ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
公園の中央広場には花びらが舞い散り、熊手真白は嬉しそうに木製のベンチに腰を下ろした。
傍らにはベアックマがちょこんと座っている。
「ベアックマ〜!今日は特別な蜂蜜を持ってきたぞ〜!」
熊手はポケットからプラスチックの容器を取り出すと、銀色のスプーンで黄金色の液体を掬い上げた。
「森の奥の秘密の場所で採ってきたんだ。ちょっとだけなら飲ませてやるぞ?」
ベアックマは興奮して小さな足でぴょんぴょん跳ねたが、突然周囲を見回し始めた。
「ん?どうしたベアックマ?蜂蜜が苦手か?」
「クマー……」
ベアックマは首を振りながら公園の隅を指さした。枯葉ひとつ落ちていない清潔な芝生。丁寧に磨かれた遊具。熊手は感嘆の声をあげた。
「ほぅ、これは中々に」
周囲を見つめる限りでも、その公園はかなり清掃されており、普通の街角にある広場とは違った印象を与えた。ゴミ箱さえも塵一つなく整頓されていた。
「他所の公園じゃこんな風に手入れされていないんだよなぁ……」
熊手が思わず独り言を漏らすと、ベアックマも同意するように首肯いた。
その時だった。ベンチの斜め前方から規則正しい足音が近づいてきた。
「やあ!こんにちは」
声の主は、制服姿の青年だった。手には大きなゴミ袋を持ち、肩にはスポンジワイパーをかけていた。
「あんたが毎朝掃除してくれてるんだな?」
熊手が尋ねると、青年は爽やかな笑顔で頷いた。
「ええ。進と言います。ここは住民みんなが大切にしている場所ですから」
進は辺りを見渡しながら言った。
「この公園では毎日たくさんの人々が集まります。子どもたちが遊び、老人が憩い、恋人たちが愛を育む……だからこそ美しい状態を保ちたいんです」
「ふむふむ……」
熊手は感心したように首を傾げた。
「立派なことだな!」
そう感心している最中。
「あ?掃除なんかしてんのか」
公園入口の方から響く不協和音。声の主は金髪ロン毛の少年だった。仲間と思われる二人の男子がその後ろに続く。みな学生服姿だが着崩しており、肩を揺らしながら進のほうへ歩み寄ってくる。
「どけよオイ」
先頭の不良が進の持っていたゴミ袋を足で蹴り飛ばした。乾いた音を立てて袋が転がり、ペットボトルがいくつかこぼれ落ちる。
「なにするんですか!」
進は反射的に不良に詰め寄った。
「掃除してるんだ。邪魔しないでくれ」
「はぁ?何様だお前」
取り巻きの一人が嘲笑を浮かべる。
「いつもウザいくらいゴミ拾ってやがるな。正義の味方ごっこか?」
もう一人の取り巻きも進に唾を吐くように罵倒した。
「……迷惑ですか?」
進は静かに問う。
「迷惑に決まってんだろうが。俺らの城なんだよここは!」
リーダー格の少年が進の胸倉をつかみ上げた。
「止めろ……!そんなつもりはないんだ!」
進は必死に懇願する。その時――
「おいやめろ!」
熊手の声が飛んだ。
「何やってんだお前ら!」
熊手はベンチから立ち上がり、大股で近づいてくる。その表情には怒りよりも驚きが色濃く浮かんでいる。
「おま……それはいくらなんでもダメだろ!」
不良たちの間に割って入り、進を庇うように立ちはだかる。
「ああん?何だお前は」
リーダーが睨みつける。
「オッサンが関係ねーだろ!」
取り巻きたちも威嚇するが、熊手は一歩も引かない。
「公園を綺麗にしてもらってるのは俺たち住民全員なんだよ!」
「だからなんだってんだ!」
リーダーが進に向かって拳を振り上げたその瞬間。
進がさっと身をひるがえした。
あまりに自然で、あまりに美しい動きだった。
不良の拳は虚しく空を切る。
「え……?」
不良だけでなく取り巻きたちも呆然とする。
進の目には一片の怒りもない。ただ淡々と、己の身を守るために必要な動作をしたに過ぎなかった。
「……暴力はダメです」
進が静かに言う。
「君たちも痛いのは嫌でしょう?」
「テメェ……ナメてんのか!」
逆上した不良が再び殴りかかろうとする。
その刹那。
ドンッ!
何かが割って入った。
「そこまでだ!」
熊手が仁王立ちになって不良と進の間に立ち塞がっていた。片手で不良の腕を掴む。
「あんたらもさあ」
熊手は笑みを浮かべながらも眼光鋭く告げる。
「この公園はみんなの場所だろう?進が掃除してるのは感謝するべきだと思うけどね」
「……チッ」
リーダーは舌打ちし、手下たちを促して引き下がる。
「おい行くぞ」
三人の不良たちは不承不承といった様子で公園の出口へと歩いていく。
「……ありがとうございます」
進が頭を下げた。
「いやいや」
熊手は照れ臭そうに頭を掻く。
「それより怪我ないか?」
「大丈夫です。慣れてますから」
「慣れてるって……あんなやられ方して慣れちゃダメだろう!」
「でも私は――」
「いいか」
熊手は進の肩をポンと叩く。
「困ってる人がいたら助けたい。俺も同じ気持ちだよ」
「……」
「だけどな。時には逃げたり誰かに頼ったりすることも必要なんだ」
「……わかりました」
進が小さく頷く。その瞳に一瞬だけ迷いの色が浮かんだことに熊手は気付いていた。
「あの、熊手さん!」
「なんだ?」
「俺を、俺を弟子にしてください!」
「・・・なんだと?」
その言葉に、熊手は思わず反応してしまう。