ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦   作:ボルメテウスさん

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閉じ込められた青春

陸王は、その日、とある場所に訪れていた。

 

「・・・灰色の瞳の男」

 

先日、角乃の前に現れた妹を攫ったと思われる人物。

 

その人物に対して、陸王は心当たりがあった。

 

「まぁ、今更ここに来ても、何か手掛かりがあるとは思えないけどね」

 

「あら、1人で行動しているけど、何をしているのかしら」

 

「おっと、これはマリアちゃん」

 

陸王が、その場所に黄昏れていた時、背後から話しかけられた人物。

 

その人物、マリアに対して、陸王は不敵な笑みを浮かべながら振り返りながら答える。

 

夕暮れの高校はどこか物悲しい空気に包まれていた。校門から入ってすぐの中庭、古い銀杏の木の下で陸王は佇んでいた。

 

「偶然にしては出来過ぎてるわね」

 

マリアはそのまま、歩み寄る。

 

「本当にね。これがドラマだったら、僕と君で視聴率はかなり上がると思うよ。まぁ、今の僕は残念ながらドラマに出る事が出来ないのは残念だけどね」

 

「そうね、生憎だけど私はそういうドラマには興味はないわ。でもね、あなたが隠している事に興味があるのよ」

 

「まぁ、スーパーアイドルには、ファンに隠し事もあるからね」

 

そうしながら、陸王はマリアに対して、微笑む。

 

その目線には僅かながら、緊張を孕んだ表情が見受けられる。

 

(彼女は多分、僕の隠し事に気付き始めている)

 

陸王は確信をする。

 

だからこそ、この事実を知られる訳にはいかない。

 

「そもそも、ここって、あなたの母校なのかしら?」

 

「母校か、残念ながら僕は中卒だけどね」

 

「中卒?」

 

「ああ。実は僕がアイドルを目指したのは中学の頃だったんだ。夢を追いかけるために、高校は途中で辞めた」

 

陸王は木陰に寄りかかりながら言った。夕日に照らされた横顔には、普段のキザな笑みとは違う、遠い記憶を辿るような寂しさが滲んでいる。

 

「まあ、結果的には正解だったんだろうね。あのまま普通の高校生活を送っていたら、今の百夜陸王は存在しなかったかもしれないし」

 

マリアはじっと陸王の顔を見つめながら言った。

 

「でも、その後事務所をクビになったんでしょう?」

 

陸王の肩が一瞬だけ硬くなった。

 

「……鋭いね。確かにそうだった。大きな契約を目前に控えたとき『あの事件』が起きてね。事務所にとっては最悪のタイミングだったんだ」

 

彼は苦笑いを浮かべながら続けた。

 

「でも今でも僕を待ってくれるファンがいるからね、こうして独立して活動してるってわけさ」

 

マリアはふと空を見上げた。

 

「私は、その学校すら行けなかったのだけどね」

 

「んっ?」

 

その一言に対して、陸王は疑問に思う。

 

「なんでもないわ、それよりも、ここで「青春!」っ」

 

マリアが、そのまま陸王に問い詰めようとした時、聞こえて来た声。

 

「青春を!知らない君たちに!」

 

「教えてあげるためにやってきた!」

 

突如現れた怪人。

 

身体の各部には、学園における部活を象徴する様々な物が刻み込まれており、その瞳は夕焼けを思わせる輝きを放つ。

 

「なっ!? まさか……」

 

陸王の反応を見て怪人はニヤリと笑う。

 

「そうさ! 我こそは青春No.1! 全ての人間に青春を贈る青春ノーワン!!」

 

その青春ノーワンの宣言と共に、青春ノーワンの中心に光が舞い上がる。

 

「これはっ」「一体」

 

そうして、光で眼を瞑る2人。

 

同時に周囲を見れば、先程まで廃校になっていたはずの学園が色鮮やかな姿に戻っていく。

 

「これは一体どういうことだ?」

 

陸王が目の前の光景に眉をひそめると、青春ノーワンは得意げに胸を張った。

 

「ここは青春学園結界。私が創り出した特別な空間だ!君たちのような青春をまともに経験できなかった哀れな者たちに本物の青春を教えてやるためにな!」

 

「そんなことより、ここから出してくれないかな」

 

「ふふっ、断る」

 

「そっか。じゃあ、君をここで倒すよ。良いよね、マリアちゃん」

 

「仕方ないわね」

 

そうして、2人は同時に構える。

 

「エンゲージ!」『ゴジュウレオン!』

 

「Seilien coffin airget-lamh tron」

 

陸王は、テガソードにゴジュウレオンのセンタイリングを装填する。

 

マリアもまた、ギアペンダントを構える。

 

それにより、陸王はゴジュウレオンへ、マリアはアガートラームを身に纏う。

 

「ほぅ、指輪の戦士にシンフォギアか、これは厄介厄介」

 

「だったら、さっさと倒されてくれる?」

 

そう、陸王が、レオンバスター50を構えたが。

 

「あぁ。しかし、私には心強い生徒たちがいるからね」

 

「生徒?」

 

その言葉に疑問に思うと、学校から次々と現れたのは、学生服を身に纏った一般人。

 

老若男女、関係なく現れたそのあまりにも多すぎる人々を見て、2人はさすがに驚きを隠せなかった。

 

「なっ、これは」

 

「私と共に青春を送りたいこの学園の生徒達だ!さぁ、皆の物!奴らを倒すのだ!」

 

「うぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!!!!!!!」

 

そうして叫び声と共に走ってくる生徒達。

 

(まずいっ!流石に彼らには!)

 

(撃てない!)

 

陸王もマリアもそう考えたことで、すぐさまその場を飛び上がる。

 

飛び道具が容赦なく降り注ぐ。バドミントンのシャトルコックが雨のように落下し、バレーボールが壁に跳ね返って不規則な軌道を描く。サッカーボールが低空飛行で迫り来るのをゴジュウレオンは側転で回避した。

 

「ちっ……!まるで体育祭の特訓だな」

 

「気をつけて!この結界の中では、全てのものが武器になるわ!」

 

マリアの警告通り、掃除用具置き場からはほうきやモップが投げつけられ、家庭科室からは包丁型の刃物が宙を舞う。生徒たちは狂気に満ちた表情で次々と武器を持ち替えていく。その様子はまるでホラー映画の一場面のようだ。

 

「落ち着いて考える隙もないな……!」

 

ゴジュウレオンは教室の窓際に飛び込み、机を盾代わりにする。しかしガラスが砕ける音とともに室内に突入してきた剣道部員の竹刀が迫る。

 

(どうすれば……この生徒たちを無傷で止める方法は?)

 

思考を巡らせながらも身体は自然と防御態勢に入る。彼の頭の片隅には、この状況から抜け出さなければならない別の目的がちらつく——灰色の瞳の男。彼を追い求めている時間がないのに、こんな茶番劇に巻き込まれている自分に苛立ちを覚える。

 

一方でマリアは廊下で複数の女子生徒による攻撃に直面していた。柔道着姿の少女たちは正確な投げ技で次々と彼女を取り囲む。

 

「こんなところで油を売ってる暇はないのに!」

 

彼女の脚が素早く動き、相手の重心を崩す。柔術の応用で反撃を回避しつつも致命的なダメージを与えずに済ませるには細心の注意が必要だ。

 

(やはり力ずくでの突破は困難ね……)

 

ゴジュウレオンは屋上へと逃げ込む選択肢を選ぶ。屋根から屋根へ飛び移りながら下方を見下ろすと、すでにグラウンド全体が敵陣地と化していた。青春ノーワンは塔の天辺で高笑いしながら見守っている。まるで観客席で自分の演目を見るかのような態度だった。

 

その時——屋上の鉄柵越しに響いた声が風に乗ってきた。

 

「こっちだ!!」

 

少年の声だった。校舎裏手の非常階段に立つ制服姿の男子生徒が手招きしている。その瞳には恐怖ではなく知性の光が宿っていた。

 

「君は正気なの?」

 

ゴジュウレオンが警戒混じりに問いかける。

 

「信じてください!!」

 

青年は額に汗を浮かべながら必死に訴える。

 

その言葉を。

 

「ならば、信じるしかないね!エンゲージ!」『キョウリュウジャー!』

 

それと共に、陸王はゴジュウレオンからキョウリュウレッドへと変わる。

 

同時に、キョウリュウレッドに変身した彼は、その手に持つカブリボルバーを構える。

 

「あまり、これは使いたくないけどね」『オビラップー!』

 

そうして、周辺に煙を巻いた。

 

そして。

 

「臭っ」「なんだっこれっ」

 

混乱している彼ら。

 

その言葉を聞きながら、2人はすぐにその場を去って行った。

 

そうして、向かった先。

 

「それで、君達は一体」

 

合流した彼らを見て、陸王は尋ねる。

 

「その指輪、お前ら、指輪の戦士だろ」

 

「へぇ、なるほど。これは」

 

その内の1人を見て、陸王は笑みを浮かべる。

 

「陸王、知っているの?」

 

「まぁね。でも、君とまた会えるとは思わなかったよ」

 

「・・・俺の指輪、持っているようだな」

 

「えっ」

 

そう、呟いた一言に、マリアは驚く。

 

「彼は、元ブンレッドのグッドスピード。スピードに取り憑かれた男さ」

 

「あぁ。そして、ここにいる奴らも全員な」

 

「それって、つまり」

 

そうして、グッドスピードは不敵な笑みを浮かべる。

 

「あぁ。ここにいるのは、元指輪の戦士だ」

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