ブルーアーカイブ 転生者によって歪められた青春の記録   作:雨の日

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介入により歪んだ茶会 3

 ウルはトリニティの主要な部活や派閥を周りその長と挨拶をかわしていった。最初は見た目に驚かれたがそんなことはウルにとってよくあることなので気にすることではない。どの部活や派閥でも長は癖の強い人がなっていることがほとんどであり自分もその1人だという認識だった。

 

 そして、今日はウルがホストになってから初めてのティーパーティー開催日。パテル、フィリウス、サンクトゥスの長たちが集まりお茶を飲みながら軽食をつまむお茶会をしながら学校の方針などを話し合う会である。

 

 ウルは目が見えないがほかの感覚は鋭い。ティーパーティーを開催するにあたってどこに椅子を配置するかやどんなお茶を出すかなどを細かく指示する。ホストとして失敗は許されない。

 

「・・・・・・これでいいですか」

 

 ウルは会場を整えてほっと一息ついた後席に着く。その後少しして会場に人が入ってくる。フィリウス分派の長のナギサとパテル分派の長の美空ミミカであった。

 

「ようこそ。桐藤様」

 

「ウルさん、お招きいただきありがとうございます。それと私のことはナギサでいいと前に言ったと思うのですが」

 

「ええ、お伺いしています。ですが今は公の場ですし最初のお茶会ですから」

 

「そうですか。そういうことならしょうがありませんね」

 

「えーと・・・・・・お招きいただきありがとうございます」

 

「ようこそ。美空様もお席にどうぞ」

 

「は、はい」

 

 ナギサはこういう場に慣れているのか自然な動作で席に座る。逆にミミカは慣れていないのかおっかなびっくりというような感じで座る。その様子を見ることはできないが動きから出る音などからウルは2人の様子や体調を探っていく。

 

「美空様はまだまだこういう場には慣れていないようですね。もっとリラックスして臨んでほしいんですが」

 

「わっわかってはいるんですがどうしても緊張してしまって」

 

 美空ミミカ。パテル分派の3年生。ミカが長を退くまでは何の役職にもついていない平だったらしく今の境遇に戸惑っているようだ。名前がミカとほぼ同じなためたまに名前を間違えられておりそれが長になる要因の1つになったらしい。パテル派はそれでいいのだろうか。

 

「それで今日は何を話すのでしょうか?」

 

「そうですね。話しておかないといけないことはいくつかありますが・・・・・・まずはゲヘナと結ぶはずだったエデン条約についてでしょうか」

 

「エ、エデン条約ですか!」

 

「ええ。昔からいろいろと因縁のあるゲヘナとの犯罪者の引き渡しなどについて取り決める予定だった条約です」

 

「だったということは・・・・・・」

 

「お察しの通りこの条約は見送られることになりました」

 

「え!? なっ何でですか!?」

 

 ミミカは予想外のことを聞いたという風に声を荒げる。まるでそんなことが起こるなんてありえないという風に。ウルはそんなミミカの声色を不思議がりながらも話を進めることにした。

 

「美空様、落ち着いてください。これについてはこちらに原因があるのですから」

 

「セイアさんの暗殺事件の影響ですか」

 

「その通りです。相手方にもどこからか情報が漏れたのか知られていまして。こちらの警備体制やら何やらが不安だと言われまして」

 

「それはあちらも同じことでは?」

 

「いえ、一応ゲヘナの風紀委員はゲヘナで起こった騒動をすべて鎮圧できています。それにひきかえこちらは派閥の長が殺されるという大事件であるのに誰が犯人かすら全くわかっていませんから」

 

「そうですか・・・・・・」

 

「なっ何とかならないんですか!?」

 

「なりませんね。このお茶会を開くまでが最後の猶予だったのですが犯人特定には至りませんでしたし」

 

「そっそんな!?」

 

 ミミカは絶望したように顔色を悪くする。パテル分派はゲヘナを嫌っている人が多い派閥なのでミミカもそうなのだと思っていたがこの様子では違うようだとウルは判断した。それはそうとしてもうちょっとリアクションを抑えてほしいとも思っていたが。

 

「ミミカさん、お茶会の席でみっともない姿をこれ以上さらさないでください」

 

「そうですよ。お茶会の席には機密情報が出たりするのであまり人が寄りつかないようにしていますが何人か給仕のためだったりでいるのですから」

 

「で、でも・・・・・・」

 

「・・・・・・ミカさん。どうしてミミカさんを後継に指名したんですが。明らかに向いていません」

 

「桐藤様、聖園様ではなく分派の方が選んだと聞いています。理由については存じてはいませんが・・・・・・」

 

 ウルの言葉尻の濁し方でナギサもミミカが選ばれた理由にすぐにたどりついた。その後ミミカを一瞥した後ナギサはウルに向き直った。

 

「・・・・・・でしたらウルさん。少しおうかがいしたいことがあります」

 

「答えられないことと答えられることがありますが・・・・・・」

 

「ええ、それはわかっています。ミカさんにハジキさんを紹介したのはウルさんですよね?」

 

「ええ。確かに私が柏木様を聖園様に紹介しましたが何か問題でもありましたでしょうか?」

 

「いえ、あの件が起きてから暗かったミカさんが元気になったので逆にお礼を言いたいくらいです」

 

「そうですか。それはよかったです」

 

「ええ、元気になったのはいいことなんですが・・・・・・」

 

「元気すぎて問題だということでしょうか?」

 

「いえ、どうやって元気つけたのかと。私も色々とやったのですが・・・・・・」

 

「効果がなかったと」

 

「ええ」

 

 ウルは少し考えこむ。素直に仇討ちという目標を作りそこに向かうレールを整えたといった場合復讐なんて無意味だと反発される可能性がある。ただ、誤魔化そうとしても誤魔化しきれないような気がしたのだ。

 

「ご本人に聞いてくださいとしか私からは言えません」

 

「・・・・・・なるほど。わかりました」

 

 ナギサもうっすらとわかっていたようでウルの返答で一応納得したように見せながら紅茶を飲む。ウルもナギサが何かに勘づいたのに気づきながらも素知らぬ顔で紅茶を口に運ぶ。そんな2人をキョロキョロとミミカは見ていることしかできない。

 

「ウルさん、この紅茶は・・・・・・」

 

「ええそうです。この紅茶はですね・・・・・・」

 

 ナギサとウルはミミカには政治の駆け引きがまだできないと判断した。一応主催者であるウルは利権などについて訊かれたら答えられるようにしているがナギサはそんな気配すらない。

 

 ミミカはそれを察しつつ自分ではこの2人の会話に口をはさむことはできないと理解もしていたので2人からでる紅茶の名前や飲み方の知識などを記憶し後で調べ次に繋げようとしていた。

 

 ウルはミミカの考えが読めたのでなるべく不自然のならないようにしながらナギサの好みなどを訊いていく。こういう情報は周りの人から訊くものだがミミカにフィリウス分派やサンクトゥス分派への伝手なんてほぼないであろうし長に任命された理由が理由なので分派の人を動かせない可能性がちょっとあったためだ。

 

「・・・・・・こんなところでしょうか」

 

「そうですね」

 

「もういい時間ですしお開きにしましょうか」

 

「ウルさん、よい時間を過ごすことができました」

 

「そういっていただけると嬉しいですね」

 

「えっと・・・・・・あっありがとうございました」

 

「ええ。美空様。次はもうちょっと肩の力を抜いて参加していただけると・・・・・・」

 

「がっ頑張ります!」

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