ブルーアーカイブ 転生者によって歪められた青春の記録   作:雨の日

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中途半端な原作知識から起きた悲劇 2

 隊長からそちらに向かったと連絡がきたc班の5人はまず誰かに見られないか周囲を双眼鏡も駆使しながら確認した後、物陰に身を隠した。この道を行くならまず死角になる場所であるため警戒のために速度を緩めるだろう場所がよく見える。

 

「! 来ました!」

 

「よく狙え。関係者のほうについてはどうなったかこちらに情報はない。もし後の出来事で重要な人物だったらまずい」

 

「わかってます」

 

 c班の狙撃手はスナイパーライフルを構える。集中しているのか周りでほかの班員が動いても身動き一つしない。その様子をみながらc班をまとめている班長も己の得物である大楯を手に持ち突撃するタイミングを計る。

 

「・・・・・・!」

 

「! 今だ! 突撃!」

 

『応!』

 

 待つこと数分、予想通り死角のある曲がり角で速度を緩めた相手にスナイパーライフルによる射撃が行われた。予想外だったのか相手も驚きながら手に持っていた大楯で身を護った。ただその結果足が止まった。そのタイミングを逃さずc班は相手に肉薄した。

 

 c班はスナイパー1人以外全員大楯使いというバランスが悪すぎる編成でありスナイパーが狙撃して足を止め他が突撃して近接で戦うという戦法しか出来ない脳筋部隊だった。こんな部隊であるからか使い道が思いつかなかった元の学園では使えないと評価が低かった。

 

 隊長も頭を悩ませながら部隊の配置場所を近接にすぐ移行できる場所にしスナイパーや班長にいかに相手を追い込むかなどの指導を行った。結果、閉所での制圧という限定すぎる運用をできるようになった。上澄み連中には通用しないが時間を稼ぐぐらいはできるくらいには。

 

「何者です!」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・答える気はありませんか。このような陰謀にのるとは。あなたたちにも救護が必要なようですね」

 

「救護?」

 

「ええ」

 

「いらん。われらには隊長がいればいい」

 

「隊長? ・・・・・・ここにはいないようですが」

 

「当たり前だ。隊長がやられたらわれらはどうすることもできん」

 

「部下に汚れ仕事を任せる腐った性根、やはり救護しなくてはなりませんね! その前にあなたたちも救護します! いざ、参ります!」

 

 青色系の髪に看護師のような服、手には大楯に分類されるライオットシールドを持つのが特徴的なトリニティの救護騎士団団長の蒼森ミネ。不良にも真摯に向き合い実直で生真面目な面があるが勘違いや思い込みで動く面もあり融通が利かないともいわれる。銃も携帯しているが基本シールドや拳で殴り倒している武闘派である。

 

「隊長はこの作戦の責任者だ。それが真っ先に倒されるのはまずいだろう」

 

「それでもこの場にいるべきです! 部下の働きを見ず後ろに隠れるなど言語道断!」

 

「まあそうかもしれないが・・・・・・」

 

 c班とミネのぶつかり合いは熾烈を極めた。大楯による打撃をおこなうc班にミネはぎりぎりで避けてカウンターを行おうとするがほかの隊員からの攻撃を避けるために中断しを繰り返す。c班は一撃でも食らえばやられるのがわかっているために攻撃の隙を与えないために必死にくらいつく。

 

「ついた! まだやられてはいないな」

 

 そんな攻防を続けていた現場にb班が到着した。b班も編成が偏っていてこちらは全員スナイパーライフル持ちという狙撃特化の班になっている。ゆえにミネに近づくこともなく包囲するように構えた。

 

「目標は?」

 

「あそこだ」

 

「くっ! 増援ですか!」

 

 c班のスナイパーが指さしたところには金色の髪を持つ狐耳の少女がいた。そう、彼らの目標はミネではなくその少女だったのだ。その少女の名は百合園セイア。サンクトゥス分派の長であり、ティーパーティーの次期ホストになる重要人物である。

 

「早くやるぞ。唆した連中は失敗したらしいからこちらで片をつけないといけなくなっちまったんだ」

 

「なっ!? それはどういうことですか!」

 

「あん? ・・・・・・まあ教えてもいいか。彼女、百合園セイアの能力である未来視によって自分たちの悪事がばれるのではないかと危惧した連中が表舞台から消えてもらおうと私らに依頼してきたのが今回の発端だ」

 

「ただ、そんなことしたら私たちもやばいからな。どうしようか悩んでいるときに同じティーパーティーの聖園ミカとよく口論のようなじゃれあいをしているって情報を得て今回の策を立てたんだ」

 

「策? ・・・・・・まさか!」

 

「ん? 流石にわかるか。そう、聖園ミカに百合園セイアを排除させようってな」

 

「ですが彼女もセイア様を大事に思っていたはず。そんな陰謀に加担するはずが・・・・・・」

 

「ああ、もちろん普通にやったら加担なんてさせられない。なら、普通じゃない手だったら?」

 

「? 普通じゃない手?」

 

「彼女は口がうまいわけじゃないから百合園セイアに口では勝てない。ならちょっと驚かそうとか思ってもおかしくないだろう?」

 

「! まさかあの爆発は!」

 

「そう!彼女が仕掛けたびっくり箱の中身をこっそり変えたのさ。ティーパーティーからの贈り物を怪しむ人はそういない。とくに聖園ミカ、彼女のことをよく知っている人間ほどね」

 

「貴様!」

 

 b班の班長は今回の騒動に思うところがあり、今回はセイアのみでミネが殺されるわけではないということも事前に聞いていたため隊長にも許可をもらい今回の件すべてをこちらがやったことにすることにしたのだ。

 

「なのにどうして百合園セイアは生きているんだろうな? 配達員に任命した子が裏切ったのか? 爆弾の量が少なかったか? それとも予想より彼女の耐久が高かったか?」

 

「・・・・・・あなたには早急な救護が必要なようですね」

 

「フフッ! c班を抜くこともできていないのにどうやって?」

 

「こうやってです! 救護!」

 

 ミネは囲まれた状態から跳びあがりb班の班長目がけてシールドを振り下ろそうとした。b班の班長がどうしてわざわざ跳べば届く距離でネタバラシをしたのかを全く考えず。怒りで頭が支配されていたが故に。

 

「!?」

 

「怒りは判断を鈍らせる。憶えておくといい。その状態で私に向かうには跳んでくるしかないだろう?」

 

 ミネは空中で何かに触れたと感じた直後体が何かに拘束されて宙吊りになった。よく見ると空中に透明の縄のようなものが張り巡らせられておりその縄に自分から突っこんだ形になっていた。

 

「くっ! こんなもの!」

 

「無駄だ。 それは私の神秘でできている。どんな人でもそう簡単には抜け出せない」

 

 b班の班長は笑みを浮かべながら近くにいた班員から弾丸を受け取る。その弾丸からミネは何か得体のしれないものを感じた。それが何かミネにはわからなかったがただその弾丸を撃たせてはならないということだけはなぜかわかった。

 

「やめなさい!」

 

「断る」

 

 b班の班長はセイアに向け銃を構え無情にも放った。セイアにあたった銃弾は見事に当たりセイアの体内でとまった。その後、セイアの体に変化がすぐに起こった。病人のように白かった肌の至る所に蕁麻疹が現れ、呼吸が苦しいのか首元を手でおさえている。。

 

「セイア様!」

 

「ほう、こうなるのか」

 

「貴様、セイア様に何をした!」

 

「彼女の神秘を込めた弾丸を撃っただけだ」

 

「彼女の?」

 

「そう。スズメのね」

 

 b班の班長は隣にいる班員の肩をたたく。ミネは怪訝な顔をしながら彼女を見る。ミネにとって神秘というのは聞きなじみがなくどういうことかわからなかったのだ。少なくとも彼女はほかの班員と背格好はほぼ変わらず変なところもなかったので余計に。

 

「神秘はその者が持つ固有の能力のようなものらしい。彼女、スズメの神秘は雀蜂。アナフィラキシーショックは知っているだろう?」

 

「ええ」

 

「スズメの神秘を込めた弾丸はそれを強制的に引き起こす」

 

「なっ!」

 

 ミネは絶句する。アナフィラキシーショックは軽度であればなんとかなるが重度になると死に至ることもある。そしてセイアは体が弱くこの世界の人は外傷には強いのだが病気で普通に死に至る。

 

「っ! がっ!」

 

「セイア様!」

 

「無駄だ。スズメの神秘をかなり込めた弾丸で死に至らない人間はほぼいない。特に彼女は病弱らしいしな」

 

 b班の班長のいう通り息ができず徐々に顔色が悪くなっていくセイア。それを空中で拘束されたせいか見ていることしかできないミネ。そして数秒後、セイアの呼吸が止まりヘイローも消滅した。

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