義妹は妹キャラとして認めん!という俺に、義妹ができてしまった件。   作:荒井竜馬

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第18話 義妹VS幼馴染 第2ラウンド

「ごめんね、美優ちゃん!」

 

 そして、義妹と幼馴染の再戦は開始早々、幼馴染的なポジションにいる夏希の謝罪で幕を閉じた。

 

「なんか軽い気持ちいじっちゃったんだけど、思ったよりも美優ちゃんの反応が良くて、つい……」

 

 夏希は両手を合わせて、申し訳なさそうにそんな言葉を口にしていた。

 

 突然謝られると思っていなかったのか、美優もしばらく言葉を失って驚いているようだった。

 

「別に、夏希さんが悪いって訳でもないし、謝らなくても大丈夫だから」

 

 美優は小さく咳ばらいをした後、謝る夏希にそんな返答をしていた。

 

 まぁ、あれは突いた夏希も悪いとはいえるが、それ以上に美優が暴走したことが原因だしな。

 

 おそらく、本人もそのことについては理解しているのだろう。

 

「でも、それとは別件が一つ。なんで夏希さんが春斗君の隣に座ってるの?」

 

 一見、許したように見えた美優だったが、その瞳はジトっとしたものに変わっていた。

 

 そして、その目は夏希だけではなく、俺の方にも向けられていた。

 

 どうやら、俺と夏希の連帯責任になっているようだ。

 

「え? あっ、本当だね。これはうっかりだ」

 

 笑ってとぼけるような夏希の態度を見て、学校での美優のように視線が冷たいものになろうとしていたので、俺は話題を変えることを試みた。

 

「ていうか、夏希はなんでファミレスに?」

 

「いや、うちも両親遅いみたいだから、たまには外食をと思ってね。春斗のうちも?」

 

「まぁ、そんな感じだな」

 

 そういえば、昔から夏希の家の両親も帰りが遅かったな。だからこそ、互いの家で一緒に過ごす時間が長かったわけなのだが、何となくその説明がしづらい雰囲気があった。

 

 なんか、美優がずっとジトっとした目を、こちらに向けて来ている気がするし。

 

各々料理の注文を済ませ、ドリンクバーで飲み物を取ってきた後、おもむろに美優が口を開いた。

 

「……二人は、昔からそのくらいの距離間だったの?」

 

 おそらく、ずっと気にはなっていたのだろう。何度か言葉にするのを躊躇った様子から、そんな気がした。

 

 この問いに対して、なんて答えるのが正解なのか。

 

 無駄にゆっくりとストローでドリンクを飲みながら考えていると、隣に座っていた夏希が反射的に口を開いていた。

 

「昔の方が距離近かったよね?」

 

「「なっ」」

 

「ほら、一緒にお風呂入ったこともあったし」

 

「しょ、小学四年生で!?」

 

 美優はがたっと音を立てながら椅子から立ち上がると、机に手をついて前のめりになりながら、慌てているようだった。

 

「は、はは、春斗君! ほ、本当なの!?」

 

「いやいや、さすがに小四で一緒に風呂に入らんだろ!?」

 

 さすがに、小学四年生ともなれば男女の違いを意識し始める年頃。そんな年頃に、女子と一緒にお風呂に入った記憶なんて、あるわけがない。

 

 どうせ、また美優をからかうために言っているのだろうと思って夏希の方を見ると、夏希は瞳をぱちくりとさせて驚いていた。

 

「え、本当に覚えてないの? 初めて遊んだときに、私のこと男と勘違いして、風呂に連れ込んだくせに」

 

「つ、連れ込んで……」

 

 美優は夏希の言葉を聞いて、顔を真っ赤にさせて言葉を震わせていた。幼い頃の俺の行動を何だと思っているのか、誤解によってその頬を熱くさせていた。

 

 そうだ。そう言われて思い出した。

 

初めに会ったときは、夏希のことを男の子だと勘違いしていたんだ。

 

 その頃は夏希も胸が平らだったので、疑うことなく雨に濡れた夏希を風呂場に連れ込んだ記憶がなくもない。

 

「いや、あれは事故だ!? 勘違いって夏希も言ってるだろ!?」

 

「まぁ、そのあとも普通に春斗の家で着替えたこともあったし、もう時効かぁ」

 

「お、お着換え……それも、普通って言えるくらいの頻度」

 

 夏希の言葉を受けて、美優は目をぐるぐるとさせるくらい動揺してしまっていた。そのまま頭でやかんを沸かせるくらいに、顔を真っ赤にさせてしまっている。

 

「あっ、別に、昔から良かったっていうアピールしてるわけじゃないからね。む、昔のことだから、さ」

 

 最後に、夏希が照れたように頬を掻く様子を見て、美優は何も言い返すことができなくなっていた。

 

「最後に乙女みたいな顔するなって、勘違いされるぞ?」

 

「は、はぁ? そんな顔してませんけど」

 

 なぜか俺の言葉に対抗するように、夏希は変な見栄を張っていた。

 

 美優の熱が移ったのか、その頬は微かに朱色に染まっていた気がした。

 

「一緒にお着換え……一緒にお風呂」

 

 そして、美優はくらくらとしながら、そんな言葉を呟いていた。

 

しかし、なんとか頭を振るように自分を取り戻すと、微かに夏希に睨むような視線を向けて、対抗するように声を大きくして言葉を口にした。

 

「わ、私はお兄ちゃんにベッドに押し倒されたことあるけどね!!」

 

「ぶっ!」

 

「……春斗?」

 

 美優の問題がありすぎる言葉は、夏希だけではなく他の席にいるお客さんからの注目も集めることになったのだった。

 

 まぁ、その中で一番厳しい目つきをしていたのは、隣に座る夏希なわけなのだけれど。

 

「あっ」

 

 そして、今さらになって自分が口にした言葉が、ファミレスにそぐわないことに気づいたのか、美優はしばらくの間体を小さくして黙りこくっていたのだった。

 

 どうやら、義妹VS幼馴染の第二ラウンドは美優の勝利となったらしい。

 

 敗者は誰かって? 

 

……もちろん、俺以外にいないだろうよ。

 

 

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