ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦   作:ボルメテウスさん

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一瞬の結着

鉱山内部の空気が張り詰めていた。調はわずかに息を吸い込んだ。肺に錆の匂いが満ちる。遠くで岩盤がきしむ音がする──それは二人の激闘の余波なのだろうか、それともこの古い坑道自体が呻いているのか。

 

熊手真白とその弟子が向かい合っていた。どちらも満身創痍だ。ゴジュウポーラーの鎧は所々ひび割れ、ターボレンジャーのスーツは焦げ跡だらけだ。互いの呼吸が荒く、金属質な鎧越しにも疲労が伝わってくる。

 

(これが……最後の一撃になる)

 

調は両手を握りしめた。指先が冷たい。自分の脈拍がやけに鮮明に響く。この空間においては自分の鼓動すら雑音の一部に思えた。

 

ゴジュウポーラーがゆっくりと拳を構える。その動きに無駄はなかった。長年の修練で洗練された構え──重心の低さが、地の底から湧き上がる圧倒的な安定感を醸し出していた。調は鳥肌が立つのを感じた。

 

(武道家として完成されている)

 

一方で、進──ターボレンジャーはGTソードを振り抜くための溜めの姿勢に入った。体の震えが収まった瞬間、調は「来る」と本能で察知した。

 

次の瞬間。

 

閃光。

 

『ターボレンジャー!フィニッシュ!』

 

調の視界はホワイトアウトに似た明滅を迎えた。耳朶を打つ風圧の破裂音。鋼と鋼が擦れ合う摩擦音。それら全てが一瞬で爆発し──そして……静寂に戻る。

 

(見えなかった)

 

調が目を凝らしたときには、すでに二人の影はすれ違っていた。残像のような残影が壁に投影されただけだ。呼吸をするのも忘れていた自分に気づき、慌てて空気を吸い込むと喉がひゅうと鳴った。

 

(速すぎる……)

 

時間感覚が狂う。鼓動が耳元で爆ぜるように響く。

 

やがて──

 

ドサッ。

 

床を抉るような音が鳴り、調は慌てて視線をさまよわせた。

 

ゴジュウポーラーは……立っている。その背中は微動だにしていない。

 

床に倒れ込んでいたのは──ターボレンジャーだった。装甲が砕け散り、ヘルメットのバイザーが割れて破片が散乱している。

 

『フィニッシュナックル!』

 

「……っ」

 

調の唇から微かな息が零れた。勝者は熊手真白だったのだ。だが安堵よりも先に押し寄せたのは深い喪失感だった。この決着が意味するものは何なのか──調自身にもよく判らないけれど、間違いなく何かが壊れた音を聞いた気がする。

 

ゴジュウポーラーがゆっくりと膝をつき、弟子の肩に触れる。その手付きは意外なほど慎重で柔らかい。

 

調は胸の奥に疼く小さな痛みを押し殺した。治療を施すべきか否か一瞬悩んだが──いや、これは彼ら師弟の領域だ。他人が介入すべき場面ではない。

 

(終わった……のね)

 

調は静かに瞼を伏せた。鉱山に漂う埃っぽい空気が落ち着きを取り戻していくのがわかる。そして彼女の鼓動も徐々に平常へと戻りつつあった。

 

この痛みのような疼きこそが、調にとっては勝者の重さであり敗者の尊厳なのかもしれない。

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