ブルーアーカイブ 転生者によって歪められた青春の記録 作:雨の日
連邦生徒会の防衛室長である不知火カヤからの要請によりウルはDU地区に訪れてまずカヤを訪問し現状を再確認後動きだすことにした。
「財務は無理ですが調停と交通は何とかなるでしょう。後は・・・・・・」
「文化室なら何とかなるのでは?」
「あそこはSRTが残っても残らなくても影響はほぼないですからね。数という面ではほしいですがこの短時間で説得はほぼ無理です」
「なら余計に財務を味方に引き込むべきでは?」
「あそこが現状をしっかりと認識できていれば賛成なんてしません。そんな無能に割く時間なんてありません」
「無能って!? いったいどういうことでですか?」
「財務的には武力しかないSRTは金食い虫です。だから有限の予算をどうにかするために予算削減したいと考えて閉校に賛成するのも選択肢に入るのは分かります。ですが今は連邦生徒会長が失踪し混乱が起きている時期です」
「治安が悪化し裏組織も勢力拡大のために動きだしているという情報もありましたね」
「そういうものの鎮圧が本来SRTに課せられていたものです。なのにそれを機能停止させる? 裏組織が拡大し余計に治安が悪くなれば税収が減り余計に苦しくなるというのに?」
「ですがそれはSRTを動かせたらという前提のものですよね?」
「ええそうです。不知火様、DU地区でSRTを動かすのに何か問題があるのですか? ここは連邦生徒会の膝元であり何かを壊しても余程のことがなければ問題ないはずです」
「いや、SRTの軍事行動の責任者は連邦生徒会長がもつと」
「いや、国防の危機なんですから防衛室長の職責でしょう。そういうことが理解できていなくてもどうにかしようと議会なりなんなりに案を提出するべきでしょう、現に不知火様は案を出していましたよね?」
「ええ。却下されてしまいましたが」
「その時に財務は賛成に回っていましたか?」
「・・・・・・いえ」
「なら無能です。時間を割く価値もない」
ウルの財務室室長である扇喜アオイに対する評価は辛辣だった。予算とは公平に分配するものではなく必要なところに必要な分だけ使うものであり足りなくなったらどこかから持ってくる必要もあるものなのである。それがまるでわかっていない。
現状がわかっているならまずは治安が悪化しだしている初動でヴァルキューレやSRTを使って膝元であるDU地区の治安を維持し裏社会に牽制を入れる。そのためにSRTの責任者を連邦生徒会長から室長全員にする案を出すなどの対応が必要。なのに逆にカヤの出した案に反対する始末だ。
財務を預かるなら治安の悪化がどういうものを招くか知っていないといけない。2年生だというが室長という立場にあるならそんなもの言い訳にもならない。ウルなら速攻で辞めさせている。
「ほかにどうにかできそうなのは・・・・・・っ!」
「? どうしました?」
ウルとカヤが今後のことを話していると表の方が騒がしくなってきた。ウルは視覚の代わりに強化されている聴覚でそれを聞き取り一緒の部屋にいたトリニティから連れてきた随行員を呼んだ。
「紅、わかりますか?」
「・・・・・・近場で不良集団が暴れているようです」
「鎮圧は?」
「・・・・・・ヴァルキューレでは不可能でしょう。戦車まで出てきています」
「不良が戦車を? いったいどこから?」
「ここまで治安が悪化しているというのにヴァルキューレに予算を回さない? 財務は無能を通り越して害悪にすらなっていますね」
「・・・・・・どうしますか? こちらで鎮圧してもいいですが」
「・・・・・・いえ、ここはSRTの方たちにやらせましょう。不知火様、ここに連れてきていますよね?」
「ええ。私は戦闘能力には自信がないので護衛として」
カヤはウルには隠し事はできないとみて素直に情報を告げる。ウルの見た目に騙されるものも多いがカヤにも護衛として近くにいるSRT生であるラビット小隊にもわかっていた。目の前の人物はキヴォトスでも上澄みに位置する実力者であると。カヤは経験からラビット小隊は隠れているのに確実に捕捉されていることからそう判断した。
「やりましょう。私、連邦生徒会防衛室室長、不知火カヤがこの軍事行動の責任をとります。ラビット小隊の皆さん。目の前の不良集団を鎮圧してください」
『了解!』
「紅、貴女も援護に」
「・・・・・・了解」
カヤとウルの命令によりラビット小隊と紅は不良集団に向かっていく。紅はその手にARを持ち戦車に銃口を向けた。ラビット小隊は1年生の集団であり実力もSRTの中ではまだまだな方だろうと推測し1番戦力としてやばそうな戦車から無力化していく作戦のようだ。
「・・・・・・fire!」
紅の神秘が過剰に供給された銃弾は紅の作戦通り戦車に直撃し上部を完全に破壊した。煙を上げる戦車の中にいた人員も無事にはすまなかったようで悲鳴を上げながら出てきた。
「腕が!? 腕がぁ!!」
戦車から出てきた人は片腕が紅い水晶のようなものに覆われておりもう片方は戦車の爆発に巻き込まれたからか血が出ている。頭はヘルメットを被っているのでよくわからないがあげ続けている悲鳴から戦意は喪失しているとみていいだろう。
「リーダー!」
「なんだあれ!?」
ラビット小隊もリーダーと呼ばれた不良の様子に動揺し動きが少し止まった。ただまあそれも仕方ない。普通銃で撃たれてもあんな風にはならないし戦車はARの弾1発で壊れたりしない。紅が異常なだけだ。
「・・・・・・とっとと鎮圧する。動け!」
『は、はい!』
紅の無表情からくる威圧にラビット小隊はすぐに硬直した体を動かす。外部の学園の随行員だとどこか下に見ていた相手の予想外の実力に恐怖すら感じていたがそれが味方である頼もしさも同時にラビット小隊は感じていた。
「なんですあれ? 腕が宝石に? いえ、腕を覆うように?」
「紅、初手でそれは・・・・・・」
それは離れてみていたカヤも同様だった。普通なら起きえない状況に混乱しながらもトリニティは絶対に敵に回してはならないと頭のどこか冷静な部分が告げていた。ウルは紅の行動にちょっとやりすぎではと思いもしたが初手でこれだけやれば面倒が少なくなるのも理解していたので処罰などはしないことにした。
「・・・・・・不知火様、とりあえずDU地区の鎮圧を早急に行いましょう。できれば一定以上の発言権を得られます」
「・・・・・・そうですね。泊さん、手伝っていただけますか?」
「もちろんです」