不破泰二に流れ込み──

 

 

「知るかボケ」

 

 ──素手で異形の胸を貫いた。

 いつの間にか体が治っている。気づけば日本の頃の普段着を纏っている。

 だがそんなことは関係ないのだと。不破泰二は異形よりも強い感情を吐露した。

 

「怖い? 憎悪? 知るかボケ勝手に思ってろ。俺には一切関係ねぇ、頭ん中で勝手に考えてろ。俺に入るな踏み入るな」

「そこは俺だけの世界だ。俺の領域だ。俺の大事なモノだ。どこの誰とも知らんゴミカスが押し入るな」

 

「どけ、蛆。俺のモノに触れるな」

 

 取り込む。

 スライムのように動く異形を知ったことかと逆に侵食する。

 恐怖? 絶望? 憎悪?

 そんなものしるか。それを上回る狂気で塗り替えせばいい。

 

 言うは簡単。行うは困難。

 

 相手は異形。更には推定数百年から数千年。あるいはそれ以上もの間熟成された負の感情の塊。

 それにたった一人で、更には負の感情等生まれにくい現代日本で生きていた者が上回る。

 不破泰二の本質は狂気。

 

 "やられたらやり返す"

 

 右の頬を殴られれば相手を殴り殺し、家族を傷つけられれば相手の家族と親しい者全員皆殺しにする。

 

 それが不破泰二。現代日本で生きていたとは思えない狂った精神を持つ者。生まれながらの精神異常者。

 しかしながら日本では発揮することない精神性でもある。

 そもそもがまともに──生きた人間の臓物を見ることなどない世界の住人が容易く虐殺を行った。

 そう。ただの人間は虐殺どころか殺人なんてできやしない。

 自身と造形がほぼ同じ存在。如何に人間ではないと思い込もうが本来ならばできることの無いこと。

 

 それを不破泰二は思考する間も無く。感情に任せて行った。

 何という狂気。狂気の先にいる者。

 

「今日から俺がお前だ」

 

 そうして、異形は自我を不破泰二に飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

「——何処だここ」

 

 目が覚めた。

 異世界に来てから常に感じていた違和感が消える。

 靄がかかったように動かなかった思考が回る。

 

「……落ちたところか」

 

 はぁ、とため息を尽き立ち上がる。

 体の感覚が違うが"この方が正しかった"様に違和感なく体が動く。

 

 周囲は散乱している。

 地面と壁に罅が入り、試験からは謎の液体が噴き出している。

 

(──なんだこれ)

 

 わかる。

 掌を何度か開いたり閉じたりし、意識を集中すれば自身についてわかる。

 今の自分に何ができるのか。何が出来ないのか。

 与えられた力。失った力。全てがわかる。

 

 今の自分の身体能力。魔力の総量。単純な技能。

 

 この体──詳細不明の体がもっている力でさえもわかる。

 保有する力は眷属の製造と支配。

 圧倒的な肉体能力と再生能力と変身。

 

 そして、元から持っていた力も。

 この異世界に来たことで与えられた能力は三つ。

 一つは全意思疎通。相手に意思があるのならば通じる力。言語の壁など知ったことかと会話で着ていたのはこの力。

 二つ目は無限の魔力。魔力の大元から直接引っ張ることで魔力を無尽蔵に使える。ただ一度に引き出せる量に限りがある為注意は必要。

 三つめは勇者の肉体。最適化された肉体。単純な身体機能の向上や技能の習得のし易さが上がっていた。

 

 最後の勇者の肉体は上位の異形の肉体に塗り替えられたが。

 

「ここから出るか……」

 

 地面に罅を入れながら、不破泰二は歩き出した。

 

 バキバキと歩く度地面が陥没する。

 丁度不破の足の形に砕ける。ここが脆いのか、自身の力が上昇したのか。

 まぁいいかと歩く。

 

 道中、大型──十メートル程の人型。歪んだ腕と単眼。下半身はスカート上という見たことの無いゴーレムを発見したり。

 プロペラと鉄の箱を見つけたが全て無視する。

 開かない扉もすべてその手で孤児上げ、体が示す方向へ突き進む。

 

「……これなのか」

 

 そうして突き進んだ果てに見つけたのは。

 幾つもの管に繋がれ、ぶら下がっている球体だった。

 

 

(何も感じない)

 

 異形の体から感じた力も、魔力も、何もかも。

 見れば"ああ、そこにあるんだな"と物理的にしか感じない。

 

「ふざけるな……」

 

 手を強く握る。人の体ではないため鉄を握りつぶせる握力で握ろうと血は流れない。

 

「ふざけるな……」

 

 エネルギーの供給は絶たれている。球体から感じるのは僅かな力の残滓。欠片。

 余りにも少ない。別次元への移動を可能にするとはとても思えない。

 

「ふざけるなぁぁぁっ!」

 

 叫びは迷宮を揺らした。

 

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 太陽の熱に当てられ女がポケットからハンカチを取り出し、汗を拭く。

 まだ冬だというのに長時間歩いてきたからか汗が酷い。

 化粧が解けないかな。なんてくだらないことを考える。

 

「ここが魔人とやらが死んだ場所ね……」

「かも? な、死んだかどうか確認するのが俺たちの仕事だ」

 

 アンファング跡地。

 人も魔物も寄り付かなくなった場所に、三人の男女がやってきた。

 それぞれバラバラな服装。統一感などない者達は首にかけたドックタグだけが同じ所属の者だと証明する。

 男が一人。女が二人の人数だけならハーレムパーティだ。

 言わずもがな冒険者たちだ。

 首にかける木製のタグにはBと彫られているのが彼らのランクを証明する。

 Bランク。と言うのはベテランの領域だ。

 最上位こそAと用意されているがそこまで行くのはごくわずか数百年に一人の逸材だ。

 逸材以外の物にとってはBランクこそが一般的な最上位として知られている。

 上から二番目と言えば低そうだがそもそも高ランク──Aランクの魔物等は短期で大国を滅ぼしうるというか滅ぼす。

 そんな化け物がポンポン湧くわけがなく。基本魔物の最高位はBが最大だ。

 そのBランクの魔物でさえ大都市をも滅ぼす力を持つ。

 たった一人で一国の一軍に匹敵。或いは凌駕するのがBランクだ。

 早々なれるものではなく一国に三つぐらいパーティが居ればいい方なのだ。

 

 そんな上位冒険者に数えられる者達はこの滅びた国の都市にやってきたのだ。

 

「ここがあの『アンファング』? 冒険王の始まりの地とされる……」

 

 女の魔術師がリーダーの蛇人(リザードマン)に問いかける。

 

「らしいな、その面影はあんまり残ってないが」

 

 蛇人(リザードマン)

 蛇をそのまま直立させ手足をくっつけたような風貌の男だ。

 

「昔、ここに来たことがあるが……あの紫色の瓦礫を見ろ。ありゃ領主様の城の残骸だ」

 

「マジ?」

「マジのマジ、あんな色の瓦礫はまずねぇよ」

「マジか……滅ぶ前に観光にきたらよかった」

 

 あちゃー、と軽く女魔術師が流す。

 

 

 

 

 不破泰二が異形の軍を率い。アンファングを攻めてから二週間が経過していた。

 その間に起こったことと言えばこの国──クンラフの滅亡が周辺国家に周知された。

 別に国が滅ぶことは事例が無いわけではない。

 邪神に滅ぼされるなり悪魔に滅ぼされるなり。自然に湧いた魔物に滅ぼされる等。

 そうして滅んだ国を取り込み巨大化していったのがクリセルダという大国だったりもするが。

 

「おーい、そっち何かあったかー?!」

 

 遠くまで響く声に意識を戻される。

 声の方を見れば土煙を上げ。猫の獣人が走ってくるのが見える。

 猫をそのままに足歩行にしただけの存在だ。

 性別は女だが獣人種の例に漏れず大事な所だけ隠すスタイルだ。

 

 ものすごい速度で走ってくるも当たる前に速度を急激に落とし蛇人の前で止まる。

 しかち土煙は止まることなく。蛇人と女魔術師。何ならとうの獣人も包み込む。

 

「わっ、ごめん!」

 

 ゲホゲホと蛇人と女魔術師が咳き込み気をつけろと叫ぶ。

 

「で、何かあった?」

 

 しかし謝罪はしたものの全く悪びれることなく獣人が蛇人に問う。

 

「ゲホッ……こっちも何にもねぇ。人間の死体すらねぇよ」

「私も、探知魔法も魔術も試したけど一切反応なし」

「ありゃ? じゃあ依頼達成?」

 

 楽な依頼だー。と最も若い猫の獣人がはしゃぐがそれを女魔術師が諫める。

 

「まだわからないわよ。と言ってもこれ以上何をすればいいのかもわからないけど……」

「そうだな……この街の迷宮の入り口に向かうぞ。そこから入れそうなら入って探索、入れなさそうなら一度ギルドに戻る」

「……随分と慎重ね? 何があるの」

 

 何時になく真剣な瞳で女魔術師が蛇人に問いかける。

 それを見た蛇人がはぁとため息をつく。

 

「ここだけの、本当にここだけの話だぞ──この依頼、各国のお偉いさんからなんだよ」

「えっ」

「しかも、相当上の」

 

 ハハッ、と蛇人が笑う。

 しかし声は笑っていても表情は一切変わっていない。

 如何に蛇人で表情が人には読みにくくてもわかってしまうぐらいには。

 

 各国のお偉いさんということは一国だけじゃない。

 どんな依頼だと思っていたらまさかのとんでもない依頼だった。

 

「じゃあ手を抜くわけにはいかないわね」

 

 ぎゅっと、杖を握る。

 

「えー? 普段は手を抜いてたのかー?!」

「いや言葉の綾よ。手を抜いてたわけじゃないわ!」

 

 女魔術師の言葉を譜面通り受け取った獣人が掴みかかる。

 それを見た蛇人が尊い……と拝みそうになるが直ぐにやめる。

 そしてごっほん。とワザとらしく咳をする。

 

「いーから向かうぞ~」

「「はーい」」

 

 そうして紫色の瓦礫の方に三人は歩いて行く。

 

「……入り口知ってるってことは前に来たことあるの?」

「ん、まぁ数年前にな。ここの入り口は領主の館の地下にあるんだ」

「へぇ、まぁ国としては管理したかった。てとこかしら」

 

 そんな他愛もない話をしながら歩み続ける。

 その間も警戒は怠らない。

 探索職(シーカー)としての能力も技術も一番高い猫獣人が周囲の匂いと音に気をやり。

 女魔術師が簡素な探知魔術を常時発動し。何かあれば直ぐわかるように構える。

 そして蛇人が何時でも攻撃できるようにするという布陣の元歩いて行く。

 

 瓦礫が邪魔だな、と蛇人が言いながら歩いて行く。

 そうすること十分を過ぎたころ。

 

「ま~だ~」

 

 グタ―、と女魔術師が愚痴る。

 

「もう少しだ。瓦礫が邪魔でな……」

 

 そういいながらも、周囲の警戒は怠らずに進む。

 

 

 

 瓦礫の山を進むこと三十分。

 ようやく領主の城後の入り口までたどり着く。

 

「ここを更に掘り返せっての……」

「そうするしかないな……」

 

 ぐったりとした表情で女魔術師が言う。

 三十分も歩いた後。そこは先ほどよりもでかい瓦礫の山だ。

 紫色の瓦礫には、よく見るとルーン文字が刻まれており、一つ一つが魔力。あるいは物理的な攻撃に耐性を持っていたことがわかる。

 中にはいまだ文字が発光し効果が持続しているのがわかる。

 つまり下手な魔法も物理も通じにくいというわけだ。

 

「全部掘ろう!」

 

 獣としての本能か。たった一人掘るという行為に興奮を覚える獣人がいるが瓦礫の山を歩いた後にこれだ。

 体力もないし。これだけの瓦礫の山を下手に動かせば瓦礫に飲まれるかもしれない。

 さてどうするかと女魔術師と蛇人が獣人を諫めながら相談する。

 

 やはり魔法で吹き飛ばす、という結論が出そうになった時に異変が起こった。

 

「っ! なにこの魔力!」

 

 最初に気づいたのは女魔術師だ。

 地面から膨れ上がる膨大な魔力に探知魔術に引っかかり叫ぶ。

 次に獣人が気づく。

 

「下から何か盛り上がってくる!」

 

 獣の聴力と探索職の力で下からの音と微かな振動を感じ取る。

 

 

 そして最初に冒険者たちが居たところから黒い光が立ち上る。

 夜の空よりも黒い光に三人は目を奪われる。

 何処か綺麗にも思える破滅の光の中。この中で最も眼のいい獣人が黒い光の中に何かがいるのに気づく。

 それが何かわからないが、少なくともいいモノではないと。

 声を出そうにも、体中の毛が逆立ち指一本動かせない。

 

「──逃げるぞ」

 

 いち早く正気に戻った蛇人が撤退するよう促す。

 

「あれが何かわからんが。これ以上ここに居たら駄目だ」

 

 その言葉に残りの二人も正気を取り戻し、頷く。

 さぁ逃げるぞと、走り出そうとした瞬間。

 

「おい」

 

 ずっと、地の底から響くような声が聞こえる。

 蛇人の声でも。獣人でも。魔術師の声でもない。

 

 生物としての根本的な恐怖を感じる声だ。

 それが、蛇人の眼の前から。

 

 ありえん、なんだ。

 いったい何なんだと思考が回る前に、目の前の大男が喋りだす。

 

「ここは何処だ。おい」

 

 このパーティでは最も身長の高い蛇人と目線を合わせるように、少しかがみながら男が言う。

 蛇人とて身長が低いわけじゃない、190cmというこの国の人間の平均値より20も高い。

 人を見下ろしたことはあれど目線を合わせられたことはない。

 

「お前……人外の類か。死ね」

 

 蛇人が回答に困る中男がいきなり掴みかかってくる。

 両肩に手を置かれ抵抗しようとするも恐ろしい力で捕まれる。

 動けば肉が裂けると。恐怖に顔を引きつらせ。

 

 両肩から、縦に裂かれた。

 裂かれた蛇人の体から血が吹き上がる。

 縦に裂かれた体からは内臓も骨も丸見えになっている。

 

 男が掴んでいた肉を離し蛇人の死体が地面に落ちる。

 落ちた瞬間。獣人が男に拳を向ける。

 獣の膂力で放たれた拳は男の顔面に当たる前に防がれる。

 

 蛇人の血が付いた左の掌で防がれる。

 すぐさま。動体視力もいいはずの獣人も認識できない速度で顔面を掴まれる。

 

 猫の顔を掴まれジタバタと藻掻くが。数秒のあがきに過ぎなかった。

 

 男が少し掌に力を籠めぐしゃりと顔面を潰される。

 風船が割れたように中身が飛び散る。

 脳みそが地面に撒かれ。片方だけ残った眼球が脳みその上に落ちる。

 

 その上に残った獣人の胴体が落ち。もぴくぴくと動くさまは無様としか言いようがない。

 

「女もいるのか」

 

 はぁ、と男は呟く。

 それによってようやく目の前の現実を直視した女が狼狽える。しかし頭が回らないのか魔術も魔法も使う様子はない。

 逃げることもできず、ただガタガタと歯を震わせ。足をガクつかせるだけだ。

 

「……お前、旨そうだな」

 

「──ひぃ」

 

 男が言った瞬間。女魔術師の視界一杯に男の顔が映る。

 碌な抵抗もできないうちに、男が口を大きく開ける。

 顎が外れる程。男の口が開く。

 

「まっ」

 

 女魔術師の視界に最後に映ったのは。

 見たこともない、青く、美しい星空だった。

 

 

 ぐちゃり、と女魔術師の頭部が丸かじりにされた。

 

 

 

 

 

 ■

 

 

「ここ迷宮都市か……?」

 

 

 殺した女の死体を服事食べ終わった男──不破泰二が呟く。

 

 何が起こったのか、怒りに任せて魔力を解放し全てを破壊した。

 

「……これあれか、見間違いじゃなかったのか」

 

 自分の変化などどうでもよく、最優先は日本への帰還であった。

 故自分の体の把握など後でいいと無視した自分の体を確認する。

 皮膚は太陽の元に長時間晒されたように黒くなっている。

 碌に鍛えてもいなかったはずの体は八つに割れ。腕などは丸太のように太い。鉄をも粉砕できそうだ。

 

 次に特徴的なのは手足の指。

 蛇のような鱗に覆われ。先端は獣のような爪に変化している。

 蛇人よりも鋭く、硬い指は鋼鉄どころかもっと硬い金属をも紙のように裂きうる程。

 

 黒色の髪は更に黒く、は星一つない夜空を閉じ込めたかのように黒く暗くなっている。

 長い長髪は肩までかかり。何処か野生を思わせる顔つきを少し和らげている。

 そして最も変わったのは眼球。

 もはや生物的な機能はないのか眼球が有する部分が何一つない。

 

 どうやって視界を確保しているのか全く分からない黒い瞳にはこの世界からは見えない星空が浮かんでいる。

 黒くも青くもない月がたった一つ浮かび。この大陸から見える星座の形をしない星々。

 月の向こう側には青く輝くひと際大きい星。

 

「帰るのだ──」

 

 不破が立ち上がり夜空を見上げる。

 瓦礫の山に座す男は幻想的。破壊の王。

 

「返るのだ──」

 

 

 跳躍し背中から蝙蝠を思わせる赤い線が描かれた翼を広げる。

 何十mと広がる翼に包まれて。男は飛び出す。

 

「還るのだ──」

 

 

 両目に浮かぶ故郷の景色(地球)を目指し、魔王(不破)は飛んで行った。

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