ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
「まずは情報を整理しましょう」
クリスがテーブルにメモ帳を広げる。角乃が玲緒菜の隣に腰を下ろし、優しく尋ねた。
「その怪物に友達がさらわれたときのことを覚えている?」
玲緒菜は小さく首を振る。
「よく思い出せなくて……でも確か……月夜のことでした」
「月夜?」
角乃が眉をひそめる。
「満月の夜?」
「たぶん……塾の帰りで突然真っ黒な霧が出てきて……」
クリスがペンを走らせる。
「場所は?」
「近所の……西山公園」
三人が顔を見合わせる。核心に迫る手掛かりを掴んだと思った瞬間──
「でも……本当に憶えているのはそこまでなんです」
玲緒菜の声が震えた。
「あとは怖くて……忘れちゃって……」
部屋に沈黙が流れる。
「大丈夫」
角乃は穏やかに微笑む。
「私たちで思い出させてあげる」
玲緒菜が不安げに角乃を見上げる。
「どうやって……?」
「わたしが手伝うよ」
角乃がそっと玲緒菜の手を取る。指先が触れ合う刹那、脳裏に鮮烈な映像が流れ込んできた。
月明かりの下、公園のベンチに座る二人の少女。
突然地面から噴き上がる漆黒の瘴気。
抵抗する間もなく飲み込まれていく友達。
そして──
一瞬だけ見えた"角"。
稲妻のような鋭さを持った一本の角が闇に浮かび上がる。
「見た……!」
角乃が思わず声を上げる。玲緒菜が目を丸くする。
「わ……私もいま……」
「何を見た?」
クリスが食いつくように訊く。
玲緒菜が震える唇で告げる。
「友達と一緒に……怖い影に包まれたんです……それで……その影から一本の……」
「角が見えたんですね?」
「えぇ!それと共に奴の正体も分かったっ」
角乃は確信を得る。
「私の能力で見ててよかった」
角乃は一度目を閉じ、その後。
「この事件、おそらくはノーワンの仕業よ」
「ノーワンって、本当なのか?」
その一言に対して、クリスは思わず聞いてしまう。
「えぇ、あの時、ノーワンが現れた時と一緒だった。だから間違いない」
「けどよ、だからといって、そのノーワンが現れる可能性なんて」
「だから、クリスちゃんにお願い♡S.O.N.G.のデータベースを見せて欲しいの。勿論、監視ありで良いから」
「データベースって、なんでだ?」
「私が得た情報を元に、そのノーワンの行動パターンを予測したいのよ」
「予測するって」
「なんだって、私はハイクラス&ラグジュアリー名探偵だからね」
その角乃に対して、クリスは。
「はぁ、とりあえず、おっさん達にも事情を話せよ」
「勿論!」
そうして、クリスの案内の元、S.O.N.G.の青白いホログラム光が壁一面を覆い、幾百のデータストリームが渦巻く情報に角乃は立っていた。
「こうして情報があって、ようやく分かる気がする」
「……あまり時間かけてる暇は無いぞ」
クリスが傍らで腕を組みながら警戒の目を光らせている。
エルフナインが操作盤を叩き、画面が分割されて過去六ヶ月の失踪報告リストが列挙される。
「月齢のグラフを重ねます」
角乃は思考を集中させた。センタイリングの光が左眼に投影され、半自動的にデータ間の相関関係を抽出していく。
「月齢28~29……つまり満月前の数日間に集中」
「場所は……住宅街の防犯カメラ空白域」
「被害者は全員、子供」
エルフナインが驚愕の声を上げる。
「ここまで一致するのは偶然ではありませんね……!」
クリスが歯噛みする。
「まさか……このパターンでおびき出してるのか」
「えぇ、そこからパターンで、ここよ!」
そう角乃が指を刺した先。
そこは、彼らが住んでいる街。
「そうなると、次の満月は今夜よ」
「今夜なら……チャンスはあるか?」
クリスの問いに角乃は口を真一文字に結ぶ。
「やるしかないわね」
夜景を反射する窓に二人の姿が映り込む。少女の涙を止めるために走り出す時間はもうすぐだった。