ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
病院のベッドで眠る一命を見守る竜儀に、弦十郎が静かに近づいた。
「暴神君、少し話をしないか」
屋上へ導かれ、眼下の街を見渡す二人。
「昔の話ですが」
そうゆっくりと呟き始める。
「私の家は、天才外科医を輩出してきました。祖父も父もその腕前で世界に名を馳せています」
「立派じゃないか」
「そうですね。ですから一族には期待されているのです」
だが竜儀の口調には温度がなかった。
「私も当然その道を進むべきだと言われていました。医学書が友達で、手術の図版が唯一の娯楽……まるで操り人形のように」
弦十郎は黙って聞いていた。
「しかしある日、父の書庫で偶然見つけた本がありました。テガソード様の教典です。その瞬間、初めて"本当の自分"を取り戻せた気がしました」
夕陽が彼らの影を長く引き延ばす。
「だからこそ、テガソード様のための力となろうと思ったのです」
「……そうか」
しばし沈黙が流れると、弦十郎が静かに言った。
「かつて私にも似たような男がいた。生まれ持った血に縛られながらも、最後には自分で翼を得て羽ばたいた」
「弦十郎さん」
「君にもきっとできる」
その時、けたたましい警報音が鳴り響いた。
「緊急事態発生!爆発事故発生!」
病院内に混乱が広がる中、竜儀は屋上から炎が上がる方向を見る。
「まさか……!」
「おいおい……ここまでしつこいとはな」
階段を駆け降りる足音の向こうで、狂った哄笑が木霊していた。
「フハハハ!これぞ究極の爆発芸術!我が名は爆発ノーワン!!」
窓ガラスが割れ、炎が舞い上がる。遠くの病室で一命が悔しげに歯噛みした。
「畜生……身体さえ動けば……」
しかし竜儀はすでに病室の入口に立っていた。
「あなたの怪我は完治していません。無理は禁物です」
「だけど!放っておく訳にもいかねぇだろうが!」
それと共に、病院は火の手が回り、既に逃げ場はない。
煙が充満し始めた廊下で、警報が断続的に鳴り響く。窓枠からは炎の舌先が見え隠れし、遠くで悲鳴がこだました。
「早く脱出路を確保しないと……」
一命が焦りに満ちた声で言ったその時、爆音と共に壁が崩落した。炎の塊が病棟を舐めるように広がっていく。
「くそっ……こんな時に限って身体が……!」
彼の右腕に巻かれた包帯が朱に染まり始めていた。無理に動かそうとした結果だ。
「……無茶は禁物です」
竜儀は冷静に警告するも、その目に焦燥が滲んでいた。このままでは非戦闘員の生存者たちが──
「この状況で、炎から人を守れるのは、このセンタイリングしかない。だったら!」
そう怪我をした身体と共に、急場は、そのセンタイリングを。
「暴神!」
「っ」
そうやって、渡されたゴーゴーファイブのセンタイリング。
「受け取ってくれ」
「いや、しかしっ」
「考えてくれ。今ここにおいて、誰が炎を収める事が出来る」
「っ」
「お前にしか頼めないんだ!だから頼む」
「っ」
竜儀はその手の中にゴーゴーファイブのセンタイリングを握らせた。
「この炎を止められるのはお前だけ」
「だが……」
躊躇う竜儀に一命が呻くように続けた。
「人を救いたいんだろう!だったら戦え!どんな形であれ俺の願いは託せる!」
その瞬間──
爆発ノーワンの哄笑が屋上から轟いた。
「全ては私の芸術品となる!逃げ惑う羊たちよ、新たな炎を刮目せよ!」
新たな起爆装置が投下されようとしている。
「時間がない……」
竜儀の手の中でセンタイリングが淡く光った。まるで意思を持つかのように。
「人を救うために戦う。それが私の使命です」
竜儀は呟くと、そのリングを強く握り締めた。
「ならば──行きます!」
決意と共に踵を返す彼の背中に一命が叫ぶ。
「頼んだぞ!俺の分まで戦ってくれ!」
火の粉が舞う中、竜儀はエントランスホールへと駆け出した。ゴーゴーファイブのリングが呼応するように赤く輝く。
「待っていろ爆発ノーワン……」
その瞳には揺るぎない覚悟が宿っていた。