ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
硝煙と焦げ付いた鉄の匂いが鼻腔を刺した。轟音の余韻がまだ街角に残っている。虹野が深く息をつき、ゆっくりと顔を上げる。その眼差しには戦いの昂揚が宿っているけれど、どこか迷いも滲んでいた。
熊手が静かに歩み寄る。グーデバーンを軽く回しながら肩に乗せると、革靴の底が焼け焦げたアスファルトを擦る音がやけに鮮明に聞こえた。
(……あ)
未来は思わず息を呑んだ。二人の間に流れる空気が違う。さっきまでの共闘で生まれた連携の名残りはなく、まるで荒野で睨み合う二匹の狼のようだ。熊手の目つきが鋭くなる。虹野もまた、無意識にレールスラッシャーを握り直した。
「…………」
短い沈黙が肌を刺す。風が瓦礫の間を吹き抜け、折れた街灯がカタカタと揺れた。未来の膝が小刻みに震える。さっきまで味方だった二人が、今ここで戦う可能性――それを否定できない緊張感が胸を締め付けた。
(また戦うの? どうして?)
答えは明白だ。熊手は言っていた。「夢を捨てれば弱くなる」と。虹野がどれだけ成長しても、夢を失ったままでは認めてもらえないのだろう。
熊手がニヤリと笑う。挑発的でもあり、どこか楽しげでもある笑みだった。
「どうやら、夢を持って戦うようになったようだな」
そう、熊手が問いかければ、虹野は頷く。
「俺は、思い出した自分の夢の為にも戦う。正直に言って、熊手と戦うのは嫌だ。けれど、それは熊手を侮辱する事になるから」
そう、虹野はその手に持つレールスラッシャーを構えていた。それは先程と比べても確かに変わっていた。
熊手はそれに満足気に頷くと。
「いいだろう、ならば決闘だ」
それと共に、お互い構えた。
2人は、そのまま互いの武器を構える。
沈黙。
それを意味するのは、最初の一撃で全てが決まる事を理解しているから。熊手はそのグーデバーンをしっかりと構える。
「・・・」
虹野もまた、レールスラッシャーを構える。そして。
「・・・はっ」
「はぁ!」
同時に地面を蹴りつけると共に駆け出した。
距離が縮む。両者は視線を交わすことなくただ前を見据えている。風が二人の間を裂くように通り過ぎる。
「っ!」
刹那、二人は接触した。金属同士が擦れ合う音が夜闇を切り裂いた。次の瞬間にはすでに互いの背中を見せていた。その動きがあまりにも速すぎて、未来の目に映ったのは影だけだった。
「なっ……!」
時間の流れがやけに遅く感じる。心臓の鼓動だけが耳につく。虹野の肩がピクッと震えた。その背中越しに見えるのは、熊手の変わらぬ姿勢だ。
沈黙。
次の瞬間——
ドサッ。
乾いた音と共に虹野の身体が地面に崩れ落ちた。
そして。
『WINNER!ゴジュウポーラー!』
戦いの勝者を祝うような言葉が響き渡る。
同時に、トッキュウジャーの指輪は、熊手の元にあった。
「・・・指輪の争奪戦で、確かにお前は負けた」
そう、熊手は呟く。
今は気絶している虹野に向けて。
「だが、お前は自分の夢を思い出した事で、これからも進んでいける。そんな世界の為に」
熊手は、振り返らず。
「俺様が、神となって実現させる」
自身の誓いのように。
それを、未来もまた見つめられたまま、去って行く。