今回から修行編に入ります。
ライザーが来てからの次の日、私たちは山を歩いていた。
その理由として、これからこの山で眷属全員での修行をするらしい。
「アリスちゃん、なんか楽しそうだね」
「ん?分かるか小猫。私は昔から自然が好きだからな。不思議と力がみなぎって、気分が高揚するんだよ」
「.....なんか共感できるよそれ」
と、小猫と話していると、後ろから今にも死んでしまいそうな声が聞こえてくる。
「ま、待ってく.....れ、アリス.....小猫、ちゃん」
それはイッセーの声であった。
その背中に背負っている荷物は、私の4分の1くらいだったが、それでも普通の高校生が持てるはずの無いくらいの大きさの荷物を持っている。
「それにしてもアリスちゃん、よくその荷物持てるね。それは流石に私でも疲れるよ?」
「魔力で強化してるからな。これくらいできないと、あの修行に勝てないさ」
「どんな修行してるの?」
「んー、ある知り合いと戦ってるだけだな。その内の一人が、あの時のやつだ」
「アリスちゃんと瓜二つだったよね」
「まぁ、その話はまた着いてからな?」
そう言って、私はギアチェンジしてスピードをあげる。
いくら魔力で強化されているとはいえ、いい加減窮屈になってきたからだ。
ということで、さっさとリアスの別荘とは言えない別荘に荷物を置いて、背伸びをする。
それで懐中時計を出して、時間を確認しながらオルゴールを聞く。
「ん?この曲.....」
静かに聞いていると、すでに皆が着いていて、イッセーが曲に反応した。
小さい頃から何かある度に口ずさんでいたこの曲。
この中で一番聞いたことがあるイッセー故に、気付くことができたのだろう。
「なぁ、なんでアリスの歌ってた曲をその時計が出してるんだ?」
「いや、それよりも時計にオルゴールが内臓されているってところを突っ込まないのかい?」
「あ、そっか」
うん、イッセーがバカなやつだとは気付いてたけど、ここまでだなんてな。
まぁ、そんなことよりも、私しか知らない筈の曲が時計から流れていたら、まずそっちに向かうか普通は。
「ま、これのことはこの修行のうちに話すさ。それまでお預けだ」
「んー、話してくれるなら、それでいいか」
イッセーはそう言って下がってくれた。
それと同じタイミングで、時計の蓋を閉める。
蓋が閉まると同時にオルゴールも止まる。
「あら?しまっちゃったのね」
「良い音色でしたのに.....」
「なんか癒された気分」
「はわぁ、疲れが無くなりましたぁ」
お気に召したようで何よりだな。
そしてそれから、男女に別れて動きやすい服に着替えて、外に集まり、修行が始まった。
まずはイッセーと木場の番。
「そうじゃないよ。剣の動きを見ながら、もっと視野を広げるんだ」
「やってるっての!」
結果、イッセーの惨敗。
そして次はイッセーと小猫の番。
「打撃は相手の中心を思いっきり、抉り込むように放つんです」
「ぐべらぁぁ!!」
結果、やはりイッセーの惨敗。
次はイッセーとアーシアの朱乃による魔力講座。
「できました!」
「あらあら、アーシアちゃんは魔力の才能があるようですわね」
結果、イッセーはやはり米粒程度の魔力しか宿していなかった。
そして、ご飯の後のリアスによる三大勢力講座。
「とまぁ、今の三大勢力の関係は、いつ崩れても可笑しくはない、非常に危ないところで保たれているのよ」
「ほうほう、そうだったのか」
「この後は、アーシアの講座があるけれど、アリスにも話して貰うわよ?あの時の白いアリスについてね」
「ああ、わかってる」
ということで、アーシアの聖具講座。
「聖書は読むだけでも悪魔にダメージを与えます。他に十字架や聖水などもそうです」
「まぁ、私には効かないがな」
「それは、あなたの神器が規格外だからでしょ」
そして最後に、私の講座だ。
「さて、先ずは何から聞きたいんだ?」
「あの時の少女は、一体誰なのかしら?」
「うむ、そうだな。あの時の女は私の前世だ」
えぇぇぇぇぇぇ!!!!
途端、皆が驚いた様子で、私を見てきた。
「え!?アリスって前世と全然変わらねぇのかよ!?」
「..........」
「そ、それで、その懐中時計から出てきた気がしたのだけれど.....」
イッセーがどこか抜けたところに驚いて、小猫は固まり、リアスが良いことを聞いてくる。
「ああ、懐中時計を核にして、現界できるんだ」
「出てきて貰っても?」
「ああ、いいぞ」
すると懐中時計が浮かび上がり、アリアが現れる。
コイツ、常に周りの事を聞いてるからな。
「私がアリアだよ。よろしくグレモリー眷属の皆」
「ええ、よろしく」
「なんか、この前とは随分と様子が違いますね」
「あのときはあの焼鳥がいたからね。少しムカついてたから」
と、アリアは言ったりして、アーシアとは少し打ち解けたみたいだ。
「アリア、あなたは一体何者なの?あの時に出した殺気は、魔王すらも越えていたわ」
「.....それを知るのは、まだ早いよ」
「――どういうことかしら?」
「この場の誰もが、まだ私の正体を知るのはまだ早い。後少し、三大勢力が変わるきっかけが起きたとき、全てを話すよ」
アリアの訳のわからない話に、私を含めたみんなが首を傾げているが、アリアは気にした様子はなく、またどこから出したのか、紅茶を飲んでいる。
ホントに、自分の前世とはいえ不思議で面白いやつだな。
――――――――――
次の日、皆は着替えて、外にいる。
目の前に対峙するのは祐斗。
昨日と違うのは、グレモリー眷属の中に、アリアが混ざっていることだけだ。
「じゃあ、行かせてもらうよ?」
「おう、いつでも来い」
祐斗が騎士のスピードで迫ってくる。
余談だが、この修行の間、私とイッセーはリアスの許可が無い限り、神器を使うことが出来ない。
だが、それでも私にはオーフィスと戦って得た第六感がある。
それを使い、祐斗の攻撃を先読みする。
それを使わなくても、祐斗の攻撃は見えるのだが。
「甘いぞ!」
横凪ぎをしてきた祐斗の木刀を屈んで避け、立ち上がる勢いで木刀を上に振るう。
だがそれは簡単に避けられて、突きを繰り出してくる。
その突きを右にかわして払い、反時計回りに回転してから、その遠心力を使って斜め上から切り下ろす。
流石に予想はできなかったのか、それとも油断したのか、祐斗は咄嗟に払われた木刀で私の攻撃を防ぐ。
だが、その慌てように僅かな隙ができ、木刀に触れる直前に体を後ろ向きにしてそのまま前に木刀を振り、祐斗の方に向きながら思い切り振るう。
隙ができていた祐斗は、その変則的な攻撃に反応できず木刀を弾き飛ばされ、首に木刀を突き付けられる。
「チェックメイト。まだやるか?」
「いや、僕の負けだよ」
そうして、祐斗との修行は終わり、次は小猫との修行。
「じゃあ、行くよ?」
「本気でいくからな小猫」
それが開戦の合図となり、二人同時に駆け出す。
そして、小猫が右手を、私が左手を突きだし、拳と拳がぶつかり合う。
それだけでも相当の力だったのか、衝撃波が辺りに広がる。
「小猫、お前魔力使ってるか?」
「え?使ってないよ?」
「........」
いや、まさか小猫の力がここまでなんて予想外だった。
今の私の力は、簡単に言うのなら片手で小さな山を砕けるくらいだ。
それと互角ということは、戦車の駒の力はそれほどと言うことなのか?
「ちなみに戦車の駒の力は使ってないから」
「うわ、なんか怖くなってきた」
これで戦車の力を使われたら、危ないかもしれない。
だが、話はそこで終わり、お互いに距離をとって再度激突、それを繰り返す度に衝撃波が広がり、近くの地面が抉れている。
この調子でずっと続いたため、決着はまた今度ということになった。
そして最後は、朱乃による魔力講座だ。
「魔力はまず体に流れるオーラを感じ取ればいいのですわ」
「ああ、それはわかるんだけど、出すことが出来ないんだ」
「なら次ですわね。意思を集中させて、その流れるオーラを集めればいいのですわ」
朱乃の言った通りにやってみる。
すると、掌に野球ボールくらいの【虹色】の魔力が生まれた。
「おいアリア!」
「ん?なにアリス」
私は側で見ていたアリアを呼び寄せる。
「可笑しいぞ、なんで魔力が虹色なんだ」
「なんでって、それがアリスと私の魔力の色だからだけど?」
「悪魔になって変わったんじゃないのか?」
「厳密に言うと、魔力の色じゃなくて性質がね。悪魔になる前のアリスの性質は、私と同じ聖の性質だったんだけど、悪魔になったことで、それが魔に変わったんだよ。だから、それに引き寄せられて、神器の色が変わったんだ」
「ああ、なるほどな」
と納得している私だが、後からリアスに大変なことを教えられた。
なんと、魔力の色が虹色をしていたのは、今まで一人しかいなかったらしい。
しかもその一人というのが、かのアーサー王、この神器の初代の持ち主だった。
魔力というのは魂で決まっており、何がどうあっても変わることはない。
故に、私の魂はアーサーその人のものということであり、余計にアリアの謎が深まったのだが、これまでの全部を知ることになるのは、レーティングゲームが終わった後なのであった。
どないでした?