ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
互いに驚愕の表情を交わす二人のゴジュウユニコーン。
その間にテレポーが青白い光を纏った槍を鋭く突き出した。
「くっ!」
緒乙のゴジュウユニコーンが咄嗟に身を翻す。銀の鬣が風を切って流れ、頭上の一角が僅かに槍の軌道を逸らした。直後に角乃のユニコーンが滑るように前に出て、もう片側から迫る槍先をかわしながら左腕で薙ぎ払う。
「こいつ……幽霊みたいな動きをするわね!」
空中で身を捩らせた緒乙のゴジュウユニコーンが低く唸る。地面に降り立った彼女の足跡が淡く発光し、すぐさま消えた。
「まるで空間を跳んでいるみたい!」
角乃の声は冷静ながらも苛立ちを帯びていた。テレポーが再び姿を消し、次の一撃の気配だけが静寂の中に蠢く。
一拍置いて緒乙が叫んだ。
「左後ろ!」
刹那、背筋を駆け上がる危険信号。角乃は反射的に体を捻りながら角を前方へ突き立てた。キンッ!という金属音が響き、弾かれた槍の柄が虚空に霞のように溶ける。
「今の……何て速さ……!」
煙幕が晴れるように姿を現したテレポーは既に新しい槍を構えていた。その眼窩からは赤黒い炎が溢れている。
緒乙は歯噛みしつつ距離を詰めるため足を踏み出す。
「どっちが本物か確かめ合う時間は無いわ。今は共闘するしかない」
角乃も同意し頷く。
二匹のユニコーンが並んで月明かりに鎧を煌めかせたその時、テレポーの全身から幽界の怨念が迸った。
2人のゴジュウユニコーンは同時にユニコーンドリル50を召喚した。両者の掌から金色の光芒が渦を巻き、ドリル型武器へと実体化していく。
「行くわよ!」
角乃の咆哮が夜気を震わせる。ドリルの先端が超高速回転を始めると、空気が擦れて火花が散った。
緒乙もまた一歩踏み込み、対照的な静かな闘志を燃やす。
「一緒に戦って!」
テレポーが虚ろな眼窩から怨念の光を放ちながら槍を投擲。螺旋を描いて迫る武器を2人は左右に分かれて回避する。ドリルの回転が生み出す真空域が槍先を微妙に歪ませる。
「こいつの動きは見える!」
緒乙のゴジュウユニコーンが分析する声を上げつつも攻勢に出る。ユニコーンドリル50を地表に叩きつけた衝撃で砂塵を舞わせると同時、幻影の如く姿を消したテレポーの死角へ飛び込んだ。
「甘いわよ!」
角乃が叫ぶと同時に緒乙の背後へ忍び寄っていたテレポーの身体を貫く。
「一緒にやるわよ!!」
「力を貸して!」
角乃と緒乙の声が重なり合う。二人が同時にユニコーンドリル50を構えた瞬間、それぞれの握る武器から眩いマゼンタの閃光が迸った。
『フィニッシュフィンガーユニコーン!』
電子的な女性の声が夜闇に響き渡る。ドリルの回転速度が極限まで上昇し、大気を切り裂く轟音が路地裏に満ちた。
「これが私たちの──!」
「──答えよ!」
二人の拳がほぼ同時に突き出される。ユニコーンドリル50の先端がテレポーの胸元深くに突き刺さると同時に、鮮烈なマゼンタの光柱が夜空へと噴き上がった。
怨霊のような敵の体が激しい痙攣を見せ、赤黒い瘴気が断末魔のごとく噴出する。
「ぐぉぉぉ………」
テレポーの怨嗟の声が虚空に吸い込まれていく。光の奔流が収束すると共に、敵の体は微細な粒子となって完全に消滅した。
それと共に、緒乙の方のゴジュウユニコーンに吸い込まれる。
「っ」
緒乙のゴジュウユニコーンの装甲が紫暗い脈動に覆われ始めていた。テレポーの怨念が彼女の体内で暴れているのだ。
「うぅ……っ!」
膝をつく緒乙。兜の隙間から覗く額には脂汗が滲み、苦し紛れに胸を押さえている。吸収された怨念が彼女の魂を蝕む毒のようだ。
「緒乙!」
角乃が咄嗟に駆け寄ろうとしたその瞬間——
「あぁぁぁぁ」
緒乙の悲痛な叫びが遮った。紫色の稲妻が彼女の周囲を迸る。その一筋が角乃の足下の石畳を砕いた。
角乃は拳を握りしめた。目の前で苦しむ彼女は、自分の名前を使っている別人ではない。妹と同じ名を持つ、かつて自分と同じ存在だった誰かなのだ。
「…………」
踵を返し、角乃はその場を後にした。背中越しに緒乙の荒い息遣いが追ってくる。振り返ることはしなかった。
——あの子が本当に妹なのか?
——それとも敵の罠なのか?
確信も否定もないまま。
「確かめないとっ」
それと共に、彼女の後を急いで追う。