ブルーアーカイブ 転生者によって歪められた青春の記録   作:雨の日

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ゲヘナで1番強い部活は?

 自由と混沌を標榜する学園であるゲヘナ学園で1番強い部活はどこか。ほかの学園の生徒であれば治安維持組織である風紀委員会や生徒会である万魔殿をあげるだろう。入って浅い新入生も同じかもしれない。しかし他の2年生以上の学生は違う意外な部活をあげる。

 

「それが給食部だと? ふかしじゃねえのか?」

 

「いや、私もそう思ったんだがよ。かなりの人数だったからな」

 

「それで? あたしに確かめてほしいって?」

 

「頼む! 私は腕っぷしはさっぱりだからさ」

 

「ちっ! しょうがねえなあ」

 

 そんな雑談をしながら歩いている2人組は風紀委員の制服をまとっているがどちらも柄が悪い。まあゲヘナではそんな学生は珍しくもないし不良を威圧したりするために必要な側面もある。治安維持もいろいろと大変なのだ。

 

 頼み込まれている学生は頼まれると断れないのか舌打ちをしながらも承諾した。自分たち風紀委員をさしおいて最強と噂されている給食部に興味があるのもあったみたいだが。それに頼んでいた学生は顔を明るくした。こちらは柄を悪く見せているだけで根は悪くなさそうだ。

 

「・・・・・・ここが食堂だな」

 

「ああ。ここが第2食堂。通称『講堂』」

 

 2人が向かっていたのはどうやら先ほど話していた給食部の元であったようだ。その建物は扉の横にある『第2食堂』という看板がなければ勘違いするほど外見は講堂にそっくりであった。

 

 ただ扉を開いた奥にはしっかりとキッチンのようなものが見えるしおいしそうな料理のにおいがする。学生がお盆を持ちその上に湯気がまだ出ている料理を載せて通路を歩いている。テーブルが等間隔で並んでいてそこに座って持ってきた料理を食べている。まさに食堂でよく見かける風景であった。

 

「・・・・・・おいしそうだな」

 

「そうだな。まずは腹ごしらえするか?」

 

「そうだな。午前中の見回りとかで腹もすいているしな」

 

 2人もおいしそうなにおいに耐えられなかったのか注文待ちしているとみられる列に並んだ。ただその途中違和感を覚えた。それが何か少し考えてみてあることに気づいた。ゲヘナ生がおとなしく列に並んで料理を注文しようとしていることに。

 

「なんでこいつらこんなにおとなしいんだ?」

 

「確かにそうだな。誰か遅いと文句言ったりいちゃもんをつけたりしているやつがいてもおかしくないのに」

 

 2人が首を傾げている間も列は進み遂に先頭にたどり着いた。そこには金糸で何かが刺繍されている赤いチャイナドレスを着た学生が立っていた。そしてその横に身の丈を越える大きさの斧が刺さっていた。その斧の刃は食堂の灯りが反射しておりとてもよく切れそうだった。

 

「は?」

 

「あら? これに驚くということは新入生かしら?」

 

「あ、ああそうだが・・・・・・」

 

「そう。なら自己紹介した方がいいかしら? どうやら風紀委員会の人のようですし」

 

「頼む」

 

「私は特級厨師の孫リンリン。ここ第2食堂のまとめ役よ。よろしく」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

 2人はリンリンをみて金色の龍を幻視した。笑っているのだがその奥に弱さなどまるで感じない。つい敬語で話してしまう。自分とは実力の差が明白。どんなことをしても届きそうにない。まるで風紀委員長である空崎ヒナの戦闘を見た時のようだった。

 

「・・・・・・やばいな」

 

「そうだな。こんなのが後4人もいるのか」

 

「? 4人だと?」

 

「言ってなかったな。給食部は第1食堂から第5食堂まで分かれている。そしてそれぞれに責任者がいる。そしてその責任者の実力は拮抗しているらしい」

 

「まじかよ」

 

「ああ。見たことがあるっていう人もいたしな」

 

 なるほどそれならゲヘナ最強の部活はどこかで給食部が上がるはずだ。確かに風紀委員長は強いが1人しかいない。だがこちらにはあれと同じ実力者があと4人もいるらしい。いかに風紀委員長でも5人全員相手するのは厳しそうだ。それにほかの部員も見た感じ弱そうには見えない。風紀委員として鍛えているがまだまだな現段階では普通にやられてしまいそうだ。

 

「なんで料理人がこんなに強そうなんだ?」

 

「ここがゲヘナだからでしょう?」

 

 同僚の言葉に言葉が詰まる。確かにここゲヘナには温泉開発部を名乗っているテロリストなどがたくさんいるし美食研究部という給食部とぶつかりそうなやつらもいる。それ相応の戦闘能力は必要なのかもしれない。

 

「まあ今はおとなしく食事をとろうぜ。食堂でいつ襲撃されるかおびえる必要もないってわかったしな」

 

「そうだな」

 

 2人は喧嘩しそうになっているゲヘナ生たちが給食部の部員に制圧される様子を見ながら食事をとる。それでいいのか風紀委員と思うかもしれないがこちらが動こうとする前に給食部の部員が制圧するのを見て必要ないと判断したのだ。断じて給食部の部員が予想より強くてビビっているわけではない。

 

「こんだけ強いならこいつら風紀委員に入ってくれねえかな」

 

「入らないんじゃねえか。ここにいるの料理作るのが大好きな奴らばかりらしいし」

 

「そうか・・・・・・もったいねえよな」

 

「確かにな」

 

 ただこの給食部の戦闘能力があるからこそ風紀委員が得していることもある。それは食堂付近では基本風紀委員が出撃するようなことがおきないし起きてもすぐ鎮圧されることでゲヘナの治安が原作より良くなっていることといざという時に給食部の強者を呼んでもよくなったことによる風紀委員長への負担軽減である。

 

 空崎ヒナは原作だと3時間ほどしか睡眠時間がとれていないらしく満足に疲労回復ができていない状態だった。それでもゲヘナトップの実力者でありゲヘナ中のトラブル解決に奔走していた。だがこの世界では違う。給食部の協力により6時間の睡眠とおいしい食事が得られているこの世界の空崎ヒナは原作ヒナより強い。

 

 それはほかの風紀委員にも影響を与えており風紀委員長だけに任せるか。治安維持は自分隊の職務であり給食部頼りだなんて万魔殿に言わせないと励んでいる。そのためこの2人も原作風紀委員モブより強い。ただほぼ転生者である給食部の部員が強すぎるだけである。

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