ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
「う……嘘だろ……」
困惑する俺の耳元で風を切る音が掠めた。
「っ」
躊躇なく振り下ろされた拳がアスファルトを抉る。間一髪で避けるものの、コンクリート片が頬を掠めた。
「響……お前一体……!」
問いかけも虚しく次の攻撃が迫る。狼爪を模した掌が喉元を狙ってきた。咄嗟に身体を捻って回避するが—
「ギィンッ!」
硬質化した肘鉄が肋骨に直撃。衝撃に息が詰まる。
痛みをこらえて跳躍するも、背後から迫る気配に気付き損ねた。空中で踵落としを食らい地面に叩きつけられる。
「ガハッ……!」
肺の中の空気が強制的に排出され視界が霞む。それでも這いずり起きようとすると、顔のすぐ横に爪先が刺さった。
「……ッ!」
ゴジュウウルフの装備を纏った響が静かに見下ろしている。仮面の奥の目は澱み、微かな呼吸すら機械的な均一さを帯びていた。
「これは面白い」
背後で拍手が鳴った。
振り向かなくてもわかる。クオンの愉悦に満ちた声だ。
「女王様がかつて造った模倣されたゴジュウウルフの指輪。それを元にとはいえ、こうやってゴジュウウルフとして、さらには立花響の戦闘能力も加わりと。なるほど女王様はすごいな」
テガジューンの銃口がクルクルと回転する。
「けどねぇ……」
突然銃口が響に向けられた。
「吠をやるのは、僕なんだよ」
「っ」
その攻撃の意味を理解した俺はそのまま自分の身を盾にした。
背中に焼けるような痛みが走った。クオンの放った紫色の光弾が俺の脊椎を貫通し、アスファルトに焦げ跡を作る。だが倒れるわけにはいかない。俺の背後には響が―俺と同じゴジュウウルフの装甲を纏いながらも、意思を失った響がいる。
「響……聞こえてるか!? おい!」
振り向きざまに呼びかける。だが彼女の顔は仮面に覆われ、唯一覗く口元は固く閉ざされたまま。それでも確かにそこには熱が残っている。俺が何度も触れてきた響の体温が。
「だめだ……! 偽物の指輪なんかに負けんなよ……っ!」
左腕で響の肩を掴む。鋼鉄の感触の奥に、生身の震えが伝わってくる。彼女の中に眠る自我が戦っている―そう信じた瞬間、
「ギィアッ!」
鋼鉄の爪が俺の胸を抉った。甲冑越しにも鈍い衝撃が臓腑を揺らす。
「ほらほら~無駄だってばぁ」
クオンの嘲りが鼓膜を揺らす。奴はテガジューンを回しながらゆったりと接近してくる。
「自我なんてものは脆い。厄災に抗えるはずもない。さあどうする? このままだと君は彼女に殺される。それとも共倒れか?」
「……やめろよ……響……」
血の味が口腔に広がる。視界がぼやける中でも、俺は手を離さない。いや、離れられない。この手を放したら最後、本当に響がどこかに行ってしまう気がした。
(くそっ……こんな時に……)
そう考えていた時。
『手を握るんだ』
「っ」
聞こえたのは、テガソードの声。
「テガソード」
『彼女は今、厄災によって無理矢理心を閉ざされている。ならば、彼女自身の人を繋ぐ力が鍵だっ!』