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薄暗い会場。そこにある巨大なスクリーンの前でボイスヒーロー " プレゼント・マイク " が試験の説明を始める。
『──エヴィバディセイヘイ ! ! ! ──』
プレゼントマイクは陽気な調子で言う。
「ねぇ、説明会場ここで本当にあってる ? ?」
「丁度今、俺も分からなくなってきたとこだ」
隣の男子生徒と小声で話す女子生徒。制服を見ると同じ学校のようだ。2人とも静粛な会場とは合わないプレゼントマイクのテンションについていけていない。2人以外の受験生もついていけていない。
『──この後、10分間の " 模擬市街地演習 " を行ってもらうぜ ! ! ──』
プレゼントマイクの話では、4種類の仮想敵を行動不能にし、ポイントを稼ぐ。4種のうちの1種はゼロ
『────Plus ultra ! ! ㅤㅤそれでは皆良い受難を ! ! 』
「説明とかプリントとか見るとさ、きっと
説明が終わり、受験生がゾロゾロと移動を始める中、女子生徒はシンソーと呼ぶ男子生徒に話しかける。
「俺の個性じゃキツイけど、やるからには精一杯やるよ」
シンソーは女子生徒の目を見て言い、2人はそれぞれの会場へ向かった。
◇
演習試験の会場の前では多くの受験生が、各々動きやすい格好で試験の開始を待っていた。
「緊張してきた......」
私はスタートを待つ生徒たちの集団の最前で開始を待っていた。緊張を紛らわすために軽くストレッチをし、気持ちを落ち着かせる。周りの様子を見てみると、精神統一を図っている人、自信ありげな人、私と同じで周りを観察している人、様々いる。
『──────ハイ、スタートー ! 』
何の前触れもなく、プレゼントマイクが言う。突然のことに多くの受験生は「ん ? 」と呆けている。例に漏れず私も一瞬戸惑ったが、すぐに走り出した。
そのまま真っ直ぐ走っていると、曲がり角から 1 Pの敵が現れた。
『標的補足 ! ! ブっ殺す ! ! 』
「うわぁ、物騒」
えいっと力を込めて殴る。案外アッサリと壊れた。1 P敵は意外と脆いらしい。私はそのまま 1 Pと 2 P敵は素手で殴り壊し、3 P敵は個性を使って壊していく。流石に 3 Pは硬かった。
そして試験も終盤になり、徐々にロボットが見つけられなくなってきた。数え間違えてなければ 30Pくらいのはずだから、このまま順調にいけば大丈夫なはず。順調にいけばね....こういう時に索敵能力ある人が羨ましいよ......
Boooom ! ! !
建物の破壊音と共に今までの敵とは明らかに違う仮想敵が現れる。
「えっ ! えっ ! でっっっっっっか ! ! ! 」
やばい。やばい。ゼロP敵デカすぎ。死人でるって。
「うわぁぁぁぁあああ ! ! 」
「きゃぁぁぁ ! ! 」
「わぁぁぁぁ」
そこらじゅうから悲鳴が上がっている。周りを見ると腰を抜かしている人が数人おり、そのまま放置していたら確実に潰れたトマトになってしまうだろう。
私は、基本的に潰れたトマト 人Ver.は見たくない。P的にも時間的にも余裕はあるため助けに走る。
助けないと確実に潰れトマト確定の人は3人。女子2人の男子1人。私が運べるのはせいぜい3人くらいだからこれだけで良かった。
男子を背負いしっかり掴まってもらう。女子2人は小脇に抱え、ゼロP敵を背に走り出す。
私は決して体格がいい訳では無いので、あまり安定していない。だから速く走れない。実は、すぐ後ろまで巨大ロボが迫っている。このままだと4人一緒に潰れトマト確定です。
「そこの人たち ! 受け止めて ! ! 」
私は前にいた、腕がすごい大きい人としょうゆ顔の人に対して3人を投げた。私自身は逃げれないけど、潰れトマトになる気はない。
『終了〜 ! ! ! ! 』
そして、投げ飛ばされた3人が無事にキャッチされ、投げた人が巨大ロボの餌食になったタイミングで試験が終了した。
試験が終了して普通なら多くの人がホッとし、表情を緩めると思う。しかし、この会場では明らかな被害者が出てしまった。だから会場内は阿鼻叫喚。
すると、土煙と何かの破壊音。
「痛ったー。トマトにならなくて良かった」
さっきの出来事を目撃していた人ならほとんどが最悪を想像していただろう。しかし現実は、頭から大量の血を流しこそしているが、軽口を叩く余裕がある。
「あんた大丈夫か ! ? 」
しょうゆ顔の人が顔を真っ青にして聞く。
「とりあえず止血だ」
腕が大きい人も慌てて駆け寄る。
「あっ、大丈夫です。もう血ぃ止まってます......」
「でも見た目すごいことになってるから血は拭いた方がいいぜ」
しょうゆ顔の人からハンカチを受け取り血を拭う。
「顔色が悪いな。少し座って休んだ方がいい」
腕が大きい人に体を支えられ、端の方で座って休む。
暫く休憩していると看護教諭のおばぁさんがやってきた。リカバリーガールというらしい。そしてグミを貰った。美味しかった。
◇
更衣室で着替え、生徒玄関を出る。少し前の方に見覚えのある紫が見えた。
「あっ ! シンソー ! おつかれ」
「お疲れ。もしかして怪我したのか ? 」
「ありゃ。バレた ? 全部治ったはずなのに」
「そりゃな、食後でもないのに
シンソーは女子生徒が持っている紙パックを指差す。
「一応のエネルギー補給 ! ! 」
暫く無言で歩く2人。パックの中身を飲み干した女子生徒が口を開く。
「試験......どうだった ? 」
「やっぱり、思ってた通りキツかったな。多分落ちてる」
そう言う彼は思いの外ケロっとしている。それに対し、女子生徒の方が落ち込んでいる。
「スタートは遅れるけど、必ず追いつくから。」
────待ってろよ。
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