レーティングゲーム決着です。
「なぁ、今思ったんだけど、アリアはどうしたんだ?」
「ん?アリアさんかい?」
戦う前に、ふと思ったことを祐斗に聞いてみる。
さっき祐斗と合流したときには、アリアの姿は無かったからな。
「彼女は、少し疲れたと言って懐中時計に戻ったよ。はい、これ」
「疲れた?今までそんなことは無かった筈なんだけどな」
疑問を感じながら、懐中時計を祐斗から受け取る。
何故このタイミングで、疲れが来たのだろうか。
「では、始めようか。我が名はカーラマイン!ライザー様の騎士だ!リアス・グレモリーの騎士よ、私と戦え!」
「――うん、名乗られたからには出ていかないといけないね」
そう言って、祐斗は相手の騎士と一騎討ちに出た。
すると、それを合図にして、イッセーともう一人の騎士、小猫と残りの戦車、朱乃と二人の兵士が戦い始める。
私は、必然にも残った僧侶二人と対峙しているわけだ。
「私はお前らの相手だ」
「あら、ごめん遊ばせ。私は戦わないの」
「なに?」
「この方はレイヴェル・フェニックス様。ライザー様の実の妹君であり、訳あって形だけの眷属です」
私がどういうことだと思っていると、僧侶の片割れが教えてくれた。
あの焼き鳥、一体どういう頭の作りをしてるんだ?
「それより、いいのかしら?」
「なにがだ?」
「あそこを見てごらんなさい」
そう言って指を指したのは校舎の屋根。
注意しながら見ると、そこにはライザーと対峙するリアスとアーシアの姿があった。
「ちっ、やっぱりバレバレか」
「なめてもらっては困りますわね」
しかも、よく見るとリアスが押されていて、かなり不利な状況だ。
「朱乃!私はリアスのところに行く!だからこいつらは任せたぞ!」
「あらあら、了解ですわ!」
伝える事を伝えて、私は直ぐにリアスのいるところに向かう。
翼を出して一直線だ。
「リアス!」
「ッ!?アリス!」
リアスはボロボロだった。
服は破れて胸がさらけ出し、アーシアが回復させたと見られる後が幾つもある。
傷が多すぎて、回復が中途半端で終わってしまうからだろう。
「ようやく来たか」
アーシアに、後ろに下がってリアスの回復に専念するように伝わると、ライザーが話しかけてくる。
「なんだ?待っていたかの口振りだな」
「待っていたさ。だからこそリアスと手加減してまで戦っていたんだからな」
「へぇ?なら、私とは本気でやるということだな?」
「いいだろう。徹底的に痛め付けて、犯してやる」
最後の言葉を聞いたときには、全力で寒気を抑えた。
相手が炎を出してきたので、私は剣を鎌にして構える。
「行くぞ小娘ぇ!」
「返り討ちにしてやるよ!」
そして、私の戦いが幕を上げた。
――――――――――
いきなりの轟音に、俺たちは戦いを止めてそちらを見た。
そこには、ライザーと一騎討ちをしているアリスの姿。
「お兄様と一騎討ちだなんて、正気なのかしら」
「へっ、アリスはこの眷属の中でもずば抜けて強いんだけど?」
「どうでしょうか。いくら強くとも、私たちは不死鳥フェニックス。負けることなどあり得ませんわ!」
「ちっ!」
「余所見をしている余裕があるのか!」
すると、復活した騎士が俺に斬りかかってきたので、なんとかギリギリ避けて、距離をとる。
あちらでは、何回も再生するライザーに少し嫌気が刺しているのがわかる。
明らかに嫌そうな顔してるもんな。
「ちくしょ!」
「イッセー先輩!」
「ッ!?小猫ちゃん!?」
なんとかアリスの手助けが出来ないかと悔しく思っていると、小猫ちゃんが滅多に上げない大きな声で、俺の事を呼んだ。
「イッセー先輩は行ってください!」
「え?で、でも戦車が」
「大丈夫です」
小猫ちゃんの見た方向を見てみると、そこには丁度消えていくライザーの戦車の姿があった。
『ライザー様の戦車一名、リタイア』
どうやら、さっきの皆が注目した隙をついて、リタイアさせたんだろうと思う。
「騎士一人なら、なんとか戦えますから」
「.....ああ、ありがとな小猫ちゃん!」
「待て!」
「行かせません!」
俺がアリスのところに向かうのを見て、止めようとした騎士は、小猫ちゃんに塞がれてこちらに来れない。
今がチャンスだ!
――――――――――
私は、何回切り裂いても再生するライザーに少し嫌気が刺している。
苦戦しているとかではない。
キリがないために、苦手なタイプなのだ。
「アリス!」
「ッ!イッセー!」
急に声をかけられて、イッセーのところへ振り向いてしまった。
今は戦闘中。
これは明らかに、そして決定的な隙を作ってしまった。
「バカめ!」
「ッ!?イッセー逃げろ!」
ライザーはイッセーに向かって、炎の塊を放つ。
私は何とか間に合い、ライザーの炎を切り裂いたが、ライザーの攻撃は、それだけではなかった。
『ライザー様の騎士一名、戦車一名、僧侶一名、リタイア。そしてリアス・グレモリー様の騎士一名、戦車一名、女王一名、リタイア』
「ッ!?しまった!」
ライザーの炎がやけに弱いことに疑問を感じたのも束の間、本命は私たち以外のグレモリー眷属であり、祐斗たちが一撃でやられたからには、敵と戦っていたのもあるだろうが、ライザーもかなりの力で攻撃したのだろう。
「貴様!」
「何を怒る、ようは勝てばいいんだ。それに、今のも立派な戦術だぞ?」
「ちっ!」
なんでさっき注意を反らしてしまったのだろうと、心から後悔する。
「すまん、アリス。俺のせいで....」
「いや、私が未熟だったからだ。イッセーは気にしなくてもいいさ」
「でも」
「今はそんなことよりもライザーだ。アイツを倒さないと、小猫たちもうかばれない」
「いや、まだ死んでないからな」
軽い冗談を言って、イッセーの緊張をとる。
「余裕だな」
「まぁな。イッセーはリアスたちのところで護衛をしていてくれ」
「ああ、任せておけ!」
そして、とうとうライザーとまた二人になる。
「じゃあ再開しようか?」
「いいだろう、今度こそ燃やし尽くしてやる!」
それからまたライザーとの戦いが始まる。
私は鎌や鞘を使って立ち回り、ライザーは炎を使った格闘で攻めてくる。
私もライザーも、傷を負っても直ぐに回復するため、全くと言って良いほどに決定的な攻撃がない。
だが、こちらが使っているのは、最強の聖剣。
さっきまでは全く当たらないようにしていたが、祐斗たちがやられたからにはそうはしていられない。
能力を手加減せずにそのまま使う。
だから、ライザーは
「グッ!?貴様!それは聖剣か!」
こうなるわけだ。
傷は治せてはいるが、聖なる力は残留し、ライザーの体を痛め付ける。
しかもその聖なる力は、たとえ天使の長であるミカエルですらも足元にも及ばない強力なもの。
ライザーの炎は最早チリチリとしか出ておらず、かなり苦しそうだ。
「ああ、そうだ。お前相手には丁度良いだろう?傷は治せても、聖なる力は体を蝕むからな」
「くっ!」
ライザーの顔は、かなり険しいものになっている。
私は、さらに追い討ちをかけるように語りかける。
「どうするんだ?このままいっても負け。そうでなくとも、お前の眷属はほぼ全滅していて、王たるお前もまともに戦えない。どうやっても負けるんだ。降参したらどうだ?」
「だが、それでも俺はフェニックス家の名を背負って戦っているんだ。どんな手を使ってでも、勝たなくてはいけないんだ!レイヴェル!」
「わかりましたわ」
すると、先程戦わないと言っていた筈のライザーの最後の眷属である妹、レイヴィルが何処からか急に現れて、私を羽交い締めにし、炎を使ってまで拘束してきた。
いくらアヴァロンで回復するとはいえ、少し熱い。
すると、ライザーは限界を無理矢理越えて、巨大な炎の塊を作り出していた。
「これで、終わりだ!」
私に投げてくると思ったその炎は、私ではなく、リアスたちに向けて放たれた。
「ッ!?貴様!?」
「さっきも言っただろう!勝てばいいんだ!」
なんとか拘束を逃れようとしたが、以外にも我慢強く、逃れることが出来ずに、その炎はリアスたちに直撃。
リアスが防御結界を張っていて、イッセーが二人を庇ったが、それも空しく、三人はやられてしまった。
『リアス・グレモリー様とリアス様の僧侶一名、兵士一名、リタイア。よってこのゲームの勝者はライザー・フェニックス様の勝利となります』
聞こえてきた結果は、小猫の期待を裏切ったものだった。
「この卑怯者が!」
「すみません、お兄様があんなことを」
「何?」
いきなり謝ってきたのは、ライザーの妹であるレイヴェルだ。
何故謝るというのか。
そう思っていると、レイヴェルもライザーも光に包まれ、私も光に包まれて転移される。
これにより、レーティングゲームは終了し、同時にリアスの人生が決定してしまった瞬間だった。
どないでした?