さぁーて、これから物語の始まりー
「はぁ.....」
リアスが部室で、これで二十回目のため息を吐く。
最近ずっとこの調子で、いったい何に悩んでいるのだろうか。
「あ、そろそろ時間か。じゃあ皆、私は席をはずすぞ」
「また修行か?いきなりホントにどうしたんだ?」
「ふふん、イッセーはそこで見ているがいいさ。私が強くなっていく様をな!」
「なに!」
「ふはははは!!」
そう言って、私は部室を後にして、あの時の山に向かった。
そこに着くと、既にオーフィスがいて、今日も張り切っているのがよくわかる。
あのアヴァロンの一件以来、私は早く禁手化しようと思い、オーフィスに訓練を頼んだ。
オーフィスには流石にエクスカリバーを持ってしても、倒すことが出来なかった。
理由としてはアリア曰く、私の魔力によって属性が変わってしまったこと。
そして、禁手化に至っていないことがあるらしい。
前者は、禁手化することで元に戻って、以後は変わることはないらしいから良しとしよう。
後者は、感情に劇的な変化をもたらすか、それとも膨大な戦闘経験を修得することだ。
前者は、この時代だとそんなことはまず無いだろうから、私は後者を選んだ。
それ故、オーフィスに修行という名の戦いをしているのだ。
「早く、やる」
「うむ、じゃあ今日もよろしくな」
オーフィスが自然体でこっちを見ていて、私は神器を発動して剣を鎌にしてかまえる。
するとポケットから懐中時計が浮かび上がり、アリアが現れる。
「よーし!二人とも準備はいい?」
「ん」
「何時でもいいぞ」
それを聞いたアリアは、手を挙げながら、敗北者の罰ゲームを言う。
「因みに今回負けた方は、私と一日デートでお願いね?じゃあはじめ♪」
「いく」
アリアが手を下ろし、開戦の合図をした途端、オーフィスが私に一瞬で接近し、その小さな拳を私にぶつけてくる。
私はそれに冷静に対処し、魔力を使った手で受け止める。
だがオーフィスの力は凄まじく、いくら魔力で強化されているとはいえ、掌に少し痛みが走った。
だが気にするほどではないため、鎌をオーフィス目掛けて振り上げる。
だがやはり簡単にかわされて、お互いに距離をとる。
それに似たような行動を何回も繰り返したが、それは軽いウォーミングアップ。
本番はこれからなんだ。
「そろそろ、本気でいく」
「なら、私も全力で答えるだけだ!」
そして、私たちはぶつかり合い、本格的な戦いがはじまった。
「まったくもー。結界張るのもきついんだからさー。ね?アヴァロン」
アリアは、二人の周りに結界を張り続け、その強度の強化や、欠陥の補強に力を注いでいた。
そのアリアの手の中にはエクスカリバーの鞘アヴァロンが収まっており、その力で結界を維持しているのだ。
故に、アリアもアヴァロンも、早く終わってほしいと、ずっと二人が戦っている間思うのである。
因みに余談だが、一応アヴァロンとエクスカリバーにも精霊が宿り、意志は存在する。
アヴァロンには再生を司る精霊が、エクスカリバーには祝福を司る精霊が宿っているのだが、アリスはまだ禁手に至っていないので、その存在を知らないのである。
――――――――――
あれから結局私はギリギリで敗北し、アリアと今度デートすることになってしまった。
非常に危険な気がしてならない。
なにしろ、相手はあのアリアだ。
いくら自分の前世とはいえあれはもう完全に変態だ。
最近本当に前世なのか疑っているほどだ。
とか言う私は今部室に向かって、イッセーや祐斗、小猫と一緒に歩いている。
だが不意に、祐斗が部室の前で止まる。
「まさか、僕がここまで来ないと気が付かないなんてね......」
「ん?それはまさかこの知らない気配のことか?」
「気付いていたのかい?」
「教室にいたときからずっとな?」
「.......流石だねアリスちゃん」
「おい待て、なんだその呆れた顔は!」
祐斗はアリスが凄すぎて呆れてしまい、イッセーは負けたとか言っており、小猫はこれが当たり前というような顔で見ていた。
小猫は最早アリスのことならなんでもありなのかもしれない。
「まぁ、ここにいるのも面倒だから、さっさと入るか」
そう言って、部室のドアを開けて中に入る。
するとそこには、いつも通りのリアスと朱乃がいて、リアスの側には知らない銀髪の女が佇んでいた。
「今来たぞー」
「あら、ようやく来たわね?いきなりだけど、紹介するわね?この人はグレモリー家のメイド長の」
「グレイフィアと申します」
部屋に入り、軽く挨拶をしていつもの定位置に着くと、リアスがメイドの紹介をしてきた。
メイドってホントに今もいるんだな。
「それで、部活をする前に話があるのだけれど」
そうリアスが言い、続きを言おうとしたところ、部屋の中心にソロモン72柱のフェニックスの魔方陣が展開され、その魔方陣から炎が立ち上がる。
その炎が止んだとき、そこにはスーツを軽く着崩したキザそうな男が立っていた。
「ふぅ、人間界は久し振りだな。よう愛しのリアス、会いに来たぜ?」
その男はライザー・フェニックスというらしく、リアスの婚約者だそうだ。
そしてどんどん二人の話は大きくなっていって、リアスは結婚したくない、ライザーは家の為悪魔の未来のために結婚したいということを話している。
すると、とうとうライザーは煮えを切らしたのか、この場の全員を燃やしてでも連れていくと言ってきた。
全く、この私を前に大きくでたな焼鳥め。
「お二方、お止めくだs「それは宣戦布告と捉えて、今すぐ貴様を殺してもいいのだな?」ッ!?」
グレイフィアがなにかを言おうとしたが、それを区切って私が話す。
すると何故かグレイフィアは驚いた様子で此方を向いてくるが、今はどうだっていい。
「ん?へぇリアス。なかなか良い女がいるじゃないか。どうだいお嬢ちゃん?俺と良いことしないか?」
そんなことをライザーが言うと、当然私の前世のバカが黙ってはいないわけだ。
『あなた、アリスに何をするの?』
「ッ!?」
この声には、ライザーだけではなく、この部屋の全員が驚く。
まぁそれも仕方はないか。
すると懐中時計が浮かび上がり、ゆっくりとアリアが現れる。
だがその眼は、色とは正反対に絶対零度の如く冷たい眼だった。
「ほら、もう一回言ってみなよ。アリスと何をしたいのかをさ?」
「な、なんだお前は.....」
ライザーはその殺気にあてられたのか、少しだが怯えている。
まぁ、相当手加減している殺気だから、当たり前だろうけど。
「私はアリア――さぁ、あなたの質問には答えた。あなたの答えを聞きたいんだけど?」
「くっ!」
「お止めください」
するとそこで、グレイフィアが止めに入った。
流石にこれ以上は不味いと感じたのだろう。
「あなたが何者なのかは今は置いておきましょう。ですが、ここで問題を起こすのならば、私は黙ってはいません」
「――へぇ?」
何時ものアリアならここらへんで引き下がるだろうけど、これは相当キレているみたいで、まだやる気だ。
これは私が犠牲にならないといけないみたいだ。
「アリア、ここで止まってくれるなら一つだけ願いを聞くぞ?」
すると予想通り、アリアはピクリと反応し、殺気も消える。
「.......なんでも?」
「なんでも」
「じゃあ止める。その言葉忘れないでよね?」
そしてアリアは大人しくなって私の座っていたソファーに座り、何処からか紅茶を取り出して飲んでいる。
どこまでも私中心でマイペースなやつめ。
と思っていると、どうやら話は決まったらしい。
10日後に、レーティングゲームとやらで勝敗を決めて、結婚の行方を決めるみたいだ。
「そこの娘。お前も参加しろよ?」
すると去り際にライザーは私に向けてそう言ってきた。
話すのが面倒だったので、取り敢えず頷いておいたが。
すると満足したのか、そのままライザーは帰っていった。
そして、それでその日は終わりを告げた。
どないでした?