ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
「ギャハハハハ!」
荒れ狂う咆哮とともに、怪物はビルをなぎ倒した。
スラオー
厄災の化身の一体は、まさに古代の猛獣そのものだった。
全身を覆う灰色の岩のような皮膚は太陽を鈍く反射し、頭部には棘状に硬化した頭蓋が突き出している。筋肉は膨れ上がり、太腿の太さだけでトラック一台分はあるだろう。
原始人の特徴を極限まで凶悪化したフォルムは、現代兵器すら嘲笑うかのような原始的な威容を放っていた。
「グォアアッ!」
スラオーが振り下ろしたハンマーは直径3メートルを超える岩石塊だった。
地面に接触した瞬間、衝撃波が周囲数百メートルを震わせる。
アスファルトが蜘蛛の巣状に割れ、ガラスの雨が降り注ぐ。
「まずい……!」
彼らが駆けつけた時には既に数棟の高層ビルが崩れ落ちていた。
消防隊のサイレンが遠くで虚しく鳴り響く。
「これが厄災の力か……」
「この前の吠が倒した奴に比べたら、弱いかもしれないが、このまま放っておけばヤバいだろうな!」
「そうデスよ!早くなんとかしなければ」
切歌がそう慌てる最中。
「あいつは指輪を持っているのか」
「えっ、いやそれは」
「持っていないだろうな」
「ならば、余が戦う必要はないな」
「なんデスって……!?」
切歌の顔が硬直した。その視線はアッサムの冷酷な微笑みを捉えている。
「どういうことですか!あの怪物があんなに暴れているのに……」
「簡単な話だ」
アッサムはゆったりと腰を下ろし、岩陰から眺める格好になった。
「余が求めるはただ一つ——指輪だけ。それが得られない場所での戦いなど無意味だ」
彼の目が細められ、遠くで瓦礫を撒き散らすスラオーを凝視する。
「あの化け物がどう暴れようともな」
「そんな……市民が危険なのに!」
「関係ない」
彼の言葉は氷のように冷たかった。
「余が命懸けで戦う理由はただ一つ——指輪を得ることのみ」
まるで当然のことのように宣言するアッサムに、切歌は怒りを抑えることができなかった。
「でも!このままじゃ街が……!」
「……余計な戦いをする必要はないと言ったはずだ」
アッサムの警告を背に受けながら、暴神はすでに数歩前に進んでいた。
切歌が振り返ると、
暴神はゆっくりとテガソードを構えていた。
「いやさか」
その動作はいつもよりもずっと丁寧で、祈りを捧げるようにも見えた。
「私はテガソードの僕。民を守るために来たのだ」
彼の声は低く、しかし確固たるものだった。
「指輪云々の前に、この町に住む全ての人々が泣いている。それを見捨てるのは、テガソードの道に反する」
拳が固く握られる。震えは武者震いか恐怖か——どちらでもない。使命感だった。
「くくっ、全く、けれど良いじゃないか」
そこには熊手もまたゆっくりと構えていた。
「俺様は既にテガソードを越える神であり救世主だからな。ならば、厄災を再び葬るのも当然だろう」
「じゃあ、行くクマ!」
熊手はそう答えながら、両手を伸ばす。
「まぁ良いでしょう、エンゲージ」
「素直じゃねな、エンゲージ!」
それと共に、2人はすぐに変身すると共に真っ直ぐとスラオーに向かって行く。
切歌の視線の先で、スラオーの巨大な岩ハンマーが熊手と暴神を襲っていた。
「ぐああっ!」
暴神の装甲が削られる音がする。それでも彼は倒れない。むしろ更に強く踏み込み、テガソードを振り抜いた。
「ふん……くだらない」
アッサムが岩陰で退屈そうに呟いた。
「願いのために戦うべきなのに、なぜ余計な戦いをする?命を危険に晒すだけではないか」
切歌は振り返らずに言った。
「恥ずかしくないからデス」
「……なに?」
「願いに恥じないために戦っているんデス!」
切歌の声が風に乗って震えた。
「吠さんも、皆もがなりたい自分は……どんな時でも逃げないヒーローデス。
願いだけ追い求めて何も守れなかったら、その願い自体が嘘になってしまう」
アッサムが一瞬だけ目を見開いた。
「それが……主達の言う“願い”なのか」
その言葉が妙に響いた。まるで彼が今まで抱いていなかった感情に触れたように。
彼は改めて戦場を見た。熊手と暴神が命懸けで戦っている姿に心が熱くなる。
これが正しいのかは分からない。
でも少なくとも、この選択に悔いはない。
願いのためだけじゃない。
今ここで傷つく人たちを守るためだって。
「みんなの願いを守るのが、彼らの役目だから!」
そう呟いた瞬間、全身が燃えるように熱くなった。
アッサムが小さく鼻を鳴らす音がした。
「……おもしろい考え方だな」
彼は一瞬だけ戦場に目を向けたあと、再び切歌に視線を移す。
「ではその"恥じない戦い"をしなければな」