ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
ピザボックスの入った保温バッグを肩に掛け直しながら、俺は住宅街の角を曲がった。
夕方の住宅街は静かだ。道沿いの家々から漏れる温かい明かりが目に染みる。
「よし……あそこの家だ」
配達先住所をスマートフォンで確認し、俺は足を止めた。木造二階建ての一軒家。玄関灯が柔らかく灯っている。
インターホンを押す指が一瞬躊躇した。
ここは――遠野の家。
つまりは俺の実家だ。
十年前のあの時から。
一度も足を踏み入れていない場所。
そして今日初めて配達員として訪れた。
「……こんにちは!ウーバーイーツです!」
内心の動揺を押し殺して声を張る。すぐにインターホン越しの返事があった。
『はい』
母さんの声だ。懐かしいのにどこか他人行儀なトーンに胸がざわつく。
ガチャリとドアが開いた。
現れたのは見慣れた顔。けれど十年分老け込んだ母さんの顔だった。
「こんばんは〜配達です。こちら注文いただいたピザ三点ですね?」
鞄からピザを取り出そうとすると、母さんが不思議そうな顔で言った。
「ありがとう……あれ?あなた……?」
「お客様の代金はすでにネット上で完結しておりますので、サインも不要で――」
「ねぇ、待って。誰かに似てる気がするんだけど……」
俺の手首が掴まれた。皺の増えた細い指が強く食い込む。
息が詰まる。俺は咄嗟に顔を伏せた。
「人違いじゃないですか?」
母さんは目を丸くし、「そう」と短く呟いて離してくれた。俺は急いでピザを渡す。
「では失礼します。ありがとうございました」
踵を返そうとした瞬間、背中に声がかかった。
「ご苦労さま……ねえ君、本当に誰かに似てる。誰だろう」
言い終わる前に俺は駆け出した。心臓が跳ね上がる音だけが耳につく。
――違う。俺だよ。
叫びたくなる衝動を拳を握りしめて堪える。
けどもう遅い。きっとこれからも俺はただの“見知らぬ青年”にしか見えない。
玄関前の石畳に立ち尽くし、俺は唇を噛む。
そして十年後にもう一度扉を開けるとしたら?
――彼らの中ではとっくに時間が流れている。俺のいた痕跡はなかったことにされている。
なのにこうして配達に来ただけで動揺してしまう自分が情けない。
ふと視線を感じた。路地の陰からコソコソ覗いている姿がある。
「響……」
立花響はビクッと肩を跳ね上げると慌てて出てきた。
「ゴメンゴメン!偶然通りかかっちゃって……えっとその……大丈夫?」
いつも快活な彼女の声音は珍しく沈んでいる。
「なんでこんなところに?」
「買い物帰りなの。でさぁ吠くんがこっちの方向に向かってるの見たから『ひょっとして』と思って追いかけちゃった!」
「追いかけてくるほどのことでもないだろ」
努めて冷たく言うと響は眉を下げた。
「だって……泣きそうな顔してたもん」
思わず頬を拭う。泣いてなどいないはずだ。
「何言ってんだよ。配達してきただけだって」
「ホントに?なんかすっごく辛そうだったよ?家の前で震えてたみたいだし……」
――鋭いやつ。
隠しても無駄らしい。俺は小さく溜め息を吐いた。
「別に何でもない」
嘘になる。でも本当のことなんて言えない。
響は少し考えてからパチンと手を叩いた。
「じゃあこうしよう!今から一緒にご飯食べに行かない?奢るよ!」
「はぁ?唐突だな」
「だって今日ずっとお腹鳴らしてるでしょ?それにちょっとぐらい楽しい時間あった方がいいと思うんだ」
確かに空腹だがそういう問題じゃない。しかし響は聞く耳持たず袖を引く。
「行こ行こ!今日は私の奢りだから好きなもの頼んでいいよ!――」
「おい財布開けんな馬鹿!」
慌てて止めようとする俺の横で響が引っ張ってくれる。
本当にお節介な奴だと思いながらも、さっきの言葉で俺は。
「……やれやれ」
歩きながら俺は苦笑いを浮かべる。響の強引さには敵わない。それでも彼女のおかげで、さっきまでの重苦しい気持ちが少し和らいでいた。
夕暮れの商店街を二人で歩く。響が選んだ店は駅前の大衆食堂。安くて量も多いことで有名な店だ。
「いらっしゃい!」
威勢のいい店主の声が店内に響く。二人はカウンター席に腰を下ろした。
「わたしは天ぷら定食大盛りで!吠くんは何にする?」
「……じゃあ焼き魚定食で」
メニューを眺める振りをしながらも、俺の頭からはさっきの出来事が離れなかった。実家の前で母と対面した時の違和感。まるで時間が別人のように流れているような感覚。
そんな沈黙を破るように、突如として店内が揺れた。
「なんだ!?」
窓ガラスが軋み、人々の悲鳴が聞こえる。外を見ると道路の真ん中に異形の影が立っていた。
青白い装甲に覆われた鳥人間のようなシルエット。背中からは大きな翼が伸び、全身を覆う羽毛状の装飾が夕陽に照らされて妖しく輝いている。そして何より特徴的なのは顔だ。
前飾りのような装飾が広がるマスクの目部分には赤い宝玉。しかしよく見るとそれは涙のように見える位置に配置されており、全体的に「血の涙を流す化け物」という不気味な印象を与えていた。
その手には自身の身長ほどもある長剣が握られている。刃は鉱石のように鈍い光沢を持ち、鍔には顔の装飾と同様の鳥の羽を模した意匠が施されていた。
「てめぇは」
「ほぅ、そこにいたのか、テガソードの力を持った者が」
「てめぇもユニバース戦士っていう訳じゃなさそうだな」
そうして、俺は呟くと。
「我が名は疫病のペスティス。テガソードを持つ者は、ここで死んで貰おうか」
「はっ、そんなのお断りだぜ」
それと共に、俺は既にテガソードにセンタイリングを装填する。
「エンゲージ!」『ゴジュウウルフ!』
鳴り響く音声と共に、俺はすぐにゴジュウウルフへと変身を終える
それと共に、俺はウルフカリバー50を瞬時に呼び出すと共に、そのまま空間を切り裂く。
「なに?」
「おらぁ!」
俺はすぐに空間を切り裂き、その向こうに蹴っていった。
そこは、ここから離れた立ち入り禁止地区。
理由は、あんまり知らないが。
「ここだったら、他の奴らに迷惑をかけないからな」
そう、俺はテガソードを構える。
対して奴は。
「愚かだな、貴様は」