ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
風鳴翼は打席に立っていた。
「位置は問題ない。だが……これは何だ、なぜこんなに騒がしい?」
翼は冷静に構えているが、周囲ではアーイー達がベンチで太鼓を叩き、気合いの声を上げていた。
「アーイー!! アーイー!!」
「やけに統率が取れてるぅぅ!」
禽次郎が遠くから叫ぶ。
それと共に。
「さぁ、これでこの回は終わりだぁ!」
星野の球が放たれる。
「これが、俺の熱血魔球だぁ!!
星野が叫ぶ。
そのまま、真っ直ぐとボールが翼の元まで来ると。
しかし――
ズバッ!!
翼のバット……ではなく、真剣のようなフォームでの素振りがボールと重なった。
そして、結果、ボールが真っ二つに割れ、煙を上げながら落ちる。
「何してんだよォォォ!!!」
禽次郎と星野の叫びが重なる。
翼は真顔のまま。
「……すまない。飛んできたから反射で斬った」
「反射で斬るなぁ!!!」
誰もが全力でツッコんだ。
それと共に。
「ストライク!バッターアウト!」
「あっ」
見事にこの回は終わってしまった。
それと共に、野球は、そのまま熱と共にとんでもない方向に。
次の打者――アーイー。
「アーイー!!!」
「声がでかいよ!!?」
高良が絶望する間に、ボールは打ち返される。
弾丸のようなゴロが一直線にセンターへ。
「ひぃぃぃぃっ!!??」
高良はダッシュで逃げ、球はチェイスするように転がってくる。
「高良! 逃げるな捕れぇぇ!!」
禽次郎の怒号が飛ぶ。
「むりむりむりむりむり!!!」
完全に涙目でグラウンドを円形に走り回る高良。
翼は腕を組んで一言。
「……もはや球技ではないな」
そして、ファイヤキャンドルのピッチング。
「燃やすぞォォ!! 青春ストレートォ!!」
そう叫びながら放たれた球は――
ボッッ!!
途中で火柱を上げ、火の輪になり、回転し、炎の竜のような軌道を描きながらホームへ向かった。
「物理法則ォォ!!?」
禽次郎が叫ぶ。
「反則だあんなの!!!」
高良も絶叫。
星野は真剣そのもの。
「いや、青春が乗れば炎ぐらい出るだろ!」
「出ないよ!!!」
全員が総ツッコミ。
翼だけが冷静で、ボールを見つめながらつぶやく。
「……確かに見事な変化球だ。だが、これはスポーツではなく戦闘の類だな」
回は進み、試合はなぜか本格的になりつつあった。ファイヤキャンドルが燃えるような投球フォームで吼え、アーイーたちはベルメットをカンカン鳴らしながら応援し、野球なのか儀式なのか判別不能になっている。
その中で、ゴジュウイーグル――猛原禽次郎は、胸の内に燃えるものを感じていた。
風鳴翼は真剣にミットを構え、敵側の星野はダイナレッドのパワーをまとってマウンドに仁王立ち。その姿を見つめながら、禽次郎は息を吸い、呟いた。
「青春の熱は……野球だけじゃない。」
その言葉に、ベンチにいた高良がピクリと反応する。
風鳴翼が首を傾げる。「どういう意味ですか?」
禽次郎は静かに続けた。
「友情とか、戦いとか、夢とか……。僕たちはいろんな“熱さ”を持っている。野球も、その一つってだけだよ。」
その瞬間、高良はゆっくり立ち上がった。
彼の表情は、今までの陰の薄い最原終一系の雰囲気から一変し、芯の通った強さを帯びる。
そして、バットを肩に担ぎながら歩き出した。
「……だったら、僕も自分の“熱”を見せるべきだね。」
禽次郎と翼が同時に振り向く。
「高良?」
「まさか……あなた……」
高良は軽く息を吐き、静かに宣言する。
それと共に、その手にはセンタイリングを持っていた。
「まさかっ」
「エンゲージ!」『キラメイジャー!』
その名乗りに、野球場がざわついた。
いや、正確にはファイヤキャンドルが「あんぎゃああ!?」と派手にのけぞり、アーイーがベルメットを鳴らしながら右往左往しているだけだが。
星野はマウンドから叫ぶ。
「なぁにぃ!? お前も戦士だったのかよ、高良ァ!!」
高良はバットを軽く回す。
その動作は無駄がなく、キラメイレッドの凛とした気迫が滲み出ていた。
「僕の青春を賭けて、手加減はしないよ!。」
「望むところだ!!」
星野は真っ赤に光るエネルギーを拳に収束させ、ボールを握った。
炎が揺らぎ、が球に宿る。
風鳴翼がマスク越しに呟く。
「……これは、完全に野球の域を超えていますね。」
禽次郎は苦笑するしかなかった。
「うん。でも、こういうのも……悪くないよね。」
全員の視線がマウンドと打席に注がれる。
熱血と煌めきがぶつかる、青春の一打席が始まろうとしていた。