ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
はあ……っと大きく息を吐いてリョウテガソードを地面に突き立てた。その拍子に全身の力が抜けそうになるが、なんとか堪える。
「まったく……世話かけさせやがって」
思わず悪態が出た。本当はもっと違う言葉を掛けたかったが、喉の奥につかえて出てこない。代わりに拳を握りしめる。掌に残る感触は紛れもなく本物の響のものだ。
「ごめんなさい……吠くん」
振り向くと響が俯いている。俺と同じように変身したままの姿で、肩が小刻みに震えているのが見えた。
「お前……マジで危なかったんだぞ? 何回死ぬところだったと思ってるんだよ」
言いながらも声が震える。自分がどれだけ焦ったか、仲間たちがどれだけ必死だったか、言葉じゃ伝えきれねぇくらいだ。
響は何も言わず唇を噛んでいた。その顔を見てるとますます腹が立つ。
「もう二度とあんな無茶すんなよ! わかったか?」
つい大声になってしまった。ビクリと肩を揺らす響の様子を見てハッとする。
しまった……
「悪い……ちょっと言い過ぎた」
頭を掻きながら視線を逸らす。響はゆっくりと顔を上げて俺を見つめた。その瞳には涙が浮かんでいるが、無理に笑おうとしてるのがわかる。
「……うん。ありがとう、吠くん」
震える声で言った後、響は小さくため息をついた。
「迷惑……かけちゃったよね?」
その言葉に俺は首を振る。迷惑なんてモンじゃねぇ。本当に失っちまうかもしれなかったんだ。
「迷惑って……まぁ、正直言えばな」
言葉とは裏腹に肩の力が抜ける。リョウテガソードの重みも今は心地よい。
響がうつむいたままだったので、ついでに小石を拾い上げて遠くに投げる。
「けどよ」
振り向くと、響が顔を上げた。まっすぐ俺を見るその目には少し不安げな色が見える。胸の奥で何かが疼く。
「迷惑かけて悪ぃって思ってるんだったら……」
ぐしゃぐしゃと髪をかき回し、視線を逸らす。口に出すべき言葉がまとまらない。こういう時だけ素直になれねぇのが俺の悪い癖だ。
「ちゃんと借り返せよな!」
言い捨ててからプイッと背を向けた。我ながらダサすぎる。だが響は小さく「うん……!」と答えて微笑んだ。その声があまりに柔らかくて思わず頬が熱くなる。振り返りたくなる衝動を抑え込みながら拳を握る。
その瞬間だ。
「お~い!吠くん!良いところ見ちゃったなぁ!」
陸王の能天気な声が飛び込んできた。いつの間にか他のゴジュウジャーたちも周りを取り囲んでいる。調がニヤニヤと口元を隠すように手を当て、切歌もぷくっと頬を膨らませていた。
「なんだよ!文句あんのか?」
吠え返すが自分でも語気が強くなりすぎていると分かる。響の方を見ると、彼女はみんなの反応に少し恥ずかしそうにしていた。
「いやいや文句はないよ」
陸王が手を振る。
「ただね~、吠くんったら素直じゃないなぁ~」
「あぁ、俺はいつも素直だろうがぁ!じゃねぇ!」
声が裏返る。こいつら相手だと妙に冷静さを欠いちまう。禽次郎を目を細め、「青春じゃな」とぼそり。
それだけでも耳が火照りそうだ。
そのときだ。横から腕が伸びてきて俺の右腕に絡みついた。
「うわっ!?」
慌てて視線を落とすと、切歌がぴったり密着している。
「響さんばっかりずるいデス!」
頬をぷくりと膨らませながら上目遣いで睨んでくる。
どういう意味だよ……と聞き返す勇気もない。切歌は以前からこんな感じで唐突に距離を詰めてくることが多いが、今回はどうも“対抗”っぽいニュアンスがあるように思える。
「だ、だからなんだよ?」
俺が戸惑いながら言うと、彼女はぎゅっと腕に力を入れた。
「わかんないなら教えてあげませんデス!」
ぷいっとそっぽを向くが耳が真っ赤になっている。
その仕草に調が小声で「可愛い」と呟いていたが本人には聞こえないらしい。
一方の響は困ったように眉を下げて微笑んでいる。多分内心で「切歌ちゃん凄いなぁ」とか思ってるんだろう。こういう時の彼女はどこか遠慮がちだ。
「おい吠、女の子を混乱させるなよ」
暴神がニヤニヤしながら肩を叩いてくる。殴り飛ばしてやりたいが周りの視線を考えると拳を引っ込めるしかない。
「はぁ……」
深いため息をつきながらリョウテガソードを担ぎ直す。この状況の原因は間違いなく俺の鈍感さだが認めるわけにはいかない。
「とにかく! これで一件落着ってことでいいでしょ!」
強引に話題を変えようと角乃が叫ぶと一同が呆れたように笑った。
だが。
「まだ終わっていない」
微かに響いた声に俺の背筋が凍った。気絶しているはずの具島玲の指からリングが浮遊している。漆黒に輝くその環状物質が空中で妖しく回転していた。
「あれは……厄災だ!気を付けろ!」
熊手の声が悲鳴に変わる。
『まさか、ここまでやられるとはな。だが、他の世界のゴジュウジャーの力は十分に吸収した!今ならば!』
指輪から聞こえた声は明らかに玲ではない。
闇色のオーラが沸騰するように湧き上がり、リングの周囲で螺旋を描いた。
「来るぞ!」
黒い液体が凝縮され、次第に人型の輪郭を形成していく。巨大な質量が空中で唸りを上げながら結晶化していった。
「なんて大きさだ……」
誰かが呟いた瞬間、闇が爆ぜて巨人が屹立した。
禍々しい甲冑。漆黒の鉄板が組み合わさった外皮には古代の魔獣を彷彿とさせる複雑な意匠が彫り込まれている。だがよく見れば各関節部や胸部には精緻なメカニカルフレームが覗き、生物兵器と機械工学の融合を感じさせる。
「まだ、このような力を」
「・・・上等じゃねぇか」
俺はそう言いながら、立ち上がる。
「テガソード!今度はお前も暴れようじゃねぇか!」
リョウテガソードを手にしながら、俺は叫ぶ。
そして。
『あぁ、そうだな!』
俺は、そのまま構える。
「アウェイキング!」『アライジング!』
それと共に、眼前にテガソードがその巨体を姿を現す。
そんなテガソードに、俺は乗り込むと。
「リングイン! 超越人神一体!」
俺の宣言と同時に大地が震える。テガソードの巨体が目の前に降臨し、その装甲表面に七色のエナジーが奔流となって疾走する。機体全体が超高速回転しながら変形プロセスを開始した。
分割されたリョウテガソードが両腕を覆うと、刀身の中央部が横に開き、内部フレームと連結した巨大刃を展開する。
『リョウテガソード!リョウテガソード!!降臨!!』
俺はコックピット内でトリガーを引き絞る。
両腕の増加装甲が黄金色に輝き、双剣となったリョウテガソードが唸りを上げた。厄災の闇を一刀両断しながら突進する。
「リョウテガソード!!」