ブルーアーカイブ 転生者によって歪められた青春の記録 作:雨の日
ベアの苦しそうな顔にミミカはアリウスに行く前にハジキに聞いたことを思い出した。完全詠唱の神秘活性のリスクについてだ。神秘活性により神秘の消費が多くなると消費と生産のバランスが崩れ体に様々な不具合がでる。最悪死に至ることもあると。
ベアはアリウスという場所による補正と死んだ記憶持ちたちが最期に行ったことによる補正、神秘元の名前による補正、ループ前になした偉業による補正により神秘が増大しているため普通の記憶持ちより活性化を維持できる時間は長くなっているがそれでも限度がある。
黒い怪物は前に現れた時より強くなっており前は蟷螂のような前腕が4本、足は蜘蛛のような脚で8本、頭は犬のような形をしているのが3つだけだったらしい。明らかにおかしい強化が行われている。
ウルはベアに直近で黒い玉から怪物が出たのは何回前のループ時か訊きベアは40回前くらいだったと答えた。ウルはその答えに少し考え出現していない周の時に集めたエネルギーが次の周に引き継がれているのではないかという仮説を話しベアは現状を考えるとあっていそうだなと答えた。
強くなっている黒い怪物の足止めのためにベアは神秘を銃弾に籠められるぎりぎりまで籠めて撃つが怪物にはほぼ効かない。それでも撃ち続ける。ウルたちは撃ってもすり抜けてしまうためベアの邪魔にならない位置まで移動した。
ミミカはとある決意を決めてウルたちの前に出る。そして言葉を紡ぎだす。それは祝詞ではなく呪詛でありミミカの体が黒い光に包まれる。白い光の粒子が同時にミミカの体から漏れてそれはミカの体に吸いこまれていく。
黒い卵のようなものになったミミカの呪詛が響いていきアリウス自治区全域にまで広がる。そして呪詛の完全詠唱が終わったと同時に黒い卵に罅が入り割れた。そこには黒い翼を3対6枚生やし黒に金色の天秤の刺繍が入ったドレスアーマーを着て左手に黒い天秤を持ち右手に黒いSMGを持つミミカがいた。
ミミカはゆっくりと怪物に向かいながら銃を撃つ。銃弾は怪物をすり抜けず怪物はあまりの威力に悲鳴のような咆哮をあげる。ミミカは怪物にダメージが入っていることに安堵の笑みを浮かべながら銃を撃ち続けた。
そんなミミカの様子を紅は心配そうな顔で見ていた。それに気づいたミカが尋ねると呪詛の完全詠唱による恐怖活性は神秘の活性より危険であることが説明された。神秘と恐怖は表裏一体の関係であり神秘が表に出ているキヴォトスの学生には恐怖を扱うことは基本的にできない。悪い大人は恐怖を扱うことはできるが神秘を基本的に扱うことはできない。
ただどんなものでも例外がありその学生に合った呪詛の完全詠唱を行うことによりその学生は恐怖を扱うことができる。その時の攻撃の強化倍率は神秘の数倍にものぼる。だからこそ怪物は予想外のダメージに苦しんでいるのだろうと。
もちろん普通は使えない恐怖を扱うのだからリスクはある。最悪魂が汚染されてあの怪物のようにミミカがなる。そこまでいかなくても何かしらの後遺症が必ず残る。ミミカはそのリスクを知りながらも怪物に勝つためにはそこまでしないといけないと判断したのだろうと。
ミカはどうにかできないかと紅に訊いたが紅は黙って首を振るだけだった。それを見てミカは涙目になる。ウルは紅にミミカが恐怖活性する際にミカにミミカの神秘が吸収されたのを感じたがあれは何だったのか訊いた。紅はそれについては全く知らないと素直に答えた。
ミカはウルにうながされて自分の体に意識を向ける。そしてミミカから流れてきて自分に吸収されたミミカの神秘を探る。自分のものとは違う神秘は異物でありすぐにそれを見つけることができた。
直後ミカの脳裏に言葉が浮かんだ。それはミミカの悲壮な決意であり命を賭ける覚悟だった。ミカはミミカの決意と覚悟に涙を流した。そしてそんな事態には絶対にさせないと決意した。
ミカは神秘についてミミカら転生者組に聞いて練習を始めたばかりであり自分の神秘活性のための祝詞を知らなかった。だが目の前で命を賭けているミミカを助けたいとミカは自分の神秘に集中する。
言葉が自然とミカの口から出た。それはミカの神秘活性のための祝詞だった。言葉が進むごとに徐々に光がミカに集まり服が白に金色の竜と金色の天秤の刺繍が入ったドレスアーマーになり翼が3対6枚になるように生えた。左手に黄金でできた天秤を持ち右手に白いSMGを持っている。
ミカは怪物に銃を撃つ。怪物は撃たれたダメージで悲鳴を上げる。ミミカとミカではダメージ量に差があるが当たるようになった。ミカはなるべく短時間で倒すために怪物に接近して眼球や心臓がありそうな胸辺りなどの急所目がけて銃を撃っていく。
怪物はミミカとミカという自分を殺しうる敵の出現に驚き全力で対処するために自分に対してダメージをあたえられないベアへの警戒が薄くなっていった。
ベアはミカとミミカの参戦に驚きながら怪物に銃を撃つ。足の付け根や前腕の根本、すべての龍の首の額、どこに中てても大してダメージを食らっていないようで怪物の目線はミカとミミカから離れない。
ベアは気づかれないように注意しながら追加の祝詞を唱えた後色の違う銃弾を6発怪物に放った。それは怪物の体にくいこんで光を放った。1発目は気づかなかった怪物だが2発、3発と続けていくと違和感に気づいたのかベアの方を向いたがその時にはもう手遅れだった。
怪物は6発目を9つある首の根元に食らった直後苦しみだした。そして体の末端から白い光を放ちながら崩れていった。ベアたちは油断なく怪物が消えるまでその様子を見ていた。