ブルーアーカイブ 転生者によって歪められた青春の記録   作:雨の日

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中途半端な原作知識から起きた悲劇 1

原作の約1年前のある日の夜

 

「今日がその日で間違いないのか?」

 

「今日で間違いないはずです、だそうです」

 

「はず・・・・・・か」

 

「しょうがありません。いつだったかの明確な日付は出ていなかったって言われまして」

 

「そうか・・・・・・ならしょうがないか。今日であることを祈りながら待つことにするか」

 

 屋根の上で怪しい2人組が雑談をしていた。どちらも年齢はそう変わらないように見える。2人とも白っぽい服装に腕に腕章のようなものをつけており、その腕章には髑髏の横顔が描かれている。手には双眼鏡を持ち何かを見ているようだ。

 

 2人の見ている方向には屋敷のようなものがある。夜だからかほとんどの部屋から灯りが消えているがまだついている部屋もある。2人はその屋敷の些細な変化も見逃すまいとしているのか双眼鏡をしきりに動かしている。落ち着きのないその様子からあまりこういうことはやったことがないのであろうと推測できる。

 

「・・・・・・! きました!」

 

「どこだ!?」

 

「あそこです!」

 

「・・・・・・! あれか!」

 

「あそこから出てきたってことは・・・・・・」

 

「c班の方だな」

 

 監視のようなものをしていた2人の1人が声をあげながらとある方向を指さす。その声にもう1人は双眼鏡を指をさされた方向に向ける。そこには何かを抱えている青系統の髪の人影が見えた。2人は人影が向かう方向を確認し腰につけていた無線機をとりだした。

 

「こちらw、何かがそちらに向かった。どうぞ」

 

「こちらc、何かってなんだ? 標的ではないのか。どうぞ」

 

「こちらw、暗くてよく見えなかった。ただ髪色と持っていたものから標的だと思われる。どうぞ」

 

「こちらc、了解。念のため、応援をよこしてほしいが大丈夫か。どうぞ」

 

「・・・・・・こちらw、cから念のための応援を要請されたので行ってもらいたい。大丈夫か。どうぞ」

 

「こちらb、了解」

 

「・・・・・・こちらw、b班を応援おくる。どうぞ」

 

「こちらc、了解」

 

 屋敷のようなものを見ながら違う班に連絡を取る。相手を考えるともしかしたらさっきのは囮である可能性も捨てきれないからだ。さっきの人影以外誰も出てこないのを確認しながらb班とc班の連絡を待つ。人違いの可能性もあるが待つことしか2人にはできない。

 

「こちらc、w応答どうぞ」

 

「! こちらw、何かあったか? どうぞ」

 

「こちらc、標的を確認し殺害に成功したことを確認。どうぞ」

 

「こちらw、了解。関係者の方はどうした。どうぞ」

 

「こちらb、関係者はちょっと眠ってもらっている。こちらは生きているがどうする? どうぞ」

 

「こちらw、そちらは消息不明なだけと聞いている。どうぞ」

 

「こちらb、ならどうすればいいんだ? こちらの顔とか見られているんだが。どうぞ」

 

「・・・・・・こちらw、当面人前に出れないくらいの傷をおわせられるか? どうぞ」

 

「こちらb、了解」

 

 連絡を待つこと数分、無線機から作戦が成功したことの報告を聞きながら頭を巡らせる。こちらは断片的な情報しかない状況であり、今後どうなるか知らないが後で重要なピースになるかもしれない関係者を殺してしまうのはまずい。ただ、消息不明ということは人前に出られない状況なのだろう。ならそれ相応の傷でもつければいいだろう。

 

「言っておいてなんだが人前に出れないような傷ってどのくらいだ?」

 

「さあ? ここの人は無駄に硬いし治癒能力も高いので。それに相手はその中でも上澄みらしいですから・・・・・・」

 

「・・・・・・やばい傷とかおわせないといいんだが」

 

「あの会社から出されたゲームのキャラですから。よっぽどじゃなければ大丈夫なんじゃないですか?」

 

「そうか? 不安でしかないんだが」

 

「・・・・・・そんなことより早く集合地点に行きましょう。ここで治安維持部隊に捕まったら今までの努力が水の泡ですし私たちが最後ってのはよくないでしょう?」

 

「・・・・・・そうだな」

 

 不安を抱えながら2人はここに自分たちがいた痕跡を消し、監視カメラなどに気をつけながら屋根から降りてあらかじめ決めていた郊外の集合地点に向かうことにした。向かう途中、どこからか通報でもあったのか黒い服を着た少女の部隊が人影が向かった方に向かうのを遠目に確認した。

 

「あれ? この出来事って緘口令が敷かれたんだったよな?」

 

「ええ。上の人でも一握りしか知らないはずです」

 

「じゃああの部隊を潰さないとまずいか?」

 

「いえ、こちらの作戦的には問題ないはずです」

 

「そうか」

 

 幸い到着した集合場所には誰もおらず2人は胸をなでおろした。郊外ということもあり閑散としており周りに人の気配を感じないしもし誰かに見られでもどこにいるかすぐにわかる。2人は腰をおろしながらほかの部隊の到着を待つことにした。

 

「・・・・・・きたか」

 

「そのようですね」

 

 待つこと数分、2人がこの場に来た方向に複数の人影が見えた。2人は油断なく双眼鏡で待ち人だと確認してから近づいていく。後ろから尾行されているなんてこともなさそうだ。全員歩調に問題はなさそうだが顔色が1人を除いて悪い。殺害という行為はこの世界でも禁忌だしわからなくもないがそれにしてもおかしい。なぜ1人だけなんともなさそうなのだろう。

 

「お疲れ様です、隊長!」

 

「お疲れ、尾行などはされていないか?」

 

「大丈夫です。ちょっと派手にやったので通報されてしまったかもしれませんが我々がやったとわかるような証拠は残していませんし尾行もされていないのは確認済みです」

 

「・・・・・・そうか。なら帰るか。明日も忙しいからな」

 

「そうですね。もう日付も変わりそうですし急いで帰りましょうか」

 

「了解!」

 

 顔色についてはあえて訊かないでおく。顔色が変わっていないb班の班長が拷問などを担当していた部署の人間であったと思い出したからだ。人前に出れない傷・・・・・・・どんな傷になったのだろうか。好奇心が刺激されるがほかの班員の顔色を見る限り碌なもんじゃないだろう。

 

「原作だと本当はどうなっていたんだろうな」

 

「? どういうことですか?」

 

「いや、未成年もやっていたゲームなのだろう? なら偽装工作で死んだということにしていたんじゃないかと思ってな」

 

「いやいや、それはないと思いますよ。このゲームを出してた会社のほかのゲームを思い出してみてくださいよ」

 

「・・・・・・・そうだな。ないか」

 

「まあ私たちは原作を全く知りませんからね。もしかしたら生きていたかもしれませんが・・・・・・」

 

「わかっている。もう終わったことを引きずったりはしないさ」

 

「ならいいんですけど・・・・・・」

 

 隊長と呼ばれた人物のことをよく知っているからか心配そうに見てくる班員たちに隊長はいつも通りに振舞いながらこれからのことに頭を巡らせる。この事件から約1年後。ある人物が失踪しこの世界の主人公が現れることで始まる物語のことを。

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