ブルーアーカイブ 転生者によって歪められた青春の記録 作:雨の日
第2食堂を訪れた風紀委員の2人組はその日からすべての食堂に足を運んだ。第2食堂の責任者であるリンリンと同格と言われているほかの責任者に興味を持ったからだ。さすがにあのクラスがポンポンいるわけないと思っていたのだが。
「マジで全員あのくらい強そうだったし実際強かったな」
「そうだな。まさか美食や温泉開発部をあんなに簡単に・・・・・・」
第1食堂は日本家屋になっており基本和食が中心の料理を提供していた。その第1食堂の責任者である磐鹿ムツカは青い男物の着物のうえにエプロンをつけており柔和な笑みを浮かべていたがしっかりとした芯があるように見えた。
美食研究会が突撃してきたときも笑みを絶やすことなく栄養面について美食研究会がSNSに投稿している写真から言及し個々人にあったメニューを提供していた。あの美食研究会が話で納得し満面の笑みを浮かべ帰っていくのに2人はとても驚いた。
ただ、戦闘面はどうなのかと思っていたが近場で諍いが起こっていると連絡があり2人組が向かおうとした瞬間ムツカが軒先からスナイパーライフルでその諍いの方向に何発か撃っているのを見かけた。そしてその直後、諍いが収まったと連絡があった。まさかと思いムツカの方を向くと変わらず笑みを浮かべていた。その笑みがどこか怖いと感じてしまった。
食堂から諍いの距離は普通のスナイパーでは届かない距離であり遮蔽物もある。野次馬という妨害要素などもあった。にもかかわらずムツカは諍いを起こしていた相手以外に中らないように撃ったらしい。そんなこと普通の人間にはできない。やはりムツカは噂通りの実力者であったのだ。
第3食堂は一般的にイメージできる学校の食堂のようだった。メニューも豊富で特に特徴といえるものもない。ただ1つ印象的だったのは第3食堂の責任者だった。名前は蝸ツムリ。背中に蝸牛が背負っているような貝殻を背負った小柄な学生。引っ込み思案そうな一見弱そうな子であった。その予想はすぐに覆されたのだが。
ツムリの防御力は異常だった。食堂で暴れる新入生だろう学生の銃弾を周りに被害が出ないようにすべて体で受けてケロッとしていた。マシンガンもショットガンもグレネードも全てだ。それに痛がる様子もない。まるで痛覚が存在しないかのように。服は少し破けていたが体に傷1つついていなかった。
何も声をかけずただ黙って近づいてくるツムリに怖くなった学生は逃げようとしていつの間にかほかの部員に包囲されていることに気づく。ツムリはそんな足を止めた学生たちを1人1人丁寧に締め落としていった。ホルスダーの拳銃を一切抜かずに。
後で聞いた話だがツムリの銃の腕前はお世辞にも良いとはいえず騒動の時のように近づいて接近戦をする方が被害が少ないらしい。それでもあの弾幕の中接近するのは勇気がいると思う。見た目に反してやばい奴だった。
第4食堂は石でできた遺跡のようなところだった。そこではエスニック料理と呼ばれる民族料理を中心にメニューを出していた。よくこのゲヘナでそんな料理出せるなと感心するくらいここでしか食べれなそうなメニューも並んでいた。そしてどれもおいしそうだった。
イモリの姿焼きとかの独特な料理もここでなら食べられそうに見えるのは異常だなと思いながら責任者を探した。多分ほかの責任者同様変わった姿をしているからすぐに見つかるのではと思ってると案の定すぐにそれらしい人を見つけた。
第4食堂の責任者は豊アンナという黒いサルワールと呼ばれるチェニックとズボンのスーツの上にエプロンを着ていて見えている肌の所々が金色で他が黒い。顔は無表情で感情が読みづらい。何よりも身長が高かった。2mを越えているその身長は食堂のどこからでも見えるほどだった。
話し方は丁寧でプロってこんな感じなのかと思うほど所作も綺麗だったが威圧感が半端ない。アンナが近づけば最近暴れていたのを目撃した学生もちょっと委縮するくらいだ。やはりその高い身長と無表情な顔のせいだろうか。
アンナの戦闘も見せてもらった。得物は改造などなにもされていないように見える普通のショットガンだった。ただ腰に4つもさげており弾切れが起こるとすぐに手に持っているショットガンを捨てて腰にあるほかのショットガンをとって瞬時に撃つということを繰り返していた。
その捨てたショットガンはほかの部員が回収して弾込めしてアンナの近くに投げてそれを戦闘の合間にアンナが回収している。その様子を見て回収している部員のすごさに驚いた。アンナがどこにいても回収できるような位置に投げるのもそうだが銃とは繊細な武器だ。下手に投げれば暴発したりする可能性があるのだがそういうことに気をむけているようには見えなかった。
どこまで先が見えているのだろうと思わせるその部員はアンナと比べるととても小さく下手したら初等部でも通用しそうだった。陰も薄く集中していないと見失いかねなかった。戦闘能力もある程度あるようで近くにいる学生をその部員の得物であろうリボルバーで無力化していた。
第5食堂は開放感のある場所だった。中央に屋根のない広場がありそこにテーブルがいくつか等間隔で置いてありそれを囲むように複数のキッチンが置いてある空間。どれにも食材がたくさん置いてあり基本料理はデカ盛りで提供される場所であり美食研究会の鰐淵アカリがよく訪れているというのも納得のいくラインナップだった。
第5食堂の責任者はどんなだろうと見渡すとこの食堂には似つかわしくない人を見つけた。初等部くらいの身長に顔だちもどこか幼いその人物こそこの第5食堂の責任者である保食ウリであった。
ウリはその幼い外見に見合わない力で大鍋をかき混ぜ自分の身長と同等の高さまで積みあがった料理を運ぶ。笑顔を絶やさない彼女を見ていると元気が湧いてきてなぜかお腹がすいてきた。普段は超大盛なんて食べきれないがここでなら食べきれるのではないかとつい思って頼んでしまった。
頼んだ料理の大きさにまず驚きウリの激励で覚悟を決め食べ始めるとその料理のおいしさに驚いた。こういう料理は味が単調になりやすいと聞いていたがそんなことはない。相手を飽きさせないようにか適度に味が変わっているところがあり、味変のためのメニューも充実している。ただやはり量が多く2人がかりでようやく完食した。
この第5食堂は基本大食いの人やお祝いとかでグループ客が利用することが多いらしい。まあこの量なら納得がいく。大食いの人にとっては天国のような場所なのかもしれない。
料理だけでなく戦闘もすごかった。ウリの得物はヘリについている機関銃のようなものだった。普通なら持ち上げることもできなそうな銃を軽く持ち上げて撃っているその様子はすごいとしか表せなかった。
「給食部からの助っ人なんてって最初思っていたが」
「見てみると納得しかないな」
「そうだな。それに私らを鍛錬してくれている防人さんも元は給食部だったらしいな」
「それ本当か?」
「ああ、さすがにゲヘナの治安に思うところがあったらしい」
「・・・・・・ああ、仕入れの関係か?」
「そういうことだ」