古代の英雄は平穏な学園生活を送りたい〜千年後に転生した俺は古代魔法を隠しながら青春を夢見る〜 作:大塚セツナ
「あ、そうだ! 俺様、人探しをしてるんだった!」
『今は我輩が喋っておるだろう! だいたい貴様はいつもいつ――』
「お前ら、何か知らねえか!!」
グランが喋っていたのを遮り、センリが大声で尋ねる。
「人探し?」
「ど、どなたを探してるんですか?」
「あぁー、なんだっけな……キャ、キャメ……キャ……キャラメル? みたいなやつ」
キャラメルみたいなやつってなんだ。
「なによそれ、ちょっとベタベタしてるってこと?」
「そ、そんな人いるんですか……?」
俺もそんな人知らん。
「ま、急ぎじゃねえからいいんだけどよ!」
「いいのかよ」
「な、なんで探してるんですか、それ」
「人に頼まれてなっ!」
その人が急ぎじゃないといいけどな……。
「ってか、ここどこなんだ? 俺さっきまで砂漠にいたんだが……」
「え、さ、砂漠ですか?」
「砂漠って言ったら、こことは逆……王都エクサスの北西の方じゃないの?」
「なるほど! 道を間違えてたんだな!」
み、道を間違えて……?
「本当はどこに行こうとしてたんだよ?」
「そのキャラメルってやつが、エクサスにいるって聞いたから、とりあえず行ってみようと思ってたんだ!」
「絶対、一回通るはずなんだけど……」
「ど、どういうルートなら見逃すんですか……?」
『小僧め……我輩が何度も「あそこにある、あそこにあるぞ!?」と指示しておるのに……』
こりゃ、生粋の方向音痴って感じだな……。
グランが可哀想すぎる。
「とりあえず、クルーデン海域からエクサス行きの馬車に乗るのが確実だな……あっちに馬車の待合所があるから――」
「あっちだな! ありがとよ!! じゃ!」
『あ、おい小僧っ! なんで指差した方の逆に――!』
馬車の待合所の位置を思い出し指を指したが、センリは何を思ったか、真逆へと走り出してしまった……。
グランの叫びも虚しく、センリは勢いを緩めることなく、一瞬にして影も見えなくなってしまった。
「……行ってしまった」
「……そりゃ、道にも迷うわね」
まあ、グランがいればいつかは辿り着くだろう……いつかは。
「奇怪な奴等であったが……実力は本物である」
「た、たしかに、上位獣のブレードグリズリーを一瞬で倒しちゃうなんて……な、何者だったのでしょうか」
魔剣を操りし(?)剣士……たしかに、謎なやつではあったな。
まあ、また会うことがあるかは分からないが、アイツらが探し人に会えることだけ願っておくか。
「ま、色々あったが、引き続き、ホテルへと向かうか」
*
私――マグナは、他の教員と共に試験のゴールであるホテルで待機をしている。
「マグナ教諭も、また随分と思い切った提案をしましたなぁ」
「学年もクラスも問わずに、全学生を巻き込んだ合宿とは……いやはや、大胆なものだ」
他の教師陣が言う通り、今回の臨時合宿計画は私が立案したものである。
公的には隠蔽はしたものの、フィルゼ・バッシュロックくんが起こした魔人騒ぎのこともあり、学院全体に緊張感が走っていた。
そこで休息と魔人再来の危機に備えるため、強化合宿を行う……我ながら、実に理にかなった提案だ。
「愛する生徒達の躍進のためです。多少の例外的対応は必要……ですよ」
「さすがはマグナ教諭!」
「教師の鏡ですなぁ!」
……まぁ、実際のところの目的は別にあるのだがね。
低級とはいえ、魔人を撃破したキャネットくんの古代魔法の力……かなり研究しがいのある対象だ。
今回の合宿で、色々とデータを取れると思うと――
「……クフッ、クフフッ」
「……マグナ教諭のいつもの不気味笑ですよ」
「アレさえなければ完璧なんですけどねぇ……」
おっと、いけないいけない。
私の教師としてのオンモードが解けかけていたな。
「さてさて……未来ある学徒達は、果たしてこのホテルまで辿り着けるのか……実に楽しみだねぇ」