ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
空気が歪んだ。
まるで水中で見る景色のように現実が波打つ。昭和ノーワンの赤いリングが怪しく輝き、周囲の空間がぐにゃりと溶解していく。
「昭和〜ッ!さぁ!皆さんも一緒に踊りましょう!」
昭和ノーワンが突如両腕を天に掲げると、空中に巨大なカラオケ画面が出現した。
ディスプレイには「♪上を向いて歩こう」の文字が躍っている。
「なっ……!」
マリアが絶句する間に、ノーワンは腰をクネクネさせながら「♪こぼさないように……」と歌い始める。すると彼の歌声に合わせてアスファルトがリズミカルに隆起し始め、歩道橋がカタカタと音楽ゲームのバーのように落下してきた。
「ぶわぁ!?何やってんだコイツは!!」
禽次郎が悲鳴を上げてジャンプする。避けた歩道橋が路面に激突し爆音を立てた。その破片すら「♪君が笑ってくれるなら」というフレーズと共に宙で止まり花びらのように舞い散る。
「これが昭和の技術か……いやただのデタラメだ!」
「・・・なるほど、ならば!」
それと共に禽次郎もまた、昭和ノーワンに合わせるように動き始める。
「なにしてるのよ!」
「これでも、昭和で生きてきた!そして」
そう言って、禽次郎は動き続ける。
禽次郎は両腕を広げると突然くるくる回りだした。
「昭和を知ってるか!?平成を知ってるか!?令和を知ってるか!?」
彼の足元から眩い光が湧き上がるのは、様々な時代を暗示する演出だ。昭和のレコードプレイヤーからCDプレイヤーへ、さらにはスマホへの進化をイメージした円盤が彼の周りを周回する。
昭和ノーワンが眉を寄せた。
「昭和だけが全てだ!お前らのような中途半端な若造が生意気にも語るな!」
だが禽次郎は一切怯まずに続けた。
「中途半端かどうか試してみるか!?」
次の瞬間、彼の指から極彩色の光線が迸り出た。その先端でテレビチャンネルが高速で切り替わるように、昭和のアニメから平成のバラエティ番組へ、そして令和のSNSトレンド映像へと変化していく。
「昭和だけじゃない!全部抱え込んだ僕の方がずっと面白いだろう!」
禽次郎の怒涛の攻勢に昭和ノーワンのカラオケ画面が乱れて崩壊。アスファルトのリズムが狂い始め瓦礫が彼自身に向かって落下してきた。
「ぐぬっ……!?」
よろめくノーワンに対し禽次郎が不敵に笑う。
「どうだ!三世代分の味が出せない奴に、時代を制する事は出来ないぞ!」
周囲の空間が震えだし昭和ノーワンの「昭和至上主義」が揺らぎはじめた。
瓦礫の山に埋もれかかる昭和ノーワンが呻いた。「昭和……昭和が一番……なのに……」
禽次郎の咆哮が夜空を裂く。
「昭和だけが全てじゃない!」
時音が突如立ち上がった。彼女の顔に初めて柔らかな笑みが浮かぶ。
「あんたの言うとおりだわ」
昭和ノーワンが混乱に目を見開いた。
「な……なんだ……?」
時音は遠い星空を見つめながら囁いた。
「昭和だけじゃない。私たちが生きた未来だって……きっと素晴らしいものになる」
マリアが驚愕の目で見つめる先で、時音の指輪が眩く輝き出した。
「この時代も、あんたたちの未来も……全部愛おしいじゃないか」
時音の身体が金色の光に包まれていく。
「だから私は信じるよ———次の時代へと繋がる未来を!」
その宣言と共に昭和ノーワンの輪郭が完全に崩れ落ちた。過去の亡霊が砕け散る刹那、時音の目に映ったのは遠い未来の情景だった。