ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
狭い個室に緊迫した空気が充満する。おもてなしノーワンの植木鉢から湧き出す蔦の鞭が天井を叩き割った刹那、レッドレーサーがゴジュウユニコーンの前に躍り出る。
「邪魔すんじゃねェ!引っ込め!」
「誰が引っ込むか!先輩こそ邪魔しないで!」
二人の叫びが壁に反響する。次の瞬間、畳から噴き出した赤い蒸気が視界を遮った。
「ふふふ……お客様同士の喧嘩はおやめくださいませ」
ノーワンの嘲弄する声。茶室の掛け軸がゆらりと揺れるや否や、無数のアサガオの蔦が蛇のように蠢き出した。
「来たわね!」
ゴジュウユニコーンがユニコーンドリル50を構え、蔦の群れを薙ぎ払う。一閃で三本が千切れ飛ぶが、後続の枝葉が鎌首をもたげ再び襲いかかる。
「クソッタレがァ!」
レッドレーサーのフォーミュラーブレードが青い弧を描く。火花を散らして跳ね返る鞭を巧みに躱しながら彼は吼えた。
「お前みてぇなバカに任せてられっかよ!」
「私を信用してないわけ?」
「当たり前だろォ!」
互いの武器が交差する直前、間隙を突いて飛び込んできたアーイーの軍団。灰色の単眼が爛々と光る改造兵士たちが四方から押し寄せる。
「チッ!」
レッドレーサーが回し蹴りで一体を弾き飛ばす。その隙間から別の敵が刃を振り下ろす。
「後ろ!」
ゴジュウユニコーンの叫びに反応しバックキックが炸裂。蹴り飛ばされた敵兵は壁に叩きつけられて黒炭と化した。
「遅ぇんだよ!」
「言ってなさい!」
罵声と共に連携が始まる。ゴジュウユニコーンの素早いステップから繰り出される斬撃で正面を切り崩し、レッドレーサーが渾身の力を込めた薙ぎ払いの一撃で背面の敵陣を瓦解させる。
だが。
「まだまだっ」
床板がめくれ上がり新たな蔦地獄が再生する。天井から吊るされた丸盆が割れ、散弾のごとく飛礫となって降り注ぐ。
「ッ……!」
レッドレーサーの装甲が浅い擦過傷を負う。赤い滴が筋となり流れた。
「無駄口叩いてる場合じゃねぇだろ!」
「わかってるわよ!」
怒声混じりの連携が続く。ゴジュウユニコーンのユニコーンドリル50が逆袈裟に振り上げられ、レッドレーサーがその動きに呼応して後方宙返り。空中で旋回した身体を支点に両脚が敵の顎を捕える。
「どっちが上だと思ってんだぁ!」
「あんたの面倒を見る気はないから!」
乱打の中で二人の呼吸が徐々に重なり始める。ゴジュウユニコーンの鋭い突きとレッドレーサーの渾身の振り抜きが同時に炸裂し、ノーワンを守る蔦の防壁に綻びが生じた。
「見えた!」
しかし弱点に狙いを定めようとした刹那――。
「危ない!」
背後から突進してきたアーイーの爪先がゴジュウユニコーンの脇腹を掠めた。バランスを崩しかける彼女をレッドレーサーの腕が支える。
「……借りだ」
崩れ落ちた壁材の陰に二人は息を潜めていた。埃の匂いが鼻腔を刺す。背中合わせの体温がわずかに伝わる。
「……あの時のこと」
ゴジュウユニコーンがぽつりと口を開いた。
「妹のことで暴走した時」
レッドレーサーの肩が微かに揺れた。装甲の隙間から覗く視線が天井の穴を見つめている。
「……警察辞めた後もずっと考えてた。先輩が止めてくれなかったら今頃……」
「今更なんだよ」
吐き捨てるような声。しかし彼の手元のブレードを握る力が微かに弱まった。
「勝手に暴れて勝手に潰れて……迷惑かけただけだ」
「それでも」
ゴジュウユニコーンの背筋が伸びる。
「ありがとう。殴ってくれて」
沈黙。
瓦礫を踏みしめるノーワンの気配が近づく。アーイーの呻きが耳朶を撫でる。しかし今はそれ以上に、目の前の相棒の反応が気になった。
「……馬鹿かお前」
レッドレーサーが舌打ちする。
「俺が好きで他人の世話焼くわけねぇだろ。命令系統混乱すると上が煩ェだけだ」
ゴジュウユニコーンの肩が小さく震えた。
「……そういうとこ変わらないわね」
「文句あるか?」
「ない」
軽い肘鉄が互いの背に当てられた。同時に起き上がる。
「行くぞ。お節介はいらねェがな」
「お節介焼きナンバーワンである私に言いますか」
「言ってろ」
レッドレーサーの背中を追いかけながらゴジュウユニコーンに。
「ついて来れるな、角乃」
「・・・勿論!」