ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
夕暮れのスーパー駐車場。買い物客で賑わう店内から漏れる蛍光灯の明かりが、陸王たち一行を照らしていた。虎丸涼は先頭を歩きながら淡々と告げる。
「食材調達です。今日の修練は『食費削減による持久力養成』」
「待ってくれ……この状況で、それを言うのかい?」
陸王が眉をひそめた。
それは店内から悲鳴が響いている光景から。
「泥棒ー!」
「袋詰め放題コーナーが荒らされてるぞ!」
三人が駆けつけると、棚の特売品が積み上げられた中央テーブルの上で一人で高笑いをしているノーワンを改めて見る。
「俺こそはァ! 節約ノーワン! ノーワンワールド・節約ナンバーワンだァ!」
陸王は思わず頭を抱えた。
節約ノーワンはキャベツを床に投げ捨てると指を突きつけた。
「そこのアンタたち! 誰が一番節約できるか勝負しなァ! 承諾せねば店中の商品を消費税還元セールにしてしまうぞォ!」
「承諾するわけないでしょう」
虎丸が一歩前に出る。
「虎丸さん?」「危険ですよ!」
調と切歌が制止しようとするが、彼女は振り向きもせずレジ袋を両手に提げた。
「節約バトルの舞台は日常にある。掃除機なんて贅沢品に頼るくらいなら……」
サッと懐から取り出したのは竹製の箒だった。柄の先端に革紐で括られた百円ショップのメモ帳が揺れている。表紙には『日々の節約術』と毛筆で書かれていた。
「『雑巾の再利用は限界を迎えたら燃料にする』、『水道代ゼロで皿洗いするには雨水タンクを活用』……これ全部試したわ。その中でいちばん効果があったのは……」
虎丸が箒を逆手に持ち替え、節約ノーワンの額に軽く突き刺すように伸ばす。
「行動力。物事を始める意志よ」
ノーワンは。
「そんなのは節約ではなく、ただのケチ!」
「ケチですって」
その一言に、虎丸は我慢ならないのか、箒を持つ力が強まる。
「あなたみたいな奴がいるから! 本当の節約は生きる為にある。生きる為に必要な物をいかに抑えるのかが重要なの! そもそもあなたのやっている事はただの窃盗と同じ! 食品の価値を知らないんじゃないの」
「価値だって。いいだろう! ならばこのバトルであなたを徹底的に分からせてあげる」
それと共に、ノーワンは。
「ならば、より分かりやすい形にすれば良いんじゃないかな」
「・・・その方法は」
「分かりやすい方法は、あれじゃないか」
そう、陸王が見せたのは袋詰めコーナー。
「・・・袋詰め?」
「そうさ、同じレジ袋にどれだけ入れられるのか。節約と言えば当然、安い物を多く買う事! それを試すには」
「それであれば、もっと分かりやすい勝負になりますね」
調が納得するように言う。
「確かに」
それと共に野菜コーナーを見つめながら。
「ならば、始めようではないか」
「グハハッ! この俺様の節約術を見ろォッ!」
ノーワンは特売のキャベツを鷲掴みにすると、まるで爆弾を投げ込むかのようにレジ袋へ叩き込んだ。ざっくり割れたキャベツが袋の底で歪み、緑の葉っぱが四方八方に飛び散る。
「おいおい! もっと詰めないとダメだろうがァ!」
次に彼が選んだのは巨大な玉ねぎだ。皮を剥かないまま直接袋へ押し込み、形を無視して他の野菜の隙間にねじ込んでいく。紫色の皮が擦り切れ、鼻を突く刺激臭が立ち込めた。
「これこそが……俺の究極節約術《圧縮詰め込み》だァ!」
ノーワンが自慢げに言い放った瞬間、袋の底部から異音が響いた。
バリッ!
ナイロン素材が悲鳴を上げる。玉ねぎの重量に耐えかねた袋が裂け始めたのだ。
対照的に虎丸は動かなかった。彼女はまず棚からそっとミニトマトのパックを一つ手に取り、掌の上で転がすように配置を確認する。一つひとつのトマトを慎重に袋へ滑り込ませていく。
(最小の隙間も許さない)
「まずは小型野菜で安定性を確保」
続いて彼女が選んだのはカリフラワー。茎の部分を丁寧に切り落とし、残った白色の花蕾部分を逆さまに袋へセットする。この形状が意外なほど多くの空間を塞いだ。
次々と小さく均一な野菜群―ピーマン、ブロッコリーの芽部分―が袋に収まっていく。それぞれがぴったりと噛み合った様子は、精密なパズルのように美しかった。
「節約とは秩序です」
ノーワンの袋は今や裂けかけており、中身が次々と床へ零れ落ちていた。一方虎丸の袋は完璧なバランスを保ちながら膨らんでいく。
そして決定打となったのは……彼女が袋の最上部に慎重に乗せた一本の長ネギだ。葉先の緑が垂直に立ち上がり、見事な均衡を生み出していた。
「私の勝ちです」
静寂が訪れた。
そうして、参加者の全員が詰め終わると共に。
「終了!それでは、結果発表です!」
「結果は、野菜の数で判明します」
それと共に、何時の間にか司会を務めていた切歌と調が務める。
そうして、各々の袋から次々と野菜を取り出していく。
「勝者は」「この方です!」
そうして、2人が宣言した勝者は。
「「陸王さんです!」」
「何ぃぃ!!!」「・・・」
宣言した勝者に、2人は驚きを隠せなかった。