ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦   作:ボルメテウスさん

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裏の悪意

大学構内に広がっていた喧騒が嘘のように静まり返り、夕暮れの光が研究室の窓から差し込んでいた。

散乱していた資料は最低限まとめられ、壊れた棚や机も応急処置が施されている。

 

竜儀は椅子に腰掛けることなく、静かに立ったまま二人と向き合っていた。

月原とアクティは、その前に並び、それぞれ右手の指からセンタイリングを外す。

 

「……竜儀さん。これを、受け取ってください」

 

月原が差し出したのは、メガレンジャーのセンタイリング。

続いてアクティも無言で、ライブマンのセンタイリングを差し出した。

 

「これは……お二人にとって、願いを叶えるための指輪のはず」

竜儀は目を伏せ、低く問いかける。

「なぜ、私に?」

 

月原は少し迷ったあと、穏やかに笑った。

 

「ボクたちは最初から、“力を振るうため”に使っていたわけじゃないんです。

 ユニバース大戦のことを知りたくて……そのために、指輪の力を借りていただけです」

 

アクティも短く頷く。

 

「戦うための力は……手段だった。

 知るために必要だった」

 

「知る、か……」

 

竜儀はゆっくりと二つのリングを受け取り、金のテガソードに目を落とした。

先ほどまでの戦場の熱とは違う、静かな思索の表情だった。

 

「今回のノーワンは、“解析”を振りかざしておった。

 だがあれは、知識を誇示するだけの、歪んだ知の使い方だったのだな」

 

月原が静かに続ける。

 

「知ること自体は、悪くない。

 でも、理解しようとしない解析は……誰かを踏み台にするだけです」

 

竜儀は深く息を吸い、ゆっくりと頷いた。

 

「……知識とは、本来、人を導く灯火であるべきもの。

 信仰もまた、同じだ。

 盲信ではなく、学びを伴ってこそ、真に意味を持つ」

 

そう呟いた竜儀の声には、いつもの昂ぶりはなかった。

ただ、確かな実感がこもっていた。

 

「私もまた、テガソード様を知ろうとしてきたつもりでいたが……

 今日、改めて学ばされた。

 “正しく知ろうとする姿勢”こそが、力を暴走させぬ鍵なのだと」

 

竜儀は二人に向かって、深く一礼する。

 

「この指輪、確かに預かろう。

 だがこれは、力としてではなく――“学びの証”として」

 

夕暮れの光の中、研究室には静かな納得が満ちていた。

解析では測れないものが、確かにそこに残っていた。

 

研究室に静けさが戻ったあと、響は窓の外を見つめたまま、小さく首を傾げた。

 

「……でも、ひとつだけ変ですよね」

 

その声に、竜儀と往歳が視線を向ける。

 

「ノーワンは“ナンバーワン”を誇示する存在……ですよね。

 それなら、どうしてこの大学だったんでしょう。街中とか、もっと目立つ場所でもよかったはずなのに」

 

響の疑問は素朴だったが、核心を突いていた。

往歳は腕を組み、天井を見上げる。

 

「せやな……ワシもそれは引っかかっとる。

 ここは確かに“知”の集積地やけど、ナンバーワンを誇る舞台としては地味すぎる」

 

「研究室の資料……?」

響がそう言いかけて、言葉を止める。

 

往歳は首を横に振った。

 

「いや、それだけやったら“解析ナンバーワン”言うには弱い。

 ワシらの調査はまだ途中やしな」

 

竜儀も静かに頷く。

 

「テガソード様も、今回は何も語られなかった。

 導きが無いということは……まだ“知るべき段階ではない”のかもしれぬ」

 

三人の間に、短い沈黙が落ちた。

 

「つまり……」

響がぽつりと呟く。

「理由は、まだ誰にも分からないってことですね」

 

「そういうことや」

往歳は眼鏡を外し、机に置いた。

「今回のノーワンは“結果”であって、“原因”は別にある。

 大学は、たまたまその通過点やった可能性もあるな」

 

誰も、それ以上を言えなかった。

答えを持つ人物は、この部屋にはいない。

 

ただ一つ確かなのは――

解析でも、信仰でも、まだ辿り着いていない“何か”が、

静かに水面下で動いているということだけだった。

 

場所は、大学とはまるで別の静かな空間だった。

照明を落とした室内で、パソコンのモニターだけが淡く光っている。

 

画面には、先ほどまで大学で起きていた一連の騒動のログ。

カイセキ・ノーワンの出現、ゴジュウティラノの参戦、

そして――武器合体と敗北までのデータが、淡々と並んでいた。

 

「……ふふ」

 

キーボードに指を置いたまま、クオンは小さく笑みを浮かべる。

穏やかで、どこか優しげにも見える表情。

だがその瞳の奥には、冷え切った光が宿っていた。

 

「やっぱりね。

 “知”が集まる場所には、必ず反応が出る」

 

画面をスクロールしながら、独り言のように呟く。

声は柔らかい。だが、言葉の選び方は容赦がない。

 

「解析ナンバーワンが負ける?

 当たり前だよ。

 あれは“知る”ことを履き違えた、ただの自己満足だ」

 

ふと、彼の口元が歪む。

 

「でも……面白いな。

 ゴジュウジャー。

 特に、吠……」

 

その瞬間、一人称が無意識に変わった。

 

「……俺の計算通りに動いてる癖に、

 自分たちで選んだつもりでいる」

 

画面の隅に表示された名前の一覧。

そこには、ゴジュウジャーのメンバーが並んでいた。

 

「仲間だの、学びだの……

 本当に嫌いだよ、そういうの」

 

軽く鼻で笑い、モニターを閉じる。

 

「でもいい。

 大学で“揺れ”が起きたってことは、

 次は、もっと深い所まで手が届く」

 

立ち上がったクオンは、背後の暗闇へと視線を向けた。

 

「離れないでよ。

 ――僕の家族も、僕の駒も」

 

その声は穏やかで、

同時に、底知れない悪意を孕んでいた。

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