ブルーアーカイブ 転生者によって歪められた青春の記録 作:雨の日
ミレニアムサイエンススクール、3大校の中では比較的新興の学園であり優れた技術者が集まる学園。その学園は近年ある問題を抱えていた。それは謎の勢力による襲撃である。いや、謎の勢力というのは間違っていた。何せその勢力についてミレニアムサイエンススクールの中ではよく知られていたからだ。
「ククリ先輩も厄介なものを残してくれたわね」
「そうですね。流石に全知と言われ(以下略)私であろうとこれは・・・・・・」
「ネル、生徒に被害が出る前にどうにかできている?」
「数が違いすぎるからなあ。まあ1体1体の実力は大したことはねえ。一般生徒でもどうにかできてる」
「ただ、この件で他校に協力してもらうのは・・・・・・」
「貸し借りの問題だけではないっていうんだろ? わかってんよ」
「その方が合理的ではあるのだけどね・・・・・・」
「身から出た錆ですからね」
セミナーの執務室で生徒会長の調月リオとヴェリタスの部長の明星ヒマリ、c&cの部長美甘ネルがその謎の勢力について話し合っていた。机にはミレニアムサイエンススクール近くの地図が置かれておりいくつかの場所にバツ印がついている。
ククリ先輩、フルネームは軍勢ククリ。今は進入禁止になっているミレニアムサイエンススクールの近くにある廃墟と呼ばれるところで何かを見つけてから研究室にほぼ籠りとあるものを発明したリオ達の1つ上の先輩である。
「ククリ先輩の遺物はあとどのくらいありそう?」
「さあ? あの人は私たちの予想をいつも突拍子もない方法で超えてくる人でしたからね。もしかしたら今まで潰したのは1割にも満たない可能性もあります」
「いや、それはねえんじゃねえか?」
「というと?」
「ククリ先輩が在籍中に活動していた範囲を考えるとな・・・・・・」
「・・・・・・そうね。ククリ先輩は基本引き籠りで学区外に出たのも廃墟に行った1件以外にないしミレニマム内もそこまで遠くには行ってない」
「ですが協力者がいた場合は? そうであればククリ先輩の行動範囲は関係なくなるのでは?」
「それもねえ。ククリ先輩の交友関係は徹底的に洗ったがこの時期にククリ先輩に会っていた人物は全部ミレニアム内で『アレ』に入ってた」
「『アレ』にですか」
ヒマリはそう言いながらリオの後ろを見る。そこには台座がありその上に半透明の球体が浮かんでいた。その球体の中央に人が丸まった状態で入っている。体の線がはっきり見えるボディースーツに緑色のツインテール、目は閉じており顔立ちは綺麗系に見える。そう、この球体に入っている人物こそククリである。
リオ達は最初いつの間にかあったこの台座からククリを出して今ミレニアムサイエンススクールに起きている事態について聞こうとしたのだが全知の肩書を持つヒマリでも無名の司祭の技術についてある程度知識のあるリオでもどうすることもできなかった。
エンジニア部の白石ウタハの全面協力のもと破壊しようともしたが成功せずほかの部活や生徒にも声をかけて試行錯誤したがことごとく失敗。万策尽きたと思ったそんな時c&c所属の一之瀬アスナから似たようなものを発見したと報告があった。
「しかしこんなものをククリ先輩は何を考えてつくったのか・・・・・・」
「さあ? あの人は変人でしたからね」
「ヒマリ、あなたがそれを言うの?」
「リオ、それはどういう意味ですか?」
「こんなことで喧嘩してんじゃねえ。技術者なんてどいつもこいつも変人だろうが」
アスナが見つけたのは確かに同じものだった。台座があり上にある球体の中には人が入っている。ただククリの入っているものとの違いはその台座がボロボロであり何か機械の残骸に囲まれていたことだ。
ネルが慎重に近づき一定の距離に近づくと台座が光り輝いた。その光を受けて囲んでいた機械の残骸が浮かび上がりくっつき機械の兵士になっていった。その数は50にも届こうかというほどだった。最奥にひときわ大きい兵士ができたと同時にネルたちに軍隊のように統率の取れた動きで襲い掛かってきた。
ネルとアスナは目の前で行われた出来事に驚きながらもこれを迎撃した。幸いだったのは兵士たちが剣しか持っていなかったため接近戦になったこととそこまで錬度が高いのがいなかったことだ。ネルは接近戦ならキヴァトスでも上澄みの実力者。アスナもたぐいまれなる直感をもちc&cのナンバーズに選ばれるほどの実力者。時間はかかったが無傷で切り抜けた。
兵士が全滅すると台座は光を失い球体が開いた。中にいた人は意識がないのか動かずネルたちはその人を重要参考人として連れ帰った。同じ球体に入っていたし同じボディースーツを着ていることからククリと何らかの関係があると判断したのだ。
連れ帰った人はその日のうちに目を覚まし健康状態も問題ないと判断されるとリオ達はさっそく尋問を開始した。そして頭を抱えた。なにせこの人物の持つ情報が事実であれば早急に動かなければやばかったからだ。
自分の名前は初歩ハジメであること。自分の通っていた学校はもう廃校になっておりブラックマーケットにいたこと。ククリとはアルバイト募集の広告で知り合ったこと。この台座について説明は特にされていないこと。契約に従っただけでリオ達に恨みなどはないこと。自分のほかにも何人か同じように集められていたこと。
3人からの尋問に素直に自分の知っていることをすべて話したハジメはククリから最後にいわれたことを3人に告げた。これがミレニアムサイエンススクールの長い戦いの始まりを告げるものになった。
「この世界はゲームの中の世界。なら私が何をしても問題ないでしょう? だからあなたにはコアになってもらうわ。周辺をダンジョンにして兵士を配置して外敵を排除しなさい。・・・・・・え? 排除っていうのは殺すってことよ。大丈夫。ほかの人にも同じことをやってもらうことになっているから」
告げているククリのその時の顔はよく憶えていると。まるで何か深淵でも覗いたかのような暗い瞳をしていたと。
「・・・・・・この世界がゲームの中の世界」
「リオ、そんなにククリ先輩のいっていたことが気になりますか?」
「ただの頭のいかれたやつの妄言だろ?」
「いや、もしそう本気でククリ先輩が思っていたなら・・・・・・」