古代の英雄は平穏な学園生活を送りたい〜千年後に転生した俺は古代魔法を隠しながら青春を夢見る〜   作:大塚セツナ

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第48話 魔石狩り

 森に巣食う大猿――フォレストコング。

 昼行性の好戦的なコウモリ――マーダーバット

 木々に擬態して人間を食らう人面樹――マンイータートレント

 

 いずれも中位獣に部類される凶悪なモンスターたち。

 それらが、俺たちを取り囲んでいた。

 

 しかし――

 

 

「いくぞぉぉ!! 狩りの時間だぁぁ!!」

 

「おぉぉぉぉぉ!!」

 

「お、おぉ〜」

 

「ほら、アリシアも声出していくぞっ!」

 

 

 ――彼らは狩る側ではなく、俺たちに狩られる側であった。

 

 

「ゴーマッスル!」

 

「――ミケよ」

 

「ガウッ!!」

 

 

 俺たちがとる必勝法、それは――モンスターから直接魔石を集めることである。

 

 

「あぁ……ちゅ、中位獣たちが次々と狩られていってます……」

 

「園芸部の先輩方もレオナ先輩も、実力はそこそこ高いからな。中位獣くらいなら連携していけばそう手こずる相手ではないさ」

 

 

 誰が持っているかも分からない配布魔石を集めるよりも、モンスターを狩って集めた方が早い……このメンバーならではの判断だな。

 

 マグナ教諭は「魔石を集めろ」としか指定しなかった……裏を返せば、配布された魔石にこだわる必要はないのだ。

 となれば話は早い、一度野宿で眠り、早朝に起きた俺たちは魔力反応が多い――つまり、モンスターが多い方を目指し、ひたすら狩りをしていた。

 

 

「トリングス先輩のチームと、俺たちのチーム。2チーム分の魔石を集めるんだ、キビキビいくぞー」

 

「……どっちがモンスターなのかしら」

 

「ま、まあまあ。試験のためには仕方ない……です、から……」

 

 

 なんだかアリシアとイリーナが呆れている気もするが、気にしない気にしない。

 まずは何より、快適な寝床を確保することだしな!

 

 

 

 

 

 

「それでは、合宿3日目の順位発表を行う!」

 

「うぉぉぉ!!」

 

「野宿はもう嫌だぁぁぁぁ!!」

 

「ベッドで……ベッドで寝かしてくれぇぇぇ!!」

 

 

 あれから時間はあっという間に過ぎ、夕方の集計時間となった。

 昨晩、一昨夜と野宿を強いられたものたちの悲痛な慟哭の中、俺たちは満を持して発表を待っていた。

 

 

「アタシたちのチームが20個、トリングス先輩たちのチームが19個……なかなかの結果ね!」

 

「こ、これだけあれば、もしかして一位になっちゃうんじゃないですか……!?」

 

「無論である。それが覇者たる者の務めだ」

 

「はっはっはっ! 気合いではこちらも負けてないぞっ!」

 

 

 アリシアとイリーナ……そして先輩方も、自分たちの一位通過を確信して浮き足立っている。

 

 それもそうだろう。この奪い合いの環境下で、これだけの数の魔石を集めるのは難しい……この必勝法に気づかなければ、な。

 

 

「それでは……まずは一位のチームを発表する!」

 

 

 ついに、マグナ教諭から順位が発表される。

 

 

 

「一位通過は――――ジーナスチームである!!」

 

 

 

 ……これは、少し意外な結果だな。

 

 

「え、えぇぇぇぇ!? わ、私たちじゃないんですか!?」

 

「ジーナス……たしか、フィルゼの事件を追っている時に会った、生徒会の副会長の先輩よね?」

 

「おや、私を呼んだかい?」

 

 

 後ろから声をかけられ振り返ると……噂の副会長、ジーナスが立っていた。

 その近くには、ホワイトの制服の上からローブを目深に被った者が数人、取り巻きのようにジーナスを囲っている。

 

 

「……ジーナスか」

 

「おやおや、レオナ嬢もおいでとは……よく見ると、あの事件(・・・・)の面々が揃い踏みではありませんか」

 

「なんだか久しぶりだな……とりあえず、一位おめでとう」

 

 

 ここは素直に称賛を送ることにする。

 ある程度魔石が集まった時点で勝ちを確信してしまった……慢心してしまうとは、情けないな。

 

 

「ありがとう、キャネットくん」

 

「そっちはジーナス先輩のチームメイトか? なかなか変わった連中に見えるが……」

 

「ああ、休み期間に『編入(・・)』してきた私の友人だよ」

 

「そうか……俺はルーネス・キャネットだ。よろしく、先輩方」

 

 

 握手をしようと手を差し出すが……その手を返されることはなかった。

 無視……というより、『無反応』といった様子だ。

 

 

「ああ、気を悪くしないでくれたまえ。彼らは人見知りが激しくてね……まあ、無愛想だが、悪いやつじゃないんだ」

 

「そうか、俺は気にしていないぞ。……それより、どれくらい魔石を集めたんだ? 俺たちより多いとなると、かなりの数になるだろう」

 

 

 俺たちの20個を超えるとなると、25……下手したら30個近くか?

 

 

「50個ですよ」

 

「……は?」

 

 

 ジーナスから発せられたあり得ない数字に、一瞬思考が止まる。

 

 

「ご、50個って、どうやってそんな数集めたんですか……!?」

 

「なに、簡単なことさ。私の特技を活かせばね」

 

「と、特技……?」

 

 

 ジーナスはポケットから魔石を取り出し、空中に放り投げる。

 

 

「フッ……!!」

 

「ま、魔石が……!?」

 

「こ、粉微塵です!?」

 

 

 ジーナスは素早く剣を抜き、目にも止まらぬ速さで空中に放られた魔石を原型がなくなるまで切り刻む。

 この速さ……先日のセンリにも負けず劣らない……。

 

 

「と、このように……私自慢の剣技と、生徒会副会長としての情報収取能力を合わせれば、どのチームにも引けを取らないのですよ」

 

「なるほど……手強いわけだ」

 

「ふふふ、君たちも頑張ってはいましたが……一枚、私の方が上手でしたね?」

 

 

 口角を上げて笑顔を見せるジーナス。

 その笑顔は爽やかな好青年のように見えるが……その目はどこか、人を見下しているようにも見える。

 

 

「それでは、私たちはひと足先にホテルで休ませてもらうとするよ」

 

 

 そう言い残し、ジーナスとその仲間たちは人ごみをかき分け、ホテルへと向かっていってしまった。

 

 

 

「(ジーナス先輩か……謎が多い人だな)」

 

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