古代の英雄は平穏な学園生活を送りたい〜千年後に転生した俺は古代魔法を隠しながら青春を夢見る〜   作:大塚セツナ

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第41話 森のモンスター

 モンスターと生徒たちが入り乱れる広場では、危なかくて魔法も使いづらい。

 ということで、俺たちは急いで森の中へと移動していた。

 

 

「はぁぁ……きゅ、急に走ったのでなんだか疲れました……」

 

「鍛え方が足りぬな……我は息一つ乱れておらぬぞ」

 

「いや、レオナ先輩はミケに乗っているからじゃないですか」

 

「ガウ」

 

 

 やはり、レオナ先輩がいるというのはイレギュラーな感じがするな。

 ……日中のトリングス先輩はいつの間にかしれっと混ざっていたが。

 

 

「ってか、いきなりモンスター放つなんて悪役のすることじゃない!?」

 

 

 それは本当にそう。

 

 

「まあ、マグナ教諭のすることだ。あまり気にしても意味がないだろう」

 

「はぁ……それもそうね。とりあえず、ホテルがあるっていう方向を目指しましょ」

 

「そうだな……リル、頼めるか?」

 

 

 マグナ教諭や教師陣は先にホテルに向かっていると言っていた。彼らの匂いを辿れば正確な場所を見つけるのは容易いだろう。

 

 

『ウゥ……』

 

「……ん?」

 

 

 リルが気まずく目を逸らしている。

 何事かと思い、コッソリとリルに尋ねる。

 

 

「どうしたんだ?」

 

『そ、それが、この森なのですが、なんというか、悪臭が多くて鼻が鈍ると言いますか……』

 

「悪臭……?」

 

「ルーネス! モンスターよ!」

 

 

 俺がリルと話していると、いつの間にか茂みからモンスターが姿を現していた。

 アイツは――

 

 

「うっわ! 臭っ!?」

 

「な、なんですかこの匂いぃ……!?」

 

 

 現れたのは、頭に大きい赤黒い花を持ち、体はツタでできている植物型モンスター――ラフレジアスだ。

 

 普通の植物に擬態して獲物を狙うモンスターだ。

 その特徴は頭の花から放たれるガスで、それを近距離で直に嗅いでしまうと、錯乱状態になってしまう。

 

 

「なるほど、リルの鼻が効かないのはアイツが理由か……」

 

 

 さては、マグナ教諭がリル対策として森に何体か放っているんだな?

 相変わらず、イヤらしい手段を取る奴め。

 

 

「こんなクッサイモンスター! さっさと燃やしてやるわ!」

 

「おい、待て」

 

「なによっ!」

 

 

 手の中に炎を生み出しているアリシアを急いで止める。

 

 

「森にいる間、火属性の魔法は禁止だ」

 

「な、なんでよ!?」

 

「山火事でも起こしたいのか?」

 

 

 俺の言葉に、グッと言葉を詰まらせるアリシア。

 森の中でアリシアの火力を振り回せば、どれだけ燃え広がるのか、想像に容易いだろう。

 

 

「威力と範囲を下げて出来るならいいんだが……そういうのは苦手だろう?」

 

「えーえー! そうですよ! どうせアタシは火力だけのガサツ女よ!」

 

「いや、別にそこまでは言ってないんだが……」

 

 

 なんだか、不貞腐れてしまったな……。

 

 俺たちがそんなやり取りをしているうちに、ラフレジアスが動き始めた。

 

 

「シャァァァァ!!」

 

「そいつのガスは絶対に吸うなよ! 錯乱状態に陥るぞ!」

 

「分かってるわよ! ――風刃(ウィンド・エッジ)!」

 

 

 アリシアから放たれた風の刃は、ラフレジアスのガスを霧散させ、本体へと直撃する。

 

 

「ギィェェェェェ!!?」

 

 

 ラフレジアスが断末魔を上げその場に崩れていく。

 

 

「え? や、やけにアッサリですね……」

 

「奴は状態異常を期す性質はあるが……その耐久は脆いものよ」

 

「へ、へぇ〜レオナ先輩、詳しいんですね」

 

「うむ。我は生物部……モンスターもまた、生物である」

 

 

 そう言い、近くにあった木に触れるレオナ先輩。

 

 

「例えば、この木は少し傾いている……いわゆる南樹木(ナンジュモク)と部類される種類である」

 

「た、たしかに、言われてみれば傾いていますね……」

 

「森の中では、こうした木々を把握しておくとよい。遭難を避けれるぞ」

 

 

 懐かしいな……俺も大戦時代は、ああいうサバイバル知識に助けられてきた。

 

 

「……まあ、我は植物より動物が専門。詳しく知りたいなら、園芸部の暑苦しき男に尋ねるとよい」

 

「暑苦しき……ああ、トリングス先輩のことね」

 

「……ヤツのことだ。植物型のモンスター相手にもあの勢いで愛でに行っていることだろう」

 

 

 想像がつくな……。

 まあ、流石にこんな分かりやすい状態異常モンスターに引っ掛かるわけは――

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!! お花さんはどこだぁぁぁぁぁ!!!」

 

「お花さんっ! 君は何でそんなに可憐なんだぁぁぁ!!」

 

「園外部ぅぅぅ!! ファイアァァァ!!」

 

「オォォォォ!!!」

 

 

 森の奥から、なにやら複数の野太い叫び声が聞こえる。

 

 

「あの声って……」

 

(くだん)の奴らであろうな……」

 

「噂をすれば……ってやつね」

 

 

 まあ、トリングス先輩がたなら、あの状態でモンスターに襲われても心配ないだろ……多分。

 

 

「錯乱した園芸部に巻き込まれる前に、さっさと進むとしよう」

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